ドナウ川はノヴィ・サド (Novi sad) を過ぎると再び南に蛇行し、ベオグラードまで流れ下る。
急がない旅なら一般道(100号線)、急ぐならば高速道路E75号線が、ほゞ並行に一直線、約80km
の道中である。 但し、ノヴィ・サドの郊外で見た切り、ドナウ川をベオグラードに入るまで目に
することはなく、最初に見るのがスロヴェニア山中を源とするバルカン半島の大河、サヴァ川である。
....以下の画像はすべて Oct. 10 2019 に撮影したものである。
手前の2つ(重なっている様に見えるが)は一般道の橋で、向こうの赤い橋梁は高速道路E-75
のガゼッラ (Gazella) 橋である。 これらの橋を渡ると市街地中心部である。
<ロケーション>
高速道路のシステムについて .....
● セルビアの高速道路料金支払いシステムは、その都度料金所で支払う方式(日本と同じ)で、
ベオグラード市内は無料となる(市内に入ると料金ゲートはなくなる)
同じシステムを採用している近隣国は、イタリア、クロアチア、ポーランド。
● ヴィニエット方式と云われる通行証(シート)を購入し、フロントガラスに貼る方式を取っ
ている近隣国は、オーストリア、スロヴェニア、チェコ、スロヴァキア、ハンガリー(コン
ピュータで車両番号登録の為、シールは貼らない)
ほとんどの国が最小有効期限が10日間で、どの高速道路も乗り放題で、国境のゲート又は
ガソリンスタンドで通行証は購入できる。
<市街地マップ>
ベオグラード (Beograd)
セルビア共和国の首都で人口は約175万人、セルビア共和国は2006年に独立した古くて、
新しい国。 激動と混沌とした長い建国史の中で、ユーゴスラヴィア王国→ユーゴスラヴィア
社会主義連邦共和国→ユーゴスラヴィア連邦共和国→セルビア・モンテネグロ連合国家という
変遷で、常に首都であり続けた。
この地には紀元前6000年頃から人が住んでおり、ギリシャ人が集落を見つけ、ケルト人に築か
れたヨーロッパでは最古の都市の一つであり、旧ユーゴスラヴィアで最大の街であった。
* 他の近隣諸国と同じように、紀元前1世紀からローマ帝国の属州となり都市権が与えられ、
6世紀より白セルビア人がこの地に定住を始めた(ここが他との相違点)。
* 中世では、東ローマ帝国→フランク人→第一次ブルガリア帝国→ハンガリー王国→セルビア
人の支配地となる。
* 近代では、1526年~オスマン帝国に、1687~1918年にオーストリア=ハンガリー二重帝国
の一部とされた。
その後は前回に説明したように「ユーゴの紛争」に繋がる。
① カルメグダン要塞(又の名をベオグラード城址公園)
この場所には紀元前4世紀のケルト人支配の時代から既に要塞は出来ており、歴代の支配者達
は改築を加え歴史を刻んで来た。 その要塞に公園を付加するプランを立て、1869年より造成
が始まり、サヴァ川沿いの公園は1928年に、動物園のある方の公園は1936年に完成した。
● ドナウ川とサヴァ川の合流地点 ...要塞の西端のクロールジ門より望む
向かいの森は大戦争島で、更に向こうの街がゼムン (Zemum) 地区で、オーストリア=
ハンガリー二重帝国が作った街。
● 日本の泉 ... 2010年に日本との友好記念として建造。
● クロールジ門
生憎、勝者の像(ポベドニク)は改装工事の為、要塞の中は閉鎖中。
SNS Wikipedia より拝借
● スタンボル門と時計塔
時計塔の門(サハト門)より要塞内に入るようだが、この日は閉鎖中でここまで。
● 軍事博物館の野外展示場 ... 時計塔に向かう木造の橋の下。
第一次世界大戦で実際に使用した兵器。
● フランスへの感謝記念碑と軍事博物館(背後の建物)
● サヴァ川沿いのダウンタウン ... 城址公園より望む
② 聖ミカエル大聖堂
19世紀にセルビア公ミロシュ・オブレノビッチ1世 (1780-1860) の指示で建立。
彼は第一次セルビア蜂起に参加し、セルビア独立に奉献。
ベオグラードの総人口の80%(140万人)が正教徒であるが故、多くの信者が集まる。
③ クネズ・ミハイロヴァ通り(歩行者天国)
重厚な建造物と近代的なビルが立ち並んだショッピング・プロムナード(共和国広場付近)
④ 国会議事堂
右隣なりの建物はセルビア郵便本社屋
⑤ 旧宮殿 .... 19世紀後半に建てられた
⑥ 鉄道博物館 ... この建物の向かい(写真左)にNATO軍により空爆された旧国防省ビルが
あったが失念してしまった。
⑦ スラヴィア広場
⑧ 聖サヴァ大聖堂
世界最大級の正教会で1935年に建築が着手され、未だに工事中である。
● 聖サヴァの像と大聖堂西門
● 大聖堂内部
⑨ 聖サヴァ教会(大聖堂の敷地内にある)
ちょっと、気になったカワイイ教会(何で同じ敷地内で2つも?)
⑩ セルビア国立図書館
これにて「ドナウ河岸歩き(15)ベオグラード in セルビア」は、お終いです。
本ブログをご拝読下さり、ありがとうございました。