AZオーディオレビュー

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オーディオ関連製品のレビュー、電子製品評価等

AT-PHA55BT長期利用レビュー

2020年10月11日 | ヘッドホン、音響関連




転職した去年の5月頃の話
給料が増えた分、通勤時間は車10分から電車1時間20分となった
家はTX始発駅のつくばにあって、会社は東京の東側(総武線沿線)
つまりよほどのことが無ければ、出勤の時は確実に座れる
それで、Bluetoothイヤホンと共に通勤する日々が始まった

イヤホンをつけて、目を閉じて
苦しい通勤時間だけど、自分の世界に戻れるような気がして
好きな音楽を聴いて
高校の時、台北の市営バスを乗っている光景を思い出し
目を閉じれば、台北永康街の喫茶店にいるように思ってくる
東京都心へ行く満員電車を乗っているけど、自分の心のある「台北」に帰れる気がする

オーディオマニアから引退した僕にとっても
音質への拘りはそれなりにあったが
当時と比べてそこまで敏感じゃなくなった
それでも「良い音」を聴いていると、普通の物では耐えられない
だからこそBluetoothイヤホンを選ぶ段階では
ソニーのWF-1000XとAirPodは検討リストから取り除いた

WF-1000Xは本質的には9mmのミドルクラスのダイナミックドライバと左右独立しているBluetoothレシーバー
音の傾向はミドルローからミドルクラスのソニーらしい色付け、音響性能が低めで低域と中域をやや強調しダイナミック感を前面に出す
Bluetooth機能ではSBCとAACプロファイルだけjをサポートし、実質200KBpsくらいの転送データ量になる
SBCはいかに悪いものは説明するまでもなく、AACはマシだが200KBpsはやはり音質の劣化要因になりかねない
そして44.1KHz/16bitだけサポートのは音楽を聴く分は問題ないが
逆に動画、ライブなどを鑑賞するときはSRC問題が起きる

AirPodの音質的にはFostex OEMのEarPodの無線版であり
自分の最低ラインすら満たしていない

で、最初に使ってみたのは手持ちのNW-M505とMDR-EX1000の組み合わせ
自分はこのウォークマンに気に入っており
当時のソニーのEシリーズとSシリーズを思い出させるデザインは
一人のウォークマンファンとしてはたまらなかった

NW-M505は最後のS-Master MXフルデジタルアンプを採用したプレイヤーで(実質S-Maseter HXを簡略化したもの)
同じメーカーのフラグシップダイナミックイヤホンのEX1000との相性は良い
この組み合わせは昔使っていたウォークマンZ1070と傾向と音質が似ていて
さらに、NW-M505はBluetoothレシーバーとしてAPT-XとAACをサポートすることで
多少、二重エンコードによる音質ロスを軽減できるとのこと
Bluetoothを使わない時でも独立のプレイヤーとして動くのも便利だった

通勤の最初一ヶ月はこの組み合わせで聞いてきた
良い意味で音は悪くないだが、心の中で本当に聞きたい「音」にはやはり何かが足りなかったい
同時に、自分は音質への拘りはまだまだ残っているなと実感した
残るのは妥協するかしないかの選択肢のみ
一旦NW-M505を外し、EX1000をONKYO DP-X1に刺さって聞くと

「これこそが僕が欲しい音だな」

確かに、電車の中とは言えDAP(デジタルオーディオプレーヤー)は普通に使える
問題はもし上着に胸ポケットが無い場合はDAPは何処に置くこと
DP-X1のイヤホンジャックが脆弱の問題もあって
イヤホンを刺したままではズボンポケットにしめるのは宜しくない
通勤し始めた時は確かにDP-X1を使ってみたが
満員電車の中でDAPを起動、操作、聞き終わった後の片付けも負担となった
面倒くさいと思ったのでBluetoothレシーバーに切り替えた

ここで決心して入手したはオーディオテクニカのAT-PHA55BT
現役オーディオマニアから引退した身として1万円弱を出して買うのは流石に葛藤した
しばらくアマゾンの購入カートに放置していたが
アマゾンのタイムセール祭で8.5%ポイントが貰える時でようやく買った


AT-PHA55BTのDAC部はESS9118を採用し。Bluetooth A2DPのCodecもLDAC/APT-X/AACをサポートしている
LDACの最高転送速度は990KBpsであり、44.1KHz/16Bitの音楽ならほぼロスレスで転送できる
あと、特筆すべきのはAT-PHA55BTは二段階の出力抵抗を選ぶことで、ダイナミックイヤホンBA型イヤホンに最適なを提供できること

自分が持っているDP-X1のDAC部もESS9018K2Mを使っていることと
手持ちの携帯、ASUS Zenfone5とZenfone4 Pro両方もLDACをサポートすることは
購入の決断につながった

結論から言うと
AT-PHA55BTと手持ちのイヤホン、ヘッドホンとの相性は良く
久しぶりに音に対する感動を思い出した

音の傾向として
繊細で音の細さもちょっと良い、リッチさのあるもっさりは一切感じない
同社のCKR100もソニーのEX1000とも相性がよく
出力と駆動パワーは明らかにNW-M505よりも良く、高級DAP相当と感じる
実際、イヤホンと手持ちのいくつかのヘッドホンで試聴した感想では
AT-PHA55BTとDP-X1のシングルエンドの出力能力はほぼ同等であった
この二ヶ月で毎日の通勤で使い続けた感想では
AT-PHA55BTはもはやBluetoothレシーバーではなく
れっきとしたヘッドホンアンプであった

満員電車の中に
オーディオテクニカ風のバイオリンとピアノを背景に
唇の形すらはっきり分かるようなしなやかな女性ボーカルを聞き
目を閉じて
まるでヘッドホン祭のブースに居るような
この音は決して「聞きに堪える」だけではなく、寧ろ「感動」だ
もしかしたら、しばらくフラッグシップを追いかけていないせいかもしれない
でもこの感動は染み込む程真実で

「ヘッドホンを求めるいばらの道より、今ここにある美しい音に満足すべし」




AT-PHA55BTの一番の売りは出力インピーダンスが切り替えること
特にBAイヤホンとダイナミックイヤホン、そしてそれぞれのネットワーク設計により
最適インピーダンスが違うケースは沢山ある、じゃないと音が籠ったり高域が刺さったりする
当時、CK100PROの高域の刺さりを抑えるため20Ωの抵抗ケーブルも自作してました
可変インピーダンスという概念をBluetoothレシーバーまで使わせるオーディオテクニカには本当に感謝したい
小さい所ですがユーザーの声をきちんと聞き入れるメーカーと感心する

二段階の出力インピーダンスは概ねBAイヤホンとダイナミックイヤホンを対応するため
BAイヤホンは大抵自前のネットワーク回路があり
下手にインピーダンスを挟むと音のバランスは崩れやすいので0Ωにした方が良い
ダイナミックイヤホンは適宜インピーダンスを入れることで
中低高域のバランスを取りやすく、上品で音場が広がる音に変化していく
あくまで自分の印象ですが
ただ例外が無限にあるので必ずではない




色々あって今手持ちのBAイヤホンはIM03だけ
確かにゼロインピーダンスの設定では
音がはっきりして解像度が高く、楽器とボーカルのセパレーションも優秀
高インピーダンスに切り替えると、音の重さが増えやや籠るように聞こえてやはり前者の方が良い

ここまでメリットばかり書いたが本当はデメリットもそれなりにあった
当方はASUS Zenfone5(ZE620KL)で聴いているが
Androidのせいかスマホのせいか分からないか、毎回接続すると設定がデフォの96KHz/32Bit/320KBpsに戻される
このままONKYO HFPlayerを立ち上るとCDフォーマットの44.1KHzにもかかわらず48KHz/16bitにSRCされる
48KHzにSRCされて音の解像度が落ち、回避するには毎回Androidのデバッグ設定を弄らないと行けない
逆に、Hi-Res音源を聞く場合は手動で96KHz/24Bit/990KBpsに切り替えないとそのHi-Resの実力も発揮できない
あと映画、映像とYoutubeは大体48KHzだから…再生コンテンツによって設定を弄るのは最高に面倒くさいと思った

どうやらAndroidはBluetoothオーディオの場合、プライヤーの出力で送信フォーマットは連動しないのようです
SRCは何かのデメリットは何かが知らない人は自分で検索してね、記事になるくらい深いですから

もう一つの問題はどのように設定を弄ってもONKYO HF-Playerから96KHzを出力できないこと
これは多分HF-Playerの仕様のせいなので、AT-PHA55BTは単なる濡れ衣を被らせたかもしれない

バッテリーの持ちに関しては
ポタアンレベルのDACとアナログパーツを使った為
実測では6,7時間で電力低下の赤いLEDが点滅して、そのまま使い続けると30分位で完全に切れる
自分の使い方では三日間の電車通勤の後に充電する
さほど問題にならないが、これは高音質の代償なので仕方ない

まあ、書けるのはこれくらいかな
オーディオマニアから引退後でも
リュックの中には常に三種類のイヤホンと二つのDAP(DP-X1とX5 3rd)が入り
職場ではHA-P90SDをポタアンにしてヘッドホンを聞く



一般人からすれば「それでも引退と言うかよ」と思うが
自分なりの解釈では
自分を無理して一番新しい機材を聞かなくて済むのは凄く楽になった
自分が既に持ってたものをゆっくり吟味し聞くと
回りは何世代か変わっても気にせずに
新しい物も知らず、流行にも乗らず
過去の良さに浸って自得其楽(他人の目を気にしないで自分なりにその楽しさを得る)
このは、今の自分に相応しいやり方と思う

audio-technica ポータブルヘッドホンアンプ Bluetooth AT-PHA55BT



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