伊藤園が9月3日に優先株式を上場すると伝えられている(2007年7月27日 日本経済新聞朝刊)。普通株式に対して優先的に配当が支払われているような期間は議決権行使ができず、そうでないときは議決権が復活するので、従来の優先株式と基本的には変わらないように思えるが、上場するところが珍しい。優先株式の株価は普通株式の株価に加えて、主に投資家の考える優先株式配当と普通株式配当の差額と議決権価値との相対比較で決まってくるのだろう。
また、現在の発行済み株式数に比べて、優先株式数が多いことが市場では懸念されている。ガバナンスの観点からいえば相対的に少数の株主が企業の重要事項を決めてしまうのは望ましくないが、流動性を考えると株式数は多いほうが、売買の活発化が期待されて好ましい。
過去、ソニーが種類株(ソニーコミュニケーションネットワーク[SCN]連動株)を発行したが、結局はSCNの普通株式に転換された。売買が活発にならなければ、こうした伊藤園の取り組みも無駄になる。また議決権のない株式が多い企業の場合、コーポレートガバナンスについての懸念がある。それを補うために、経営者に対する規律付けとしてモニタリング(監視)が重要だとの考えがある。監視機能を充実させるにはIRが重要だ。企業も議決権制限株式の保有者もIRについて大きな関心を持つべきだ。
(参考:ジュリスト2002.4.1号No.1220種類株式の多様化 鈴木隆元)
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・「プリンセス・マサコ」日本語版が出版されると8月21日のロイター通信は伝えている。
http://today.reuters.co.jp/news/articlenews.aspx?type=businessNews&storyID=2007-08-23T112758Z_01_NOOTR_RTRMDNC_0_JAPAN-275216-1.xml&rpc=112