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熱血柔道マンガとしての可能性もあった、いなかっぺ大将

2015年11月15日 | 漫画・アニメ、そして特撮

「いなかっぺ大将」といえば、「巨人の星」と並んで、川崎のぼる先生の代表作として知られる。

コミック版だけでなく、アニメでも大人気を博した作品だ。

 

世間一般的な「いなかっぺ大将」といえば、ギャグというイメージが強いのではないか。

 

私はこの作品は、雑誌連載開始当時から読み始めたのだが、連載開始当時はこの作品は熱血柔道マンガになる作品として読んでいた印象があった。

 

そう、この作品は、連載開始当時は、ユーモアの要素はあっても、基本は熱血柔道マンガという感じだった覚えがある。

大左エ門の顔は、川崎先生が描く少年ヒーロー像の顔で、星飛雄馬やイサム(「荒野の少年イサム」)と同じ系統の顔で、イケメン系だった。

 

それが、主人公が東京に来て生活を始めるにつれ、だんだんユーモアの度合いが強くなっていき、イケメンの大左エ門の顔はギャグっぽく崩れることが多くなっていった。

顔の変化で分かりやすい例が、目の形。

当初は星飛雄馬系の目の形だったのが、ユーモア度が増えて顔が崩れるにつれ、丸い目になっていった。

そして、いつしか大左エ門といえば、丸い形の目に落ち付いて行った。

当初は、ストーリー展開によって星飛雄馬系の目だったり、崩れて丸い目だったりした。

だがやがて、星飛雄馬系の目には戻らなくなり、ずっと丸い目で統一されていった印象があった。

それは、作品の方向性が熱血柔道モノから、ギャグものになっていった・・ということだったのだろう。

 

ギャグ作品の主人公が星飛雄馬系の目では似会わないしね。パロディならともかく。

 

 

熱血柔道マンガとして描き始めたが、作品の中にユーモア度を多く入れるうちに、いつしかキャラがギャグものとして躍動していった・・・そんな感じだったのかもしれない。

 

作品の中で大左エ門は、「波返し反動投げ」「キャット空中三回転」などの、柔道技をあみ出したりするので、そのままいけば熱血柔道マンガとして続けていける要素はあったと思う。

 

ただ、作品の中でユーモアが多く散りばめられ、やがて「ドボジテ」などのギャグフレーズが出てくるに及んで、どんどんギャグの要素がふくらみ、作風がギャグ路線になっていったと思う。

 

 

ライバル役の西一(にしはじめ)の存在も大きかったように思う。

 

これが柔道マンガなら、ライバルは、同じく柔道選手になったはず。

で、他のスポーツマンガ同様、主人公はライバルたちと戦い、切磋琢磨し、スポーツものの作品として話が進んでいったかもしれない。

 

だが、西は柔道でのライバルではなかった。ただの嫌味な少年であった(笑)。大左エ門に柔道とは関係なく、嫌がらせをしてきた。

でも、大左エ門と西のからみが作品を面白くしていた。

 

考えてみれば、熱血柔道マンガとして進んでゆく方向性もあったのに、西の存在が作品をどんどんギャグに引っ張って行ったような感も、個人的には持っている。

 

あと、やはりニャンコ先生の存在も大きかっただろう。これが普通の熱血スポーツ漫画だったら、猫が人間語を話すなんてありえないしね。

 

西一とニャンコ先生こそが、この作品をギャグ系作品として大成させた功労者(?)の気がする。

 

もし仮に「いなかっぺ大将」が熱血柔道マンガの方向性で進んでいったら、どんな作品になっただろう。

熱血柔道マンガとしては、「柔道一直線」(テレビではドラマだったけど)もあったし、「柔道讃歌」もあったし。

 

ただ、ギャグ系として、この作品は結果的に、川崎先生の代表作となるまでに大成功した。

熱血柔道マンガ路線で、川崎先生の代表作になったかどうかは分からない。

なったかもしれないし、ならなかったかもしれない。

 

だが、ギャグ系路線では大成功した。西一とニャンコ先生は、そういう意味じゃ功労者かもしれない。

 

 

もちろん、ギャグ系として大成功したのは、西一やニャンコ先生だけのおかげではない。

大左エ門のキャラや設定も大きい。

 

 

とりあえず、ギャグ漫画として、作品中で風大左衛門はいきいきとして、躍動していたのは確かだ。

もしも、熱血柔道マンガの道を進んでいたら、他の多くのスポーツマンガ同様に、大左衛門は苦悩したり、壁にぶちあたったり、挫折したりすることもあっただろう。

 

だが、ギャグの道を歩むことで、大左衛門は自由に活躍できていたと思う。

 

 

 

 

 


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