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(旧:アヴァンの物語の館)ギリシア神話的世界観で人魚ナオミとヴァンパイアのマクミラが魔性たちと戦うファンタジー的SF小説

ナオミのバースデー・パーティ・ウィズ・4人の魔女・・・

2012-09-05 00:10:05 | 私が作家・芸術家・芸人
 ナオミの22才の誕生日、1995年9月4日がやってきた。
 今年は好敵手のマクミラもニューヨークで忙しい日々と過ごしており、孔明は行方が知れず、父ケネスも相変わらず世界中を飛び回っていた。ナオミ自身も、ディベート・シーズン開幕の北アイオワ大学ディベート・トーナメントの準備で疲れ果てていた。

「ア~ア、いつの間にかもう夜・・・『旅するマーメイドの神話』の登場人物たちも第三部を迎えて、皆、忙しくなっちゃったし。もう寝よ!」
 もう何日も徹夜を続けていたナオミは、ディベート部のソファに倒れ込むとすぐ眠りについた。

「ナオミ、起きて」
「誰? もう気持ちよく寝てたのに・・・え~、夏海!」そこにいたのは、ナオミの育ての母、夏海だった。「夏海はニューヨークでダンサーになったはずじゃ?」
「わたしだけじゃないわよ。ほら!」夏海の指差す方向には、3人のベリーダンサーたちがいた。一人目は、今は亡きアラビア王の血筋を引く美女、シェラザード。二人目は、ロシア王朝の末裔、ユリア。三人目は、ベリーダンスを生み出したと言われるジプシーの長の娘、ザムザ。
「なんかイヤな予感がするんですけど・・・」
「やっぱり」夏海がニヤリと笑った。まず、シェラザードがクルリと回転すると、「酔わすもの」蛇姫ライムに変身した。次に、ユリアがクルリと回転すると、「いたぶるもの」両性具有の氷天使メギスに変身した。最後に、ザムザが回転すると、「悩ますもの」で唄姫リギスに変身した。
「あれ、夏海は変身しないの?」
「知ってるでしょ。『爆破するもの』悪魔姫ドルガは、死んだことを」
「しょっちゅう自分で書いた筋を忘れるアヴァンにしては、めずらしくプロットを覚えてたんだ」
「そんなことより、あなたにまたトラブルが待ってるの。それもとんでもないトラブルが・・・」
「わたしは、トラブルにひきつけらえるマーメイド・・・」
「まだどんな巨大な敵が迫っているかは、教えられない。でも誕生日祝いに、特別に教えてあげる。実はね、ライム、メギス、ザムザと私が助けてあげられるかも知れないの」
「でも夏海は・・・」
「ただの人間?」
「・・・・・・」
 ナオミが返答に困っていると、ケイティの声が聞こえた。

「ナオミ、ナオミ、起きてよ!」
「ん、わたし、夢を見てたんだ・・・」
「サプラーイズ!」大声に目を覚ますと、聖ローレンス大学ディベート部の連中とナンシーが目の前にいた。
「ごめんなさい。ナオミ、いつも誕生日と北アイオワ大学ディベート・トーナメントの準備が重なってしまって。でも今年は、あなたも4年生で最後のシーズンだからってケイティが誕生日祝いを企画したのよ」
「さあ、ケーキを吹き消して。願いを込めることを忘れちゃダメよ!(Don't forget to make your wish!)」
 ナオミは、すごく大事なことを夢の最後に考えた気がしたが、思い出せなかった。
 まっ、いっか! さあ、何を願おうか?
 そうだ。次こそ、最高の闘いを!(Let me fight the best bout next time!)

          

 たしかに、ナオミの最後の闘いの日は着実に近づいていた。


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