張即之(1186-1266)
沈滞気味の南宋末期の書界において、
一人気を吐いたのが張即之ある。
正統的な二王の典型から脱し、王羲之の書にさえも異論を唱え、
新風を引き吹き込み一種独特の書風を打ち立てた。
その為か、後世の評価は割れている。
この時期に中国にわたった日本僧達がこぞって張即之の書を持ち帰っていることからしても、
当時の中国での著名振りがうかがい知れる。
金剛経(1253)
張即之は敬虔な仏教信者であり、その生涯で幾つもの金剛経を書いている。
その中の一つが京都智積院に蔵されている。
堂々とした長文で一字たりとも緩みが無い。