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原子炉耐震設計審査基準対比表(5/6)ー(静的地震力)

2016-04-30 12:11:20 | 原発

重要度分類によっては、動的荷重である地震力の影響に対する強度を計算することに静的解析をしても良いとしている。

 

 項目

発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針について

 

       (初期指針)

発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針について

 

      (旧指針)

発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針

 

(新指針)

実用発電用原子炉及びその附属施設の位置、構造及び設備の基準に関する規則および解釈

(新規制基準)

 

昭和53年9月29日

原子力委員会

  (1978年)

昭和五六年七月二〇日

原子力安全委員会決定

    (1981年)

平成18年9月19日

原子力安全委員会決定

   (2006年)

平成二十五年六月二十八日

原子力規制委員会規則第五号

      (2013年)

6.耐震設計方針

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(耐震設計方針)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(耐震設計方針)

 

 

(記載なし)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 基準地震動の評価について

1. 基準地震動に関して使用する用語の意味解釈は次による。

(1) 「解放基盤表面」とは基盤(概ね第三紀層及びそれ以前の堅牢な岩盤であって、著しい風化を受けていないもの)面上の表層や構造物がないものと仮定した上で、基盤面に著しい高低差がなく、ほぼ水平であって相当な拡がりのある基盤の表面をいう。

(2) 「活断層」とは第四紀(第180万年前以降)に活動した断層であって、将来も活動する可能性のある断層をいう。活断層の認定は地形学的及び地質学的調査並びに地震観測資料等によって求めるものとする。

(3) 「地震地体構造」とは地震規模、震源深さ、発震機構、地震発生頻度等に着目するとき、地震の発生の仕方に共通の性質をもっているある拡がりをもった一定の地域の地質構造をいう。

2. 基準地震動は、原子炉施設の建物・構築物及び機器・配管の重要度に相応した地震動として、その強さの程度に応じS1、S2の二種に区分することとした。

(1) 基準地震動S1の決定に際して考慮すべき地震は、工学的見地から起こることを予期することが適切と考えられる地震である。すなわち、歴史的証拠から過去において敷地又はその近傍に影響を与えたと考えられる地震が、近い将来再び起こり敷地及びその周辺に同様の影響を与えるおそれがあると考えることは妥当であると思われる。また近い将来敷地に影響を与えるおそれのある活動度の高い活断層による地震を考慮することも必要である。これらのうち敷地の基盤に最大の地震動を与える地震を設計用最強地震といい、これが現実に起こることを仮定して建物・構築物及び機器・配管に基準地震動S1を与えるものとしたのである。

(2) 基準地震動S2の決定に際して考慮すべき地震は、地震学的見地に立てば設計用最強地震を超える地震の発生が否定できない場合があるので地震学上設計用最強地震を上回る地震が比較的近い時代に発生したことがあると判断される場合、さらに工学的見地からの検討を加えて、これが将来再び起こると仮定したものである。しかし地震地体構造の見地及び過去の地震の発生状況からすると、それぞれの地震発生区域ごとに地震の上限があるとみなすことができるのでそのような地震の規模と発生域を敷地周辺の活断層及び地震地体構造に基づいて考えることは可能である。これら地震のうち敷地の基盤に最大の地震動を与える地震を設計用限界地震とし、それが起こると仮定して建物・構築物及び機器・配管の基準地震動S2を与えたのである。

 また解放基盤表面における地震動の諸特性は震源距離によって異なるので、設計用最強地震及び設計用限界地震の策定において近距離及び遠距離の地震を考慮することとした。

3. 基準地震動を評価するに当って考慮すべき事項を以下に示す。

(1) 評価に際して考慮すべき過去の地震の範囲は敷地の基盤の地震動を策定する上で考慮に含めることが望ましいと考えられる地震、たとえば敷地又はその周辺地域に気象庁震度階震度Ⅴ以上の地震動を与えたか又は与えたと推定される地震とする。過去の地震ではできる限り多くの資料について調査されなければならない。資料のマグニチュード、震央位置、震源深さ、余震域、被害状況等可能な限りの情報が網羅されていなければならない。また地震の被害状況と地形又は地盤との関係についても調査することが望ましい。なお、地域によっては歴史地震の空白地帯が存在することが認められている。このような場合には、周辺領域の地震について十分な調査を行うものとする。

(2) 「地震動の強さの統計的期待値」とは、たとえば河角マップあるいは金井マップのような統計的な研究成果に基づいて、敷地の基盤に起こると推定される震度、最大加速度又は速度をいう。これらの値は破壊的地震のマグニチュードと震源の見直しや、対象とする地震の範囲あるいは調査期間によって異なるので、最近までに得られた知見に基づき要すれば改めて統計的期待値を算出するものとする。

(3) 1) 設計用最強地震のマグニチュードは、敷地に影響を与えた過去の地震の生起状況を主体として、近距離に存在する活断層の状況などを考慮して定め、また、設計用限界地震のマグニチュードは、地震地体構造及び近距離に存在する活断層の規模等を考慮して定めなければならない。

 大地震は一般に同一地域でくり返し起こると認められているので、基本的には設計用最強地震のマグニチュードは敷地あるいはその近傍に影響を与えた過去の地震によって定められるものと考えられる。なお古い地震資料には不備があるかもしれないことを考慮し、また、有史期間にはたまたま発生しなかったくり返し期間の長い地震の生起を看過することがないよう、確実な地質学的証拠と工学的判断に基づいて近い将来敷地に影響を与えるおそれのある活動度の高い活断層による地震を考慮に入れることとする。

 設計用限界地震のマグニチュードは、地震地体構造及び歴史地震の分布等を地域ごとに考慮して定めることができるが、近距離に存在する活断層にも着目することとしている。しかし活断層の性質(発生する地震の規模や頻度等)は断層ごとに著しい差異があり、すべての活断層を等しく考慮に入れることは実際的でない。たとえば今後活動する可能性があるとはいえ、大地震発生の可能性が極めて低い活断層に対して、再びそれが発生することを予期するのは、工学的見地からは必ずしも適切とはいえない。したがって活断層を考慮する場合には、その活動度を評価しその大小に応じた考慮を行うものとする。

 2) 設計用最強地震あるいは設計用限界地震のエネルギー放出の中心から敷地までの距離は、過去の地震エネルギー放出の中心、近距離に存在する活断層の位置、及び地震地体構造を考慮して定めなければならない。

 地震と敷地の相互関係は地震のエネルギー放出の中心から敷地までの距離で表わすものとする。ただし、地震のエネルギー放出中心が敷地から十分な距離だけ隔っている場合は震央距離をもってかえることができる。

 3) なお、基準地震動の策定に当って基準地震動S2として考慮する近距離地震にはM=6.5の直下地震を想定するものとする。

 4) 地震動の最大振幅、周波数特性、継続時間、振幅包路線の経時的変化等と、地震のマグニチュード、震源距離あるいは基盤の岩質等、それぞれの間には、過去の観測結果に基づいて相関関係を求めた研究成果がかなりあり、必要に応じて参考とすべきである。しかし、これらの成果を参照する場合には、基礎となった観測資料について十分吟味する必要がある。

 敷地における観測結果は、有力な資料となる、しかし、微小な地震動の観測記録しか得られない場合が多く、このような記録を参照する場合には、強い地震動との諸性状の差異に十分留意することが必要である。

4. 基準地震動の策定は最大振幅、周波数特性、継続時間及び振幅包絡線の経時的変化の三要素に基づいて定めることとした。これは基準地震動がこの三要素によって適切に表現できることを踏まえたものである。

(1) 地震動の最大振幅

 地震動の振幅は速度で表わすことを原則とする。しかし、一般に短周期領域においては加速度振幅が大となり、建物・構築物及び機器・配管の設計に支配的な影響を与える傾向があるので、この点に関して注意する必要がある。

 解放基盤表面の地震動の水平方向における最大速度振幅は、地震動の実測結果に基づいた経験式あるいは適切な断層モデルに基づいた理論値を参照して定めることができる。なお実測結果に基づいた経験式は、地震のマグニチュードに応じた震源域の外ではその適用性も実証されているが、一般に震源域内では大き目の値を与えることもあり、震源域内では震源近傍の地震動の諸特性を考慮して補正あるいは震害状況から地震の強さを推測する等の方法によることは差し支えない。

(2) 地震動の周波数特性

 基盤における地震動の周波数特性は、地震のマグニチュード、エネルギー放出の中心からの距離及び基盤の振動特性等に支配されることから、これら因子について考察するほか、敷地の基盤における地震動、常時微動観測結果、又は類似の基盤における既往の測定資料等を参考として定めるものとする。

(3) 地震動の継続時間及び振幅包絡線の経時的変化

 継続時間としては、地震動の開始からそれが実効上消滅するとみなされるまでの時間を考慮する。また地震動の継続時間及び振幅包絡線と地震のマグニチュードとの間には密接な相関があると考えられるので、それぞれ設計用最強地震及び設計用限界地震のマグニチュードに応じて定めるものとする。

(解説終わり)

(解説始まり)

Ⅲ静的地震力について

1 水平地震力

(1) 水平地震力については、建物・構築物の各部分の高さに応じ、当該部分に作用する全体の地震力として算定するものとし、次の式による。

Q1=n・z・C1・W1

C1=Rt・AI・CO

この式において

Q1:水平地震力

n :重要度に応じた係数(Aクラス3.0、Bクラス1.5、Cクラス1.0)

z :地震地域係数(1.0とする。)

C1:せん断力係数

W1:当該部分が支える重量

Rt:振動特性係数で、次の表によって算出するものとする。

ただし、特別の調査又は研究の結果に基づき、建物・構築物の振動特性を表わす数値が同表の式によって算出した数値を下回ることが確かめられた場合においては、当該調査又は研究の結果に基づく値(0.7を限度とする。)まで減じたものとすることができる。

T<Tcの場合

Rt=1

Tc≦T<2Tcの場合

Rt=1−0.2((T/Tc)−1)2

2Tc≦Tの場合

Rt=(1.6Tc/T)

この表において、T及びTcはそれぞれ次の数値を表わすものとする。

T:次式により計算した建物・構築物の設計用一次固有周期(単位 秒)

T=h(0.02+0.01α)

この式において

h:建物・構築物の高さ(単位 メートル)

α:当該建物・構築物のうち柱及びはりの大部分が鉄骨構造である層の高さの合計のhに対する比

Tc:建物・構築物の基礎の底部(鋼強な支持くいを使用する場合にあっては、当該支持ぐいの先端)の直下の地盤の種別に応じて次の表に掲げる数値(単位 秒)

 

地盤の種別

Tc

  

第1種

岩盤、硬質砂れき層、その他主として第三紀以前の地層によって構成されているもの又は地盤周期等についての調査若しくは研究の結果に基づき、これと同程度の地盤周期を有すると認められるもの

0.4

第2種

第1種及び第3種以外のもの

0.6

第3種

腐植土、泥土その他これらに類するもので大部分が構成されている沖積層(盛土がある場合においてはこれを含む。)で、その深さがおおむね30メートル以上のもの、沼沢、泥海等を埋め立てた地盤の深さがおおむね3メートル以上であり、かつ、これらで埋め立てられてからおおむね30年経過していないもの、又は地盤周期等について調査若しくは研究の結果に基づき、これらと同程度の地盤周期を有すると認められるもの

0.8

           

 基準地震動の評価について

1. 基準地震動に関して使用する用語の意味解釈は次による。

(1) 「解放基盤表面」とは基盤(概ね第三紀層及びそれ以前の堅牢な岩盤であって、著しい風化を受けていないもの)面上の表層や構造物がないものと仮定した上で、基盤面に著しい高低差がなく、ほぼ水平であって相当な拡がりのある基盤の表面をいう。

(2) 「活断層」とは第四紀(第180万年前以降)に活動した断層であって、将来も活動する可能性のある断層をいう。活断層の認定は地形学的及び地質学的調査並びに地震観測資料等によって求めるものとする。

(3) 「地震地体構造」とは地震規模、震源深さ、発震機構、地震発生頻度等に着目するとき、地震の発生の仕方に共通の性質をもっているある拡がりをもった一定の地域の地質構造をいう。

2. 基準地震動は、原子炉施設の建物・構築物及び機器・配管の重要度に相応した地震動として、その強さの程度に応じS1、S2の二種に区分することとした。

(1) 基準地震動S1の決定に際して考慮すべき地震は、工学的見地から起こることを予期することが適切と考えられる地震である。すなわち、歴史的証拠から過去において敷地又はその近傍に影響を与えたと考えられる地震が、近い将来再び起こり敷地及びその周辺に同様の影響を与えるおそれがあると考えることは妥当であると思われる。また近い将来敷地に影響を与えるおそれのある活動度の高い活断層による地震を考慮することも必要である。これらのうち敷地の基盤に最大の地震動を与える地震を設計用最強地震といい、これが現実に起こることを仮定して建物・構築物及び機器・配管に基準地震動S1を与えるものとしたのである。

(2) 基準地震動S2の決定に際して考慮すべき地震は、地震学的見地に立てば設計用最強地震を超える地震の発生が否定できない場合があるので地震学上設計用最強地震を上回る地震が比較的近い時代に発生したことがあると判断される場合、さらに工学的見地からの検討を加えて、これが将来再び起こると仮定したものである。しかし地震地体構造の見地及び過去の地震の発生状況からすると、それぞれの地震発生区域ごとに地震の上限があるとみなすことができるのでそのような地震の規模と発生域を敷地周辺の活断層及び地震地体構造に基づいて考えることは可能である。これら地震のうち敷地の基盤に最大の地震動を与える地震を設計用限界地震とし、それが起こると仮定して建物・構築物及び機器・配管の基準地震動S2を与えたのである。

また解放基盤表面における地震動の諸特性は震源距離によって異なるので、設計用最強地震及び設計用限界地震の策定において近距離及び遠距離の地震を考慮することとした。

3. 基準地震動を評価するに当って考慮すべき事項を以下に示す。

(1) 評価に際して考慮すべき過去の地震の範囲は敷地の基盤の地震動を策定する上で考慮に含めることが望ましいと考えられる地震、たとえば敷地又はその周辺地域に気象庁震度階震度Ⅴ以上の地震動を与えたか又は与えたと推定される地震とする。過去の地震ではできる限り多くの資料について調査されなければならない。資料のマグニチュード、震央位置、震源深さ、余震域、被害状況等可能な限りの情報が網羅されていなければならない。また地震の被害状況と地形又は地盤との関係についても調査することが望ましい。なお、地域によっては歴史地震の空白地帯が存在することが認められている。このような場合には、周辺領域の地震について十分な調査を行うものとする。

(2) 「地震動の強さの統計的期待値」とは、たとえば河角マップあるいは金井マップのような統計的な研究成果に基づいて、敷地の基盤に起こると推定される震度、最大加速度又は速度をいう。これらの値は破壊的地震のマグニチュードと震源の見直しや、対象とする地震の範囲あるいは調査期間によって異なるので、最近までに得られた知見に基づき要すれば改めて統計的期待値を算出するものとする。

(3) 1) 設計用最強地震のマグニチュードは、敷地に影響を与えた過去の地震の生起状況を主体として、近距離に存在する活断層の状況などを考慮して定め、また、設計用限界地震のマグニチュードは、地震地体構造及び近距離に存在する活断層の規模等を考慮して定めなければならない。

 大地震は一般に同一地域でくり返し起こると認められているので、基本的には設計用最強地震のマグニチュードは敷地あるいはその近傍に影響を与えた過去の地震によって定められるものと考えられる。なお古い地震資料には不備があるかもしれないことを考慮し、また、有史期間にはたまたま発生しなかったくり返し期間の長い地震の生起を看過することがないよう、確実な地質学的証拠と工学的判断に基づいて近い将来敷地に影響を与えるおそれのある活動度の高い活断層による地震を考慮に入れることとする。

 設計用限界地震のマグニチュードは、地震地体構造及び歴史地震の分布等を地域ごとに考慮して定めることができるが、近距離に存在する活断層にも着目することとしている。しかし活断層の性質(発生する地震の規模や頻度等)は断層ごとに著しい差異があり、すべての活断層を等しく考慮に入れることは実際的でない。たとえば今後活動する可能性があるとはいえ、大地震発生の可能性が極めて低い活断層に対して、再びそれが発生することを予期するのは、工学的見地からは必ずしも適切とはいえない。したがって活断層を考慮する場合には、その活動度を評価しその大小に応じた考慮を行うものとする。

 2) 設計用最強地震あるいは設計用限界地震のエネルギー放出の中心から敷地までの距離は、過去の地震エネルギー放出の中心、近距離に存在する活断層の位置、及び地震地体構造を考慮して定めなければならない。

 地震と敷地の相互関係は地震のエネルギー放出の中心から敷地までの距離で表わすものとする。ただし、地震のエネルギー放出中心が敷地から十分な距離だけ隔っている場合は震央距離をもってかえることができる。

 3) なお、基準地震動の策定に当って基準地震動S2として考慮する近距離地震にはM=6.5の直下地震を想定するものとする。

 4) 地震動の最大振幅、周波数特性、継続時間、振幅包路線の経時的変化等と、地震のマグニチュード、震源距離あるいは基盤の岩質等、それぞれの間には、過去の観測結果に基づいて相関関係を求めた研究成果がかなりあり、必要に応じて参考とすべきである。しかし、これらの成果を参照する場合には、基礎となった観測資料について十分吟味する必要がある。

 敷地における観測結果は、有力な資料となる、しかし、微小な地震動の観測記録しか得られない場合が多く、このような記録を参照する場合には、強い地震動との諸性状の差異に十分留意することが必要である。

4. 基準地震動の策定は最大振幅、周波数特性、継続時間及び振幅包絡線の経時的変化の三要素に基づいて定めることとした。これは基準地震動がこの三要素によって適切に表現できることを踏まえたものである。

(1) 地震動の最大振幅

 地震動の振幅は速度で表わすことを原則とする。しかし、一般に短周期領域においては加速度振幅が大となり、建物・構築物及び機器・配管の設計に支配的な影響を与える傾向があるので、この点に関して注意する必要がある。

 解放基盤表面の地震動の水平方向における最大速度振幅は、地震動の実測結果に基づいた経験式あるいは適切な断層モデルに基づいた理論値を参照して定めることができる。なお実測結果に基づいた経験式は、地震のマグニチュードに応じた震源域の外ではその適用性も実証されているが、一般に震源域内では大き目の値を与えることもあり、震源域内では震源近傍の地震動の諸特性を考慮して補正あるいは震害状況から地震の強さを推測する等の方法によることは差し支えない。

(2) 地震動の周波数特性

 基盤における地震動の周波数特性は、地震のマグニチュード、エネルギー放出の中心からの距離及び基盤の振動特性等に支配されることから、これら因子について考察するほか、敷地の基盤における地震動、常時微動観測結果、又は類似の基盤における既往の測定資料等を参考として定めるものとする。

(3) 地震動の継続時間及び振幅包絡線の経時的変化

 継続時間としては、地震動の開始からそれが実効上消滅するとみなされるまでの時間を考慮する。また地震動の継続時間及び振幅包絡線と地震のマグニチュードとの間には密接な相関があると考えられるので、それぞれ設計用最強地震及び設計用限界地震のマグニチュードに応じて定めるものとする。

(解説終わり)

6.耐震設計方針

(解説の始まり)

Ⅲ.耐震設計方針について

(4)静的地震力にっいて

建物 ・構築物にっいての静的地震力の算定は以下に示す①及び②による。

また、建物構築物にっいては、当該建物構築物の保有水平耐力が必要保有水平耐力に対して、 施設の重要度に応じた妥当な安全余裕を有していることを確認するものとし、必要保有水平耐力の算定は、以下に示す③による。

①水平地震力

i)水平地震力を算定するうえでの基準面は原則として地表面とする。ただし、建物 ・構築物の構造や外周の地盤との関係等の特徴を考慮する必要がある場

合は、適切に基準面を設定し、 算定に反映させること。

ii)基準面より上の部分の水平地震力にっいては、建物・構築物の各部分の高さに応じ、 当該部分に作用する全体の地震力とし、 次の式による。

Qi=n・Ci・Wi

この式において、

Qi:基準面より上の部分に作用する水平地震力

n:施設の重要度分類に応じた係数(Sクラス3.0、Bクラス1.5、Cクラス1.0)

 

Ci:地震せん断力係数であり、次の式による。

Ci=Z・Rt・Ai・Co

Ciの算出式において、

Z:地震地域係数(地域による違いを考慮せず、1.0とする。)

Rt:振動特性係数であり、 安全上適切と認められる規格及び基準その他適切な方法により算出するものとする。 ここでいう 「安全上適切と認められる規格及び基準」 とは、建築基準法等がこれに相当する。ただし、建物・構築物の構造上の特徴や地震時における応答特性、 地盤の状況等を考慮して算定された振動特性を表す数値が、 建築基準法等に掲げる方法で算出した数値を下回ることが確かめられた場合においては、当該算定による値(0.7を下限とする。)まで減じたものとすることができる。

Ai: 地震層せん断力係数の高さ方向の分布係数であり、Rtと

同様に安全上適切と認められる規

格及び基準その他適切な方法により算出するものとする。

Co:標準せん断力係数で0.2とする。

Wi:当該部分が支える固定荷重と積載荷重の和

iii)建物・構築物の基準面より下の部分に作用する水平地震力は、次の式による。

Pk=n・k・Wk

この式において、

Pk 当該部分に作用する水平地震力

n 施設の重要度分類に応じた係数(Sクラス3.0、 Bクラス1.5、Cクラス1.0)

k 水平震度で次の式による。

k≧0.1・(1-H/40)・Z

kの算出において、

H:基準面より下の各部分の基準面からの深さ (20を超えるときは20とする。単位m)

Z :地震地域係数 (地域による違いを考慮せず、 1.0とする。)

 

Wk:当該部分の固定荷重と積載荷重の和

なお、 建物・構築物の構造上の特徴、 地震時における応答特性、 地盤の状況等を考慮して振動の性状を適切に評価して算出できる場合は、 当該算出によることができる。

②    鉛直地震力

Sクラスの静的地震力算定における鉛直地震力は、 次式による鉛直震度から算定する。

Cv=Rv・0・3

この式において、

Cv:鉛直震度

Rv::鉛直方向振動特性係数で1:0とする。ただし、特別の調査又は研究

に基づき、1.0を下回ることが確かめられた場合においては、当該調査又は研究の結果に基づく数値 (0.7を下限とする。) まで減じたものとすることができる。

③    必要保有水平耐力

必要保有水平耐力は、 安全上適切と認められる規格及び基準に基づく方法により算定するものとする。 ここでいう 「安全上適切と認められる規格及び基準」とは、 建築基準法等がこれに相当する。

なお、 必要保有水平耐力の算定においては、 地震層せん断力係数に乗じる施設の重要度分類に応じた係数は、 Sクラス、 Bクラス、 Cクラスともに.1.0とし、 その際に用いる標準せん断力係数Coは1.0とする。

(解説終わり)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(規則の解釈)

6  第4条第3項に規定する「安全機能が損なわれるおそれがないものでなければならない」ことを満たすために、基準地震動に対する設計基準対象施設の設計に当たっては、 以下の方針によること。

一  耐震重要施設のうち、 二以外のもの

・基準地震動による地震力に対して、 その安全機能が保持できること。

・建物・構築物については、常時作用している荷重及び運転時に作用する荷重と基準地震動による地震力との組合せに対して、当該建物・構築物が構造物全体としての変形能力 (終局耐力時の変形) について十分な余裕を有し、 建物・構築物の終局耐力に対し妥当な安全余裕を有していること。

・機器・配管系については、通常運転時、運転時の異常な過渡変化時及び事故時に生じるそれぞれの荷重と基準地震動による地震力を組み合わせた荷重条件に対して、 その施設に要求される機能を保持すること。 なお、上記により求められる荷重により塑性ひずみが生じる場合であっても、 その量が小さなレベルに留まって破断延性限界に十分な余裕を有し、 その施設に要求される機能に影響を及ぼさないこと。 また、 動的機器等については、 基準地震動による応答に対して、 その設備に要求される機能を保持すること。 具体的には、 実証試験等により確認されている機能維持加速度等を許容限界とすること。

なお、 上記の 「運転時の異常な過渡変化時及び事故時に生じるそれぞれの荷重」 については、 地震によって引き起こされるおそれのある事象によって作用する荷重及び地震によって引き起こされるおそれのない事象であっても、 いったん事故が発生した場合、 長時間継続する事象による荷重は、 その事故事象の発生確率、 継続時間及び地震動の超過確率の関係を踏まえ、 適切な地震力と組み合わせて考慮すること。

二  津波防護施設、浸水防止設備及び津波監視設備並びに浸水防止設備が設置された建物・構築物

・基準地震動による地震力に対して、 それぞれの施設及び設備に要求される機能 (津波防護機能、 浸水防止機能及び津波監視機能をいう。) が保持できること。

・津波防護施設及び浸水防止設備が設置された建物・構築物は、 常時作用している荷重及び運転時に作用する荷重と基準地震動による地震力の組合せに対して、 当該施設及び建物・構築物が構造全体として変形能力 (終局耐力時の変形) について十分な余裕を有するとともに、 その施設に要求される機能 (津波防護機能及び浸水防止機能) を保持すること。

・ 浸水防止設備及び津波監視設備は、 常時作用している荷重及び運転時に作用する荷重等と基準地震動による地震力の組合せに対して、その設備に要求される機能 (浸水防止機能及び津波監視機能) を保持すること。

・ これらの荷重組合せに関しては、 地震と津波が同時に作用する可能性について検討し、 必要に応じて基準地震動による地震力と津波による荷重の組合せを考慮すること。

なお、 上記の 「終局耐力」 とは、 構造物に対する荷重を漸次増大した際、 構造物の変形又は歪みが著しく増加する状態を構造物の終局状態と考え、 この状態に至る限界の最大荷重負荷をいう。

また、 耐震重要施設が、 耐震重要度分類の下位のクラスに属するものの波及的影響によって、 その安全機能を損なわないように設計すること。 この波及的影響の評価に当たっては、 敷地全体を俯瞰した調査・検討の内容等を含めて、 事象選定及び影響評価の結果の妥当性を示すとともに、 耐震重要施設の設計に用いる地震動又は地震力を適用すること。

なお、 上記の 「耐震重要施設が、 耐震重要度分類の下位のクラスに属するものの波及的影響によって、 その安全機能を損なわない」 とは、少なくとも次に示す事項について、 耐震重要施設の安全機能への影響が無いことを確認すること。

・ 設置地盤及び地震応答性状の相違等に起因する相対変位又は不等沈下による影響

・ 耐震重要施設と下位のクラスの施設との接続部における相互影響

・ 建屋内における下位のクラスの施設の損傷、 転倒及び落下等による耐震重要施設への影響

・ 建屋外における下位のクラスの施設の損傷、 転倒及び落下等による耐震重要施設への影響

 

 



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