財部剣人の館『マーメイド クロニクルズ』「第一部」幻冬舎より出版中!「第二部」朝日出版社より刊行!

(旧:アヴァンの物語の館)ギリシア神話的世界観で人魚ナオミとヴァンパイアのマクミラが魔性たちと戦うファンタジー的SF小説

(再送版です!)マクミラのバースデーパーティ

2019-02-28 01:22:57 | 私が作家・芸術家・芸人

 マクミラは、明け方近く、堕天使ダニエルとの夜回りからヌーヴェルヴァーグタワーへ帰ってきた。
 疲れているはずなのに、「恋する乙女」にはエネルギーがあふれていた。
 だが、自分では信頼できる「パートナー」を得たがゆえに気力が充実しているのだと思いこんでいた。これまで恋愛とは縁遠い生活を冥界でも人間界でもずっと送ってきたため、ムリはないことだったが。
 マクミラとダニエルの豪華な棺桶の置かれた寝室のドアを開けた瞬間だった。

「サプラーイズ!」
 クラッカーの激しい音の向こうに、見知った顔が揃っていた。そこには、ナオミとジェフだけではなく、ミスティラ、アストロラーベ、スカルラーベまでがいた。
「なんで、あなたたちまで。まだ降臨していないはずなのに?」
「パラレルワールドってことで、今日はかたくるしいことを言うな。ナオミが声をかけてくれた。前回の神官殿との、ここではマクミラでよいか、パーティはずいぶんと楽しかったらしいな」アストロラーベが答える。
「そうよ。最近は私も出番が減って・・・・・・ううん、余計なこと言わせないで。ミスティラさんが、一度、出番前にダニエルと会っておきたいって。でもダニエルって、どこかで見たような気がするんだけど」ナオミが続ける。
「まあ、ここでいろいろ進めてしまうと、話がこんがらがるから」ダニエルが答える。
「あのお姉様、ハッピーバースデーでございます」ミスティラが、おずおずとしゃべる。
 その言葉を聞いたとたん、マクミラの足下の3匹が急に吠え出す。
「キル、カル、ルル、いいのよ」マクミラに言われて、しぶしぶ3匹がおとなしくなる。
「今日は、最高級ワインと特別あつらえの人口血液を醸成してございます。『年に一度のめでたい日』です」ジェフが、その場をとりつくろうように言う。「マクミラ様がミスティラ様、アストロラーベ様、スカルラーベ様にストーリー中でお会いできるまでには、しばらくございます。今日は、心ゆくまでパーティをお楽しみください。もっとも昼間は美容のため十分睡眠を取っておかれた方がよいので、昼ふかしはほどほどに・・・・・・」
 マクミラは思った。やれやれ、そそっかしいミスティラがたぶん誕生日を2月末日とでも勘違いしたのだろう。わたしは2月29日生まれだから、正式な誕生日はうるう年だけなのだが・・・・・・だが、今日は小さいことは気にせずに、わたしたちを待つ闘いにそなえて、つかの間の休息を皆と取るとしようか。

 マクミラの六人と3匹とのパーティは、まだまだこれからが本番・・・・・・

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第三部闘龍孔明篇 序章と第1〜10章のバックナンバー(第二部も読めます)

2019-02-25 00:00:00 | 私が作家・芸術家・芸人

 財部剣人です! 第三部も順調に第10章が終わりました。タイトルは第三部のバックナンバーとなっていますが、下の方に第二部のバックナンバーもありますので、ストーリーが分からなくなっている方はそちらもご覧ください。さらに、今回は第三部主要登場人物とあらすじ、第二部主要登場人物とあらすじも付けてみました。ご参考になれば幸いです。

第三部主要登場人物

冥界関係者
プルートゥ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 「裁くもの」で冥主
ケルベロス ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3つ首の魔犬。「監視するもの」で
  キルベロス、ルルベロス、カルベロスの父
ジュニベロス ・・・・・・・・・ キルベロス、ルルベロス、カルベロスの変身した姿
ヴラド・“ドラクール”・ツェペシュ ・・ 親衛隊の大将軍。「吸い取るもの」で
       人間時代は、「串刺し公」とおそれられたワラキア地方の支配者
アストロラーベ ・・・・・・・・・・・・・・ ヴラドとローラの長男で、親衛隊の軍師。
                            「あやつるもの」
スカルラーベ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 同次男で、親衛隊の将軍。「荒ぶるもの」
マクミラ ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 同長女で、人間界に送り込まれる冥界最高位の
神官でヴァンパイア。「鍵を開くもの」
ミスティラ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 同次女で、冥界の神官。「鍵を守るもの」
ジェフエリー(ジェフ)・ヌーヴェルバーグ・ジュニア … マクミラの育ての父
悪魔姫ドルガ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 死の神トッドの娘で「爆破するもの」。
            マクミラに恨みを晴らそうとする四人の魔女の一人
氷天使メギリヌ ・・・・・・・・・・・・・・・・ 悩みの神レイデンの娘で「いたぶるもの」。
            マクミラに恨みを晴らそうとする四人の魔女の一人
蛇姫ライム ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 闘いの神カンフの娘で「酔わすもの」。
            マクミラに恨みを晴らそうとする四人の魔女の一人
唄姫リギス ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 責任の神シュルドの娘で「悩ますもの」。
            マクミラに恨みを晴らそうとする四人の魔女の一人

海神界関係者
ネプチュヌス ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 海主。「揺るがすもの」
トリトン ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ネプチュヌスの息子。「助くるもの」
シンガパウム ・・・・・・・・・・ 親衛隊長のマーライオン。「忠義をつくすもの」
アフロンディーヌ ・・・・・・ シンガパウムの長女で最高位の巫女のマーメイド
ナオミ ・・・・・・・ 同末娘で人間界へ送り込まれるマーメイド。「旅立つもの」
トーミ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ナオミの祖母で齢数千年のマーメイド。
ケネス ・・・・・・・・・ 元ネイビー・シールズ隊員。人間界でのナオミの育ての父
夏海 ・・・・・・・・・・・・ 人間界でのナオミの育ての母。その後、ニューヨークに
ケイティ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ナオミのハワイ時代からの幼なじみ

天界関係者
ユピテル ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「天翔るもの」で天主
アポロニア ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ アポロンの娘で親衛隊長。「継ぐもの」
ケイト ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ アポロンの未亡人。「森にすむもの」
ペルセリアス ・・・・・・・ 同三男で天使長。「率いるもの」で天界では金色の鷲。
                         人間界ではクリストフ
墮天使ダニエル ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ マクミラの「血の儀式」と
             神導書アポロノミカンによって甦ったクリストフ
コーネリアス ・・・・・・・・・・・・・ 同末っ子で「舞うもの」。天界では真紅の龍。
   人間界では孔明

人間界関係者
祭黒龍 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 秘密結社“洪門”の殺手で孔明の曾祖父
祭青龍 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 華僑の大立て者で孔明の祖父
祭眠眠 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 孔明の妹で「夢見るもの」

魔界関係者 
ビザード ・・・・・・・・・・・・・・・・ 魔界反乱軍の魔性で、『虚無をかかえるもの』
ドラゴム ・・・・・・・・ 水蛇ヒュードラと悪龍が交わって誕生した魔界最強の獣
ビザードの使い魔
ジェノサイダス ・・・・・・・・・・・・・・ 魔界反乱軍の魔性で、『殲滅しつくすもの』
“ジル”・シュリリス ・・・・・・・・・ 魔界反乱軍の魔性で、『誘いをかけるもの』。
夢魔の女王
フェルミナ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ リリム配下の黒不死鳥
「絶対悪」 ・・・・・ 誕生の秘密はまだ誰も知らないが、今回の闘いの鍵を握る


第三部ストーリー

「神々のゲーム」が進んだ結果、神界と魔界のバランスにゆがみが生じていた。魔界反乱軍の魔性が、四人の魔女とマクミラを中心とする冥界軍団との闘い直後の隙をついて、精神世界に逃げ出したのである。「殲滅しつくすもの」ジェノサイダス、「誘いをかけるもの」“ジル”・シュリリス、「虚無をかかえるもの」ビザードたちは、魔界と神界の約束事を破って、人間共の夢の完全支配。あやつらの夢をすべて悪夢に塗り替え、戦乱と混沌、狂気と憎悪、嫉妬と愛欲の世界にすることを狙っていた。人間の夢すべてが悪夢になれば、魔界と天界はつながり、中立地帯の精神世界は戦闘地帯となり人間たちは破滅への道を歩む。神々は魔界と協力して、魔性たちを征伐する新たなゲームを始めることを決定した。マーメイドのナオミは、いったいどう闘いにからんでいくのか? またヴァンパイアのマクミラとその兄弟妹たちは? 目覚めていなかった天使たちは、魔性との闘いでどんな役割を演じるのか? 闘いの行方を左右する「絶対悪」の存在はどうなっていくのか? 数々の謎をはらみながら、アポロノミカン「究極の予言」に向かって最後の闘いが始まる。

「第三部闘龍孔明篇 序章」

「第1章−1 茨城のパワースポット・トライアングル」
「第1章−2 チャイニーズフリーメーソン 洪門」
「第1章−3 「海底」の秘密」
「第1章−4 アポロノミカンの予言
「第1章ー5 太古の龍」 
「第1章-6 神獣たちの闘い」
「第1章-7 龍神対孔明」
「第1章-8  龍が再び眠る時」
「第1章-9 精神世界へ紛れ込む魔性たち」

「第2章−1 四次元空間エリュシオンのゆがみ」
「第2章−2 3つの鏡」
「第2章−3 ヤヌスの鏡と3人の魔王」
「第2章−4 ゲームは変わる」
「第2章−5 パンドラの筺は二度開く」
「第2章−6 魔界の気まぐれ」
「第2章−7 ヤヌスの鏡を閉じる」
「第2章−8 冥界の会議」

「第3章−1 絶対悪」
「第3章− 2 ヴラド・”ドラクール”・ツェペシュの名」
「第3章−3 パラケルススの名」
「第3章−4 神導書アポロノミカン」
「第3章−5 ヴラドとラドウ」
「第3章−6 ヴラド・”ドラクール”・ツェペシュの誕生」
「第3章−7 地獄によって地獄を救う」
「第3章−8 血の契りの儀式」
「第3章−9 エリザードの誕生」

「第4章−1 エリザードの愛と死」
「第4章−2 エリザードの野望」
「第4章−3 愛ゆえに」
「第4章−4 "ドラクール"対エリザード」
「第4章−5 冥主プルートゥの決定」
「第4章−6 ドラクールの願い」
「第4章−7 海神界の議論」
「第4章−8 王子トリトンの決意」

「第5章−1 ナオミの夢」
「第5章−2 ナオミの誕生日」
「第5章−3 ディベートの審査哲学」
「第5章−4 ディベートの審査哲学に関する論争」
「第5章−5 宇宙開発を巡るディベート」
「第5章−6 『地球外知的生物探索』というプラン」
「第5章−7 なぜディベートの試合で勝てないんでしょう?」
「第5章−8 利益と不利益の比較」
「第5章−9 奇跡的リバタルの秘密」

「第6章−1 孔明たちへの襲撃」
「第6章−2 夢の続き」
「第6章−3 青龍と夢魔サマンザ」
「第6章−4 眠眠の夢」
「第6章−5 眠眠の戦い」
「第6章−6 三重の呪い」
「第6章−7 夢魔樹里の決断」
「第6章−8 孔明と眠眠」
「第6章−9 覚醒しながら眠り、眠りながら覚醒する娘」
「第6章−10 深層世界に入る」

「第7章−1 マクミラの不安」
「第7章−2 振り子の原理」
「第7章−3 アウトサイダー」
「第7章−4 アメリカの悪夢」
「第7章−5 冥界の神々降臨」
「第7章−6 輪廻の蛇ウロボロス」
「第7章−7 逃げ出した魔性と魔獣たち」
「第7章−8 魔神スネールの告白」
「第7章−9 ダニエルの復活?」
「第7章−10 ヒエラポリス神殿」

「第8章−1 黒龍対七色の神の化身たち」
「第8章−2 十八般の第二の武器対ドリームカリバー」
「第8章−3 天使たちの夢に潜り込む」
「第8章−4 眠眠対夢魔ヒビキム」
「第8章−5 悪魔姫ドルガ降臨!」
「第8章−6 眠眠対夢魔オーシャム」
「第8章−7 子宮への届く扉」
「第8章−8 惨劇の夜」
「第8章−9 母娘の闘いの末に」
「第8章−10 ミシガン山中への誘い」

「第9章−1 アストロラーベ対さかさまジョージ」
「第9章−2 さかさまジョージの攻撃」
「第9章−3 アフロンディーヌとの再会」
「第9章−4 堕天使ダニエルの復活」
「第9章−5 ダニエル猛攻」
「第9章−6 コールド・デー・イン・ヘル」
「第9章−7 ウロボロスが凍り付く刻」
「第9章−8 絶対悪とは?」
「第9章−9 アズラエルとザキエル」
「第9章−10 善と悪の相対性」

「第10章−1 全米ディベート選手権決勝」
「第10章−2 孔明からの召集令状」
「第10章−3 いざミシガンへ」
「第10章−4 ウェルカム・ツー・モータウン」
「第10章−5 赤龍対マーメイド」
「第10章−6 孔明の妹」
「第10章−7 意味分かんない!?」
「第10章−8 迫る魔性たちとの闘い」
「第10章−9 アストロラーベの決断」
「第10章−10 最大のタブー」

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 第一部と第二部がお読みになりたい方は、以下のリンクをクリックしてください。

  

「第一部 神々がダイスを振る刻」をお読みになりたい方へ

第二部主要登場人物

冥界関係者
プルートゥ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 「裁くもの」で冥主
ケルベロス ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3つ首の魔犬。「監視するもの」で
  キルベロス、ルルベロス、カルベロスの父
ヴラド・“ドラクール”・ツェペシュ ・・ 親衛隊の大将軍。「吸い取るもの」で
       人間時代は、「串刺し公」とおそれられたワラキア地方の支配者
ローラ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・“ドラクール”の妻で、サラマンダーの女王。
「燃やし尽くすもの」
アストロラーベ ・・・・・・・・・・・・・・ ヴラドとローラの長男で、親衛隊の軍師。
                            「あやつるもの」
スカルラーベ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 同次男で、親衛隊の将軍。「荒ぶるもの」
マクミラ ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 同長女で、人間界に送り込まれる冥界最高位の
神官でヴァンパイア。「鍵を開くもの」
ミスティラ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 同次女で、冥界の神官。「鍵を守るもの」
ジェフエリー(ジェフ)・ヌーヴェルバーグ・ジュニア … マクミラの育ての父
悪魔姫ドルガ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 死の神トッドの娘で「爆破するもの」。
            マクミラに恨みを晴らそうとする四人の魔女の一人
氷天使メギリヌ ・・・・・・・・・・・・・・・・ 悩みの神レイデンの娘で「いたぶるもの」。
            マクミラに恨みを晴らそうとする四人の魔女の一人
蛇姫ライム ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 闘いの神カンフの娘で「酔わすもの」。
            マクミラに恨みを晴らそうとする四人の魔女の一人
唄姫リギス ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 責任の神シュルドの娘で「悩ますもの」。
            マクミラに恨みを晴らそうとする四人の魔女の一人

海神界関係者
ネプチュヌス ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 海主。「揺るがすもの」
トリトン ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ネプチュヌスの息子。「助くるもの」
シンガパウム ・・・・・・・・・・ 親衛隊長のマーライオン。「忠義をつくすもの」
アフロディーヌ ・・・・・・・・ シンガパウムの長女で最高位の巫女のマーメイド
ナオミ ・・・・・・・ 同末娘で人間界へ送り込まれるマーメイド。「旅立つもの」
トーミ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ナオミの祖母で齢数千年のマーメイド。
ケネス ・・・・・・・・・ 元ネイビー・シールズ隊員。人間界でのナオミの育ての父
夏海 ・・・・・・・・・・・・ 人間界でのナオミの育ての母。その後、ニューヨークに
ケイティ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ナオミのハワイ時代からの幼なじみ

天界関係者
ユピテル ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「天翔るもの」で天主
アポロニア ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ アポロンの娘で親衛隊長。「継ぐもの」
ケイト ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ アポロンの未亡人。「森にすむもの」
ペルセリアス ・・・・・・・ 同三男で天使長。「率いるもの」で天界では金色の鷲。
                         人間界ではクリストフ
墮天使ダニエル ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ マクミラの「血の儀式」と神導書
         アポロノミカンによって甦ったクリストフ
コーネリアス ・・・・・・・・・・・・・ 同末っ子で「舞うもの」。天界では真紅の龍。人間界では孔明

第二部のストーリー

 マーメイドの娘ナオミを軸とする神々のゲームを始めたばかりだというのに、再び最高神たちが集まらざるえない事態が起こった。神官マクミラが人間界に送られた後、反乱者や魔界からの侵入者を閉じこめた冥界の牢獄の結界がゆるんできていた。死の神トッド、悩みの神レイデン、戦いの神カンフ、責任の神シュルドが堕天使と契って生まれた魔女たちは、冥界の秩序を乱した罪でコキュートスに閉じこめられていた。「不肖の娘たち」は、彼女たちを捕らえたマクミラに対する恨みをはらすべく、人間界を目指して脱獄をはかった。天主ユピテルは、ゲームのルール変更を宣言した。冥界から助っ人として人間界に送られるマクミラの兄アストロラーベとスカルラーベ、妹ミスティラは、彼女を救うことができるのか? トラブルに引き寄せられる運命のナオミは、どう関わっていくのか? 第一部で残された謎が、次々明らかになる(すべては「無理~」ですが、苦笑)。

「第二部 序章」

「第二部 第1章−1 ビックアップルの都市伝説」
「第二部 第1章−2 深夜のドライブ」
「第二部 第1章−3 子ども扱い」
「第二部 第1章−4 堕天使ダニエル」
「第二部 第1章−5 マクミラの仲間たち」
「第二部 第1章−6 ケネスからの電話」
「第二部 第1章−7 襲撃の目的」
「第二部 第1章−8 MIA」
「第二部 第1章−9 オン・ザ・ジョブ・トレーニング」

「第二部 第2章−1 神々の議論、再び!」
「第二部 第2章−2 四人の魔女たち」
「第二部 第2章−3 プル−トゥの提案」
「第二部 第2章−4 タンタロス・リデンプション」
「第二部 第2章−5 さらばタンタロス」
「第二部 第2章−6 アストロラーベの回想」
「第二部 第2章−7 裁かれるミスティラ」
「第二部 第2章−8 愛とは何か?」

「第二部 第3章−1 スカルラーベの回想」
「第二部 第3章−2 ローラの告白」
「第二部 第3章−3 閻魔帳」
「第二部 第3章−4 異母兄弟姉妹」
「第二部 第3章−5 ルールは変わる」
「第二部 第3章−6 トラブル・シューター」
「第二部 第3章−7 天界の議論」
「第二部 第3章−8 魔神スネール」
「第二部 第3章−9 金色の鷲」

「第二部 第4章−1 ミシガン山中」
「第二部 第4章−2 ポシー・コミタータス」
「第二部 第4章−3 不条理という条理」
「第二部 第4章−4 引き抜き」
「第二部 第4章−5 血の契りの儀式」
「第二部 第4章−6 神導書アポロノミカン」
「第二部 第4章−7 走れマクミラ」
「第二部 第4章−8 堕天使ダニエル生誕」
「第二部 第4章−9 四人の魔女、人間界へ」

「第二部 第5章−1 ナオミの憂鬱」
「第二部 第5章−2 全米ディベート選手権」
「第二部 第5章−3 トーミ」
「第二部 第5章−4 アイ・ディド・ナッシング」
「第二部 第5章−5 保守派とリベラル派の前提条件」
「第二部 第5章−6 保守派の言い分」
「第二部 第5章−7 データのマジック」
「第二部 第5章−8 何が善と悪を決めるのか」
「第二部 第5章−9 ユートピアとエデンの園」

「第二部 第6章−1 魔女軍団、ゾンビ−ランド襲来!」
「第二部 第6章−2 ミリタリー・アーティフィシャル・インテリジェンス(MAI)」
「第二部 第6章−3 リギスの唄」
「第二部 第6章−4 トリックスターのさかさまジョージ」
「第二部 第6章−5 マクミラ不眠不休で学習する」
「第二部 第6章−6 ジェフの語るパフォーマンス研究」
「第二部 第6章−7 支配する側とされる側」
「第二部 第6章−8 プルートゥ、再降臨」
「第二部 第6章−9 アストロラーベ、スカルラーベ、ミスティラ」
「第二部 第6章ー10 さかさまジョージからのファックス」

「第二部 第7章ー1 イヤー・オブ・ブリザード」
「第二部 第7章ー2 3年目のシーズン」
「第二部 第7章ー3 決勝ラウンド」
「第二部 第7章ー4 再会」
「第二部 第7章ー5 もうひとつの再会」
「第二部 第7章ー6 夏海と魔神スネール」
「第二部 第7章ー7 夏海の願い」
「第二部 第7章ー8 夏海とケネス」
「第二部 第7章ー9 男と女の勘違い」

「第二部 第8章ー1 魔女たちの二十四時」
「第二部 第8章ー2 レッスン会場の魔女たち」
「第二部 第8章ー3 ベリーダンスの歴史」
「第二部 第8章ー4 トミー、託児所を抜け出す」
「第二部 第8章ー5 ドルガとトミー」
「第二部 第8章ー6 キャストたち」
「第二部 第8章ー7 絡み合う運命」
「第二部 第8章ー8 格差社会−−上位1%とその他99%」
「第二部 第8章ー9 政治とは何か?」
「第二部 第8章ー10 民主主義という悲劇」

「第二部 第9章ー1 パフォーマンス開演迫る」
「第二部 第9章ー2 パフォーマンス・フェスティバル開幕!」
「第二部 第9章ー3 太陽神と月の女神登場!」
「第二部 第9章ー4 奇妙な剣舞」
「第二部 第9章ー5 何かが変だ?」
「第二部 第9章ー6 回り舞台」
「第二部 第9章ー7 魔女たちの正体」
「第二部 第9章ー8 マクミラたちの作戦」
「第二部 第9章ー9 健忘症の堕天使」

「第二部 第10章ー1 魔女たちの目的」
「第二部 第10章ー2 人類は善か、悪か?」
「第二部 第10章ー3 軍師アストロラーベの策略」
「第二部 第10章ー4 メギリヌ対ナオミと・・・・・・」
「第二部 第10章ー5 最初の部屋」
「第二部 第10章ー6 ペンタグラム」
「第二部 第10章ー7 ナオミの復活」
「第二部 第10章ー8 返り討ち」
「第二部 第10章ー9 最悪の組み合わせ?」

「第二部 第11章ー1 鬼神シンガパウム」
「第二部 第11章ー2 氷天使メギリヌの告白」
「第二部 第11章ー3 最後の闘いの決着」
「第二部 第11章ー4 氷と水」
「第二部 第11章ー5 第二の部屋」
「第二部 第11章ー6 不死身の蛇姫ライム」
「第二部 第11章ー7 蛇姫ライムの告白」
「第二部 第11章ー8 さあ、奴らの罪を数えろ!」
「第二部 第11章ー9 ライムの受けた呪い」

「第二部 第12章ー1 ライムとスカルラーベの闘いの果て」
「第二部 第12章ー2 責任の神の娘」
「第二部 第12章ー3 リギスの戯れ唄」
「第二部 第12章ー4 唄にのせた真実」
「第二部 第12章ー5 アストロラーベの回想」
「第二部 第12章ー6 勝負開始」
「第二部 第12章ー7 逆襲、アストロラーベ!」
「第二部 第12章ー8 スーパー・バックドラフト」
「第二部 第12章ー9 さかさまジョージの魔術」

「第二部 最終章ー1 魔神スネール再臨」
「第二部 最終章ー2 ドルガのチョイスはトラジック?」
「第二部 最終章ー3 ナインライヴス」
「第二部 最終章ー4 ドルガの告白」
「第二部 最終章ー5 分離するダニエル」
「第二部 最終章ー6 ドルガの回想」
「第二部 最終章ー7 ドルガの提案」
「第二部 最終章ー8 ドルガの約束」
「第二部 最終章ー9 ドルガの最後?」

「第二部 エピローグ 神官マクミラの告白」

第三部闘龍孔明篇 第10章—10 最大のタブー

2019-02-22 00:00:00 | 私が作家・芸術家・芸人

「そうだ。冥界最大の禁忌を犯す。扉を開けただけでは魔界の住人たちが精神世界を通じて押し寄せてきてしまう。だから、こちら側からあちら側へ一方通行の裂け目を作る。そして一時的にダメージを与えた魔性と魔獣たちを一匹ずつ魔界へ送り返す」
「そんなことしたら、奴らが魔界で大暴れするわ」
「知ったことかと言いたいところだが、最高神と魔王たちの約束事を破ることになるな。さぞかしきびしい刑罰が待っているだろうな。だが、それが唯一の精神世界に下りてきてしまった奴らを追い払う手段だ」アストロラーベがマクミラの方を向いた。
「だから、今度の闘いではお前が指揮を執れ。我はヤヌスの鏡の禁断の扉を開き続けるために戦いに参加するわけにはいかぬ。もう用意はできている。ここにいる中から夢魔の夢の中に入り込むメンバーを選出する」
「夢魔の夢?」全員が、何のことかと聞き返した。
 夢魔の夢での戦い。
 深海でマーメイドと闘うこと、炎の中でサラマンダーと戦うことさえ、生ぬるく思えるほどの、それこそまさに最悪の悪夢。
 なぜなら夢魔が自由自在に舞台や戦闘相手を変えることができるのに対して、夢の中では自分自身も気が付かなかった潜在的恐怖が敵に回るからだ。夢魔が創り出した悪夢の中で死ぬことは、現実の死を意味する。心が死んでしまえば、身体だけが生き残っても何の意味もない。
「だが、心配するな。心強い援軍が向かっている」
「援軍?」
「蛇姫ライム、氷天使メギリヌ、唄姫リギスが、夢魔の夢に殴り込みをかけると聞いて、『そんな楽しそうなこと、いままで聞いたことがありませぬ。お楽しみを独り占めしようとしても、そうは行きませぬぞ』と言って現地で集合することになっている」
眠眠は、悪魔姫ドルガも援軍に加わっているよと言いたかったが、青龍から口止めされていた。
「さあ、時間がない。分担を決めておいた。軍師のマクミラは、すべての闘いで指揮を執ってもらう。まず、ゾンビーランドで待ち構えているのは、ビザード軍団とドラゴムだ。ここには、将軍殿とライム、そしてミスティラに行ってもらう。
 次に、ノーマンズランドで待ち構えているのは、ジェノサイダス軍団だ。ここには、メギリヌとリギスに行ってもらう。
 次に、ナイトメアランドで待ち構えているのは、“ジル”・シュリリス軍団とフェルミナだ。ここには、眠眠に行ってもらう。
 最後に、アポロノミカンランドで待ち構えているのは、・・・・・・夢魔に操られた孔明だ。ここにはナオミに行ってもらうが、秘密の助っ人を考えている。
 我とスカルラーベは降臨した神だからよいが、夢の中でも戦えるようにマクミラとナオミには後で秘術を施す。あとの連中にもフロイトの指輪を手に入れてある」
「フロイトの指輪?」
皆が不思議そうに、アルトロラーベの顔を見た。
「フロイトは、実は、神の血筋を引く者だったのだ。夜な夜な無意識の底に降りていっては学んだことを、昼間に精神分析の理論として執筆していたのだ。彼が精神分析学の秘密結社を結成した際、えり抜きの弟子たちに授けた印章指輪『フロイト・オブ・ザ・リングス』こそ、精神世界に入り込む鍵なのだ」

     

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第三部闘龍孔明篇 第10章—9 アストロラーベの決断

2019-02-18 00:00:00 | 私が作家・芸術家・芸人

「我はお前が造ったワンダーランズが最終決戦地となると確信していた。だからありとあらゆるシミュレーションをしておいた。我が血を半分吸い尽くせ! そうすれば記憶をお前に与えることができる。半分くらい血を吸われても我は死なぬ。だが、三魔性と使い魔たちのことは想定外の部分も多い。そこは、お前の予知能力と才覚で埋め合わせろ。半分の残った血で、我はこれから冥界最大のタブー2つを犯すことになる。
 よいか、マクミラ。元神官のお前は、人間界で悪の側に立とうとしても悪い波動の連中と一緒にいると耐えられなかったはずだ。それでよいのだ。悪は定義できても善は定義できぬ。善きことは善き者のすることとしか言えぬ。なぜなら自らを守るために何かを奪うことも、敵を倒すことさえ時として善となる」
「なぜ、いまさらそんなことを・・・・・・」
「お前たちは才能と修行によって神の力を磨き上げた。それはマクミラが冥界と繋がる一族だったからだし、ナオミが海神界と繋がる一族だったからだ」アストロラーベは一息ついた。「闇の力は違う。どんな一族でも、人間でさえ、怒りと怨みに己を任せてしまえば闇と繋がるし、最終的には虜囚となる。もし『神々の血を引くもの』が闇と繋がれば、その力はまさにおそるべきものとなる。究極の選択をお前たちに迫る時が来た」
「究極の選択?」
「このまま闘っても、魔性と魔獣たちを倒すことは不可能だ。万が一勝ち目があるとしたら、無理やりお前たちの力を完全に戻すことだ。人間界に来てからの経験が、お前たちを成長させていれば、さらに可能性は高まるかもしれぬ」
「わたしの覚悟はできている」マクミラが答えた。
「アストロラーベ、私も望むところ」ナオミも続く。
「冥界最高のネクロマンサーと呼ばれた私だ。お前たちを目覚めさせる秘術も心得ている。だが、それをすればお前たちは今のままではいられない」
「それは、いったい?」ナオミが言った。
「究極の秘技、最後の瞬間までその結果を伝えるのはやめておこう。後悔するかも知れぬぞ」
「後悔は絶対しない。可能性がありながら試さずに魔性のものたちの思い通りさせたら、それこそ後悔する」マクミラが言う。
「善き人間たちを助けるはずだったのに、これまで何もできなかった。だが、これこそ私の究極の使命の気がする」ナオミも言う。
「よいか、魔性たちもあれだけ強大になってはもう消滅させるのはムリだ。強い闇の力に守られているからな。万が一勝ち目があると言ったのは、もう一つの秘技を行い魔界との扉を開ける」
「魔界との扉を開ける!? いったいどうやって?」
 青白いマクミラの顔面が、さらに蒼白になった。
「ヤヌスの鏡を使う」
「そんな・・・・・・それはヤヌス神以外には禁じられた行為」

     

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第三部闘龍孔明篇 第10章—8 せまる魔性たちとの闘い

2019-02-15 00:00:00 | 私が作家・芸術家・芸人

 デトロイトの最高級ホテル、マリオット・アット・ザ・ルネッサンスセンターのスィートで、冥界メンバー、海神界縁のメンバー、天界縁のメンバーによる会議が始まった。
 アストロラーベが語ったのは、驚くべき話だった。
 ミシガン山中の4つの「悪夢と恐怖のテーマパーク」である、ゾンビーランド、ノーマンズランド、ナイトメアランド、アポロノミカンランドが、三魔性ビザード、ジェノサイダス、“ジル”・シュリリスに乗っ取られてしまったのだ。
「でも、なんでそんなことが? 定期連絡でも、そんなことまったく聞いてなかったのに」マクミラが言った。
「マクミラ、最後にミシガン山中に行ったのは?」アストロラーベが答える。
「一ヶ月前だわ」
「それなら、相手に無限の準備時間を与えたのも同じこと」夢の話ならまかせておいてとばかりに、眠眠が語りだす。「夢の中では、時間の流れの長さがまるで違う。シュリリスが、テーマパークの連中を虜にしてしまったんだ。魔性たちが人間界に降臨するには、マクミラの兄妹たちみたいに最高神から肉体を持つ許しを得るか、人間に取り憑くか、どちらかをする必要がある。でも夢を操るだけなら、精神世界にいるままでもできる」

     

「いったいテーマパークで何が起こったの?」
「さまざまな秘技を使って連中を魔性たちの配下に変化させてしまった。ゾンビー・ソルジャー計画で肉体的な変化のコントロール技術はすでにあったから、魔法の力で精神的な変化も同時に行ったことまではわかってる」
「肉体と精神の両方の変化・・・」普段はおそれというものを知らないマクミラだったが、なぜか背筋が寒くなった。
「魔性たちは、ミシガン山中で育てた精鋭たちをテロリストに仕立て上げて、世界中に災いの種をばらまこうとしている。民族対立、資源対立、宗教対立、国境対立、世界中に対立はあふれかえるほどだ。奴らは、今、微妙に不利な立場の側に核兵器どころか、それ以上に強力な武器をばらまいて世界を混乱の渦に放り込む狙いだ」アストロラーベが、計っていたかのように割り込んだ。
 すでに具体的な案は、アストロラーベの頭の中にあった。
「ナオミが参加してくれたことで準備はそろった。明日にも、テーマパークに総攻撃をかける。だが、今度の指揮を執るのは我ではない。マクミラだ」
 マクミラが反対した。それは、あまりに突然だったからだ。
「そんな、わたしはまだ戦いの式を取ったことなど一度もないわ」
「お前は、心の奥底では軍師になることを知っていたし、望んでいたはずだ。必ず名軍師になれる。覚えておけ。勝利のためなら、どれだけ批判されようと非情に徹することだ。だが、同時に駒を無駄死にさせないことも考えるのだ。


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第三部闘龍孔明篇 第10章—7 意味分かんない!?

2019-02-11 06:20:34 | 私が作家・芸術家・芸人

「どっちの質問から答えようか。やっぱ最愛の人から? う〜んと、まず自己紹介遅くなりました。コンミンの妹の眠眠です。アッ、あなたからは『こうめい』と日本語読みで呼ばれてるんだった。でも、家族は中国語読みでコンミンと呼んでます」
「答えになってない。最愛の人だなんて・・・一度も言われたことないし」

     

「ナオミ、あまり日本人の格闘家男子分かってないね。最初にコンミンのこと、やっつけちゃったよね。コンミン、ずっと気にしてたんだよ」
「そんな昔のことにこだわるなんて・・・」
「コンミンは最初からナオミをいいなと思ったし、付き合えば付き合うほど好きになった。でも、自分を負かした相手に告白するなんて沽券に拘わる」
「意味分かんない!」
「眠眠にも意味分かんないけど、コンミンの頭の中では意味が通ってた。しかも、ナオミを助けるチャンスでもボロボロで、いいところ見せられなかった。だから・・・・・・」
「だから?」
「修行することにした。友情、努力、勝利だね。仲間と一緒に修行して、いつかナオミよりはっきり強くなって告白するつもりだった。完全なバカだよね。妹の目から見ても。でも、コンミンらしいと思わない?」
「・・・・・・」
「やっぱ意味不明? さあ、おしゃべりはもうやめて本題に入ろうよ。日本からアメリカくんだりまで来た訳を話さなくちゃ」
 ナオミが眠眠のはだけたチャイナ服を引っ張ってひきおこすと、背中から胸にかけての真紅の龍のタトゥーが見えた。
「おしろい彫りなの。ふだんは見えない」
「今日は熱くなった、ということね」
「なんで知っているの。ああ、前にコンミンと同じことがあったんだ」
 気がつくと、周りが拍手をしてくれていた。
 アルトロラーベが言う。「生身の身体にしてはたいしたものだな」
 スカルラーベが言う。「いつかお二人さんと戦ってみたいものだ」
 マクミラだけは、いったい何をしてるんだかとあきれ顔だった。

     
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第三部闘龍孔明篇 第10章—6 孔明の妹

2019-02-08 00:00:00 | 私が作家・芸術家・芸人

 一匹の深紅の龍が、ナオミを睨み付けていた。
 孔明によく似た見事なたてがみ、背びれ、鱗を持っていた。美しいブラウンの瞳が、龍が雌であることを語っていた。
 マーメイドの感覚がよみがえってきたナオミは、易々と龍の攻撃をかわすことができた。だが相手もスムーズな動きをするので、打ち込んでも拳や蹴りを当てることができない。初めての相手のはずなのに、旧知の相手と組み手をしているような錯覚に陥った。
 そうだ。あの時は、孔明の逆鱗に触れてしまったんだった。
 孔明をつかまえて離さない憤怒を弾き飛ばすために、たしか・・・・・・
記憶がよみがえってきたナオミは、弓を引き絞るポーズを取ると、生体のエナジーをため込んだ。次に、身体を一回転半させて、得意の後ろ回し蹴りでミドルキックを打ち込む。あの時は、孔明にふしぎな表情が浮かんで、信じられないようなスキができた。同じように、蹴りを放った。
今回は、ナオミの後ろ回り蹴りを予測していたように、赤龍も全身を一回転させて回り蹴りで対抗してきた。4年前は、マーメイドの蹴りが決まって孔明の身体が数メートルも先のコンクリートの壁に打ち付けられた。
だが、今度は相打ちだった。
 幻視が終わった。ナオミはシャトル左端に弾き飛ばされていたが、チャイナ服の可憐な少女も右端に弾き飛ばされていた。

     

 立ち上がったナオミが近寄ると、彼女の顔色は人形のようになっていた。
 その時、頭の中に祖母トーミの声が聞こえた。
 ナオミよ、この龍、身体は眠っておるが、魂は起きてもおる。
 今は、動くためのエネジーが弾き飛ばされた状態じゃ。
 おばあさま・・・・・・本当にお久しぶり。
 ナオミよ、今宵はあまり時間がない。再び、トーミの声が聞こえてきた。
 ほんの少しでよい。この目を開いたまま夢を見ているお嬢ちゃんに、おまえのライフ・エナジーを打ち込むんじゃ。
 わかったわ。ポンと軽く肩を小突くようにすると、眠眠の目の焦点があった。
「ありがとう」
「ありがとう?」
「さすが、お兄ちゃんの最愛の人。試しがいがあったよ」
「最愛の人? 試しがい?」


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第三部闘龍孔明篇 第10章—5 赤龍対マーメイド

2019-02-04 00:00:00 | 私が作家・芸術家・芸人

 通称「デトロイト・メトロ」と呼ばれるこの空港は、年間利用者三千万人を超えるアメリカでも有数の空港の一である。6つの主要滑走路に158のゲートを有し、デルタとスピリット航空のハブ空港となっている。2つのターミナルは、国際線の乗り入れと国内線の乗り換えでつねにごった返しているが、一つはエドワード・H・マクナマラ・ターミナル、もうひとつはノース・ターミナルである。
 エドワード・H・マクナマラ・ターミナルには、3つのコンコースがあり、Aコンコースには南北1.6kmの直線状で中央にフードコートと旅客を搬送するトラムがある。トラムは、北、中央、南の3駅を持っており、約3分で結んでいる。AからB, Cコンコースへは、照明が時間とともに様々に変化する「光のトンネル」で連絡されている。
 赤、青、黄、緑、橙等の七色のような灯りがめまぐるしく変化し、まるで虹の回廊といった雰囲気を醸し出している。
 特別シャトルに入った瞬間、ナオミは殺気を感じた。
 なんだろう、これ? 隙のない殺気なのに、なんだかなつかしい。
 このオーラは、たしか・・・・・・

 あの時は、一匹の真紅の龍が3匹の神獣たちと演武をしていた。しなやかな肢体の銀狼。背後が見えないほど巨大な雷獣。そして所狭しと飛び回る金色の鷲。
はるか昔、ネプチュヌス宮殿でゆうゆうと移動する海龍を見た記憶があるが、これほど見事なたてがみ、背びれ、鱗を見たことがなかった。落ち着きを称えたブラウンの瞳と裏腹に数本の角と爪はするどくとがり、掌中には龍の王族だけが持つ御霊があった。
 振り返った龍の目が、ナオミのところで止まった。幻視からさめると、そこにはドラゴンの刺繍が入ったチャイナ服に身をつつんだ男がいた。

     

 だが、なつかしさに浸っている暇はなかった。
 左側からゆらりと飛びけりが襲ってきたが、かろうじて交わすことができた。次に、右から同じように飛びけりが襲ってきた。
 これは、孔明と彼の祖父だけが使いこなせるという龍神拳。
 だが、微妙に違う。まるで夢遊病者のようなゆらりとして動き。
 ナオミは、腕をまず交差させると、次にゆっくりと右腕を立て左腕を腰だめにして防御の姿勢を取った。
 今度も幻視が始まった。


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第三部闘龍孔明篇 第10章—4 ウェルカム・ツー・モータウン!

2019-02-01 00:00:00 | 私が作家・芸術家・芸人

「赤龍のおじいちゃんからエアメールをもらったはずね。祭青龍氏とヌーヴェルヴァーグ財団の間には昔から深いつながりがあるの。今はくわしい話をしている時間はたしかにない。だから単刀直入に言わせてもらう。わたしたちもテーマパークの支配権を取り戻さなくてはいけない事情がある。あなたとは一時休戦協定を結んで、今回のところは共同戦線を張りましょう。だけど、その前に『光のトンネル』を一周してきてもらいたいの」
「光のトンネル?」
「この条件はわたしからではなく、祭青龍氏からよ。あなたが『光のトンネル』を無事一周して来られれば、わたしたちと一緒にテーマパークにお連れするわ。感謝してほしいものね。トラムはAコンコースだけしか走らないから、特別にAからBとCを経由してAに戻ってくる特別シャトルを走らせてあげる」
「そんなことができるの?」
「ヌーヴェルヴァーグの財力がどれだけあると思っているの? 今回は、特に祭氏からの依頼もあるし、この程度は朝飯前。フッフッフッ、楽しみにしているがよい」
「なんだか楽しそうな話ね」ナオミはもう興奮と期待に胸を弾ませている。
「ウエルカム・ツー・モータウン!」マクミラがめずらしくはしゃいで言った。
 ナオミとケイティは、コンコースにすべりこんできたシャトルカーゴに乗り込んだ。

     

 モータウンとは、自動車を意味するモーターと街を意味するタウンを組み合わせて作られた造語である。デトロイトは、かつての世界最大企業GMを初めとする、Gig 3と呼ばれるアメリカの大手自動車企業が本社を持つと同時に、音楽の街でもあった。
 デトロイトが生んだ「モータウンサウンド」は、世界中で大ヒットを記録した。
 スティービー・ワンダー、ダイアナ・ロス、80年代最大のスター、マイケル・ジャクソンもジャクソンズ時代に、モータウンからデビューしている。
 ナオミとケイティがトラムに乗り込むと、海賊版込みで1億1千万枚というギネスブック認定の世界最高売り上げを記録したLP、マイケル・ジャクソンの「スリラー」のイントロが流れ出した。
 ジャッジャーン、ジャジャジャン・・・・・・

     
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