[10]エコナ:
ナタネや大豆を原料にオレイン酸とグリセリンを化学的に反応合成した化合物でジアシルグリセロールを主成分とする合成食用油。
通常の植物性油脂はトリアシルグリセロールが多く、消化・吸収後、中性脂肪に再合成され、エネルギーとして使用されなかった分は体脂肪として蓄積されるがジアシルグリセロールは、中性脂肪に再合成されにくい特性をもっている。
しかし、トランス脂肪酸含有が5.2%と高く、厚生労働省の2003年6月16日での薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会新開発食品調査部会の審議で問題になった(文献13)。
アメリカで販売されている油のEVONAはトランス脂肪酸含有が0%と表示されている 。
[11]亜麻仁油(フラックス油)、エゴマ油(シソ油):
アレルギー児で欠乏しやすいω-3系の不飽和脂肪酸(α-リノレン酸:リノール酸が起こすアレルギー悪化を抑制する作用がある)が多く含まれているため、うまく使えば、アレルギー症状改善、神経症状緩和などに効果を発揮する。
ただし、酸化しやすく、光・酸素ですぐに過酸化脂質ができるので、遮光されたビンに入れて冷所で保存し、開封後は早めに使い切る必要がある。
また、高温で酸化・変性(トランス脂肪酸が生成されやすい)するため、40℃以上の高温になる料理では使えない。
国産のエゴマ油(シソ油)は、光(透明なガラス瓶に入れられている)、酸化(開封後は早く使い切る必要があるが表示がない)、温度(高温での調理も可能と表示されているものがある)などを考慮しないで販売されているものが多く注意が必要である。サラダなど、温度が低い調理方法の料理に少量を使う。
α-リノレン酸は野菜に含まれるため、野菜類を充分に摂取することが大切である(生野菜だけでは、充分な食物繊維、充分量の野菜を摂れないので、充分量の煮た野菜料理を食べる)。
一部の亜麻仁油は牛肉程度のダイオキシン汚染があるので、多量の摂取は避ける。
有機栽培で汚染が少ない原料を使い、トランス脂肪酸が生成されないように低温で絞り、酸化しないように酸素を遮断した方法で作られた亜麻仁油(フラックス油)はカナダのフローラ社やオメガニュトリッシュ社が販売している 。
[12]類例としての魚油:
ω-3系の不飽和脂肪酸(エイコサペンタエン酸EPAやドコサヘキサエン酸DHA)を含む油脂として魚の油脂があるが、高度のPCB・ダイオキシン、有機塩素系殺虫剤、水銀、有機スズなどの汚染があるので、汚染が少ない魚を選択し、摂取量に注意する。
エイコサペンタエン酸やドコサヘキサエン酸はα-リノレン酸から体内で合成されるので、必須脂肪酸とは言わない。魚アレルギーがあって魚に含まれるエイコサペンタエン酸やドコサヘキサエン酸を摂取できなくても、野菜・芋類・豆類・大豆発酵物(味噌など)、亜麻仁油からα-リノレン酸を摂取すれば体内で生成される。
海草にも、α-リノレン酸が多いが、有毒な無機ヒ素を含むヒジキの摂取は薦められない。他の海草を適量食べる。
文献
13)2003年6月16日厚生労働省 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会新開発食品調査部会会議議事録 http://www.mhlw.go.jp/shingi/2003/06/txt/s0616-1.txt