241026_ヌラウの話
SF小説「アスカの城」より
「ところで、これから行く岩沢博士って何を研究しているんですか?」
「昔は宇宙の暗黒物質、ダークマターの研究で有名だった。でも、学界を追われてからはゼロの研究をしているの」
「『ゼロ』?何もない物をどうやって研究するんですか?」
「さあ、何もない、だから研究したって何も出ないわね。だから博士はかわりものなの」
「そこに未知のエネルギーを発見した、なんてね」
「真一君すごいじゃない。私なんか想像もできないわ。クマトわかる」
「わかります、山彦族はゼロをとっても大切にしています。山彦族の言葉でゼロはヌラウと言います。こんな神話が残っています」
クマトは少し間を置いて語り始めた「ヌラウはあらゆる物の生みの親、神様だってヌラウにはかなわない。ある時ヌラウと神様が
力比べをしました。神様は巨大な火の玉を作りヌラウに投げつけました。しかし、ヌラウはたちまちそのエネルギーを全宇宙の時間
に変えてしまいました。神様が怒れば怒るほど、時間も増えてゆき、宇宙は広がってゆき、神様が疲れ果て後ろを振り向くとそこに
無数の銀河がありました」
「その神話もかわっているわね。そんな話し聞いていると間違ってどっか別なところへ行ってしまいそう」
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