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ONKYOの経営危機について思うこと

2021年03月31日 | ヘッドホン、音響関連

この記事は経済、マーケティングの観点よりも、一人のオーディオ愛好家としての感想を重んじています。
ピュアオーディオ、イヤホンとヘッドホンが好きである同時に
IT産業に身を置ける自分から見ると
ONKYOは決して時代を追随するを諦めて訳ではない

ONKYOがヤバいという噂は、一年前くらいから少し耳に入っています。
ONKYOファンとして何かを貢献したいところだが、
結局一人じゃなにもできず、新製品を買おうとしてもスペース的に余裕がなく、
中古の名機は欲しいものの、ぶっちゃけいくら買ってもONKYOに一円も入らないし、
何せ本当に欲しい物は、既に手に入ったからだ。

できることは自分の思いを文字にして、
もし見てくれている読者が透き通るONKYOサウンドを体験したくなれば、
新品でONKYO製品買ってあげることをお勧めします。

|ONKYOは常に時代に合わせて変化していた

ハイエンドDAPが流行し始めた2010前半は
当時ハイエンドSoCであるQualcomm Snapdragon S801を搭載し、
2.5mmバランス出力をサポートしたDP-X1を良心的な値段で発売した。
DP-X1をベースに、高音質スマホのDP-CMX1も発売した。


ONKYO デジタルオーディオプレーヤー DPX1A(B) ハイレゾ対応


ONKYO GRANBEAT ハイレゾオーディオスマートフォン DP-CMX1(B)

完全ワイヤレスのイヤホンが流行し始めた2017年にも
より音質重視のW800BTという完全ワイヤレスイヤホンも発売した
もっとも、SE-200PCI/300PCIを始め、WAVIOシリーズのUSB DAC等々、
PCオーディオというジャンルを作りだしたのはONKYOそのものであった。


ONKYO W800BT Bluetoothイヤホン 密閉型/フルワイヤレス ブラック W800BTB

その他、HF Playerという良アプリの開発、Hi-Res DLC販売のe-Onkyo等々
実は時代に合わせて常にいい方向に向かっているなのではと思う
ONKYOが旧世代のオーディオシステムばかりを作って、時代についていけないという説はそもそも矛盾している。

 

Onkyo HF Player - Google Play のアプリ

16,000以上の個別バンドを持ち、高精細なHDイコライゼーション操作ができるタッチ調整可能なリニア位相FIRイコライザで、あなたのAndr...

 

 

 

|音質に拘る余裕さがある若者が少なくなった

じゃ何かいけなかったと自分なりに考察すると、
「ピュアオーディオ」というニーズ(マッケート規模)はそもそも慢性的に縮小していると僕が見る。
その原因は、エントリークラスイヤホンの音質改善とスマホ自体が「コンテンツサーバー」的な役割がさらに強くなる。
大手カメラメーカー各社がスマホカメラの進化に苦しまれたように、今度はオーディオメーカーが苦しまれている。

勿論、良い音を出すには、それなりの物量とコストが要る。
高級イヤホン自体は小さくできるけれども、アンプ回路はまさに物量の勝負。
しかし、エントリークラスイヤホンも常に進化していて、
ダイナミック/BAドライバの低価格化とOEM競争により「一定グレード以上の物」しかつくらなくなり
例え標準付属品のイヤホンでもオーディオ愛好家の肥えた耳にも「聞きに堪えられる」くらいの音質になった。
イヤホン、ヘッドホン業界は言わば開発費>>>生産コストの世界なので
ぶっちゃけ中国のメーカーが大手メーカーのOEMでドライバのノーハウを習い、廉価で大量生産もできるでしょう

長く、標準的な付属イヤホンとしてAppleのEarpodsが挙げられているが
我々オーディオマニアから聞くと、
「音がやや雑で解像度が並み程度、高低域の広がりはやや劣りだがまあフラット」
というグレード相当の感想を述べるでしょう
それでも殆どの人はこのレベルの音で満足していて、さらなる高音質の物があるは知っているが求めなくなる

実際に、Earpodsしか聞いたことの無い複数の友達に
3万円台のソニーXBA-N3とオーディオテクニカATH-CKR100を彼のiPhoneで聴かせたところ
「確かに音がクリアになり、低音と高音がはっきり聞こえるようになった」という感想が出た
しかし3万円で買うかと聞くと、やはり買う気がないらしい
かわりに、6000円台だけど良い音をしているイヤホン(例えば、ATH-E40)に聞かせると
今度は価格が高いという言い訳が通じないが、やはり買い換えたくない本心が見えてくる

確かに、Earpodsだって音楽が聴けるし、別に何の支障にもならない
生活さえも余裕がなくなると、イヤホンなんては完全に贅沢品。
コロナのこのご時世は、特に顕著になってくるだろう。

|スマホのイヤホンジャック廃止は、オーディオメーカーからユーザーへの繋がりを無くした

そして、イヤホンジャックを無くした最近のスマホは、強制的にイヤホンのBluetooth化を進ませ、
従来のエントリークラスからミドルクラスまでのイヤホンマーケットを壊滅させた。
勿論、良質なA2DP Bluetooth レシーバーに繋げば従来のイヤホンもそのまま使えるが、
新たにスマホで音楽を聴こうとした若者は、多分9割も完全ワイヤレスイヤホンに釣られていくでしょう。

例のEarpodsは音質があまり変わらないままAirpodsになり、2万円も要した。
同じく2万円だったら、良質なBluetoothレシーバー1万円+ミドルクラスのイヤホン1万円でもかなり音質が改善されるが、
そもそも選択肢すら入らないらしい(勧誘経験談)。

Airpodsだって付属じゃあるまいし、2万円も出してなら何故良いものを買わない、まあブランド力だろうか、
しかしAirpodsが買えない人はAirpodsに似せた中華ワイヤレスイヤホンを買う。
レビュー記事でも読んで音質に期待しているならありと思うが、案の定ゴミ音質であった上でSBC Codecしかサポートしてない(笑)。
まるで有線イヤホンでも使ったら笑わせるような風潮は、現在進行形で進んでいる。
勿論、各オーディオメーカーも完全ワイヤレスイヤホンに力を入れており。
音質は足揃えて入門クラス止まりだが少なくともAirpodsよりも良いし値段も安い、
しかしそれでも「Airpodsの安い代用品」としか見られないでしょう(苦笑)。

有線イヤホンとヘッドホンという選択肢がない(と思い込む)と、
結果的に、ライトユーザーとオーディオメーカーとの繋がりもなくなっていく。

|ホームオーディオは余裕がある大人の世界に

親父がオーディオマニアのせいか、僕が小学生の時は既にポータブルCDプレーヤーを所有していた。
次にCDラジカセが欲しくなり、お年玉を全部突っ込んでSANYOのエントリークラスの奴買った覚えがあった。
中学生頃はお父さん下がりのコンボ、アンプとスピーカーを使い、
やげて自分も給料が貰えると、スピーカーも買うようになった。

特にーカーは余程なことがなければ壊れにくい、実際、初任給でかったパイオニアのスピーカーも台湾実家で現役利用中。
ハードオフでも漁ると、それなりに高解像度クリアな音を出せる中古スピーカーは3000円くらいであっちこっちに転がっている。
特にONKYOは良質なA-OMFのコンポスピーカーは沢山出回っているので、ぶっちゃけ新品の1万円SPを買うよりこっちの方が良い。
しかいいくら中古品を買ってもONKYOに一円も入らない厳しい世界なので、古いものが良いことがあえて首を絞めることになる。

新品のハイグレード単品スピーカーは確かに音質が改善され、単品アンプと組み合わせるともっと上品な音が出してくれる。
しかし誰か新品を買うというと、心もお金もある大人しかないでしょう。
そしてその大人は、既に何かしらのスピーカーシステムを所有する可能性が高い(オーディオに興味がない大人はテレビ内蔵スピーカーで満足かな)
元々細々した商売なのに、コロナ禍で皆が家に籠り一気に全ての客層が消えてしまった。

僕がスピーカーを買う前に必ず何回も試聴しに行って買う。
それもあって、いつもお世話になるONKYOさんの販売員と色々話し合って、アマゾンより高いけど店で買っていた。
そんな僕も、コロナ禍になってスピーカーを試聴する機会もなくなり、唯一買ったD-112Eもネットのクチコミを信じて半分ギャンブルで買った。

|じゃどうしろと言うと、正直どうにもならない

この記事を書いた時点で、既に上場廃止見込みになって悲しい未来しか待ってない。
一人のONKYOファンとして、
もし、未来永劫ONKYOの新製品は世の中から消えると分かると、やはり残念でなりません。
まるで自分のソールが少し抜かれた気持ちさえあります。
例えば、今はユーザー、ファンの皆がお金を出し合ってONKYOを救えるだとしたら、
少なくとも私は生活に影響しない範囲で救ってやりたいと思います。
クラウドファンディングで一口1万円の、ONKYOの製品を購入できる商品券を発売をしたら良いかもしれないね。
1万人が10万円分を買えば10億円、少なくとも僕は10万円分は必ず買います。

ONKYOシステムから流れてきた音楽は、自分を何度も励まされた。
繊細で鮮やかな音色は忘れなく、音楽も音楽を再生するものも自分の一部となり、
時代が常に変わりゆくものの、
熱情で良い物を作ろうとした人たちに、
努力の報いがある世界でありますように。



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