家内の症状が認知症であると宣言されてから早や3年余り経った。 その間にリハビリを続けながらも次第に体力は衰え現在では足腰もふらつき殆ど歩行不可能な状態にまでなってしまった。 勿論現在も歩行のリハビリは続けている。 認知症と認められて此れまでに見られて来た症状、鈍い動作や行動など軽い言語障害も含めてこんなものかと体験させられて来た。言語障害と言っても話が出来ない訳ではなく寧ろ無口になった事、時折聞き取れない表現を口にしたり、幼児言葉になったりする甘え言葉になる。大人しくなった部分、性質が可なり穏やかになりとても素直になった感じがする。元気だった頃の彼女とは打って変わった活力の失せた無言の人となった。話をすればちゃんと理解出来ているが、質問に対しては正しく応答出来ない。自分の年齢、日時、電話番号、住所などは正しく答えられない。認知症状で良く見られる記憶喪失は伴っているが、昔の記憶は良く覚えている。尿失禁の症状も有り常時オムツを必要とする。足を思うように動かせないので歩行が出来ない。普段の日常生活で当たり前に普通に出来ていた事が出来なくなる等の症状は全く認知症状と同じである。此れに良く似た症状が余り知られていない「水頭症」又は「正常圧水頭症」 (セイジョウアッスイトウショウ) [Normal Pressure Hydrocephalus]と呼ばれる脳脊髄液が頭の内側で過剰に堪る病気が有り、高齢者に発症する症状で良く認知症と誤診される事が有るのだそうだ。
家内は3年前に初期の認知症と認定されて現在に至って来たが、去る7月に或る特別な検査を試験的に試された。此処では詳細な説明は避けるが、先ず腰の脊髄に大きい注射器で液体を注入し脳に達するまでの過程をCTスキャンで追って記録を取り3日目にやっと脳に達したことが確認された。その2週間後(7月)、今度は同じ場所に近い部分の脊髄から試験管に2本を満たす量の透明な脊髄液を抜き取り(髄液排除試験)、その直後、即座に起き上がらせて床に立たせた所、信じ難い事実が皆の目前にして見せ付けられたのだ。 何と彼女は誰の支えも無く自力で真っ直ぐに立ち上がりゆっくりと歩み始めたのだった。正に奇跡的な動きが見られたのだった。僅か5,6歩の歩みであったが、今までの彼女には不可能な動きだったのだ。私は彼女に大丈夫なのかと訊ねたら唯頷いていた。自分の身体を支える体力も無いのに何故立つ事が出来たのか不思議に思えた。
9月の中旬に早速脳の手術(髄液短絡術=シャント手術と呼ばれる)に踏み切った。手術は約1時間半余りで無事完了、2週間の入院中は毎日リハビリが施された。 (続く)
家内は3年前に初期の認知症と認定されて現在に至って来たが、去る7月に或る特別な検査を試験的に試された。此処では詳細な説明は避けるが、先ず腰の脊髄に大きい注射器で液体を注入し脳に達するまでの過程をCTスキャンで追って記録を取り3日目にやっと脳に達したことが確認された。その2週間後(7月)、今度は同じ場所に近い部分の脊髄から試験管に2本を満たす量の透明な脊髄液を抜き取り(髄液排除試験)、その直後、即座に起き上がらせて床に立たせた所、信じ難い事実が皆の目前にして見せ付けられたのだ。 何と彼女は誰の支えも無く自力で真っ直ぐに立ち上がりゆっくりと歩み始めたのだった。正に奇跡的な動きが見られたのだった。僅か5,6歩の歩みであったが、今までの彼女には不可能な動きだったのだ。私は彼女に大丈夫なのかと訊ねたら唯頷いていた。自分の身体を支える体力も無いのに何故立つ事が出来たのか不思議に思えた。
9月の中旬に早速脳の手術(髄液短絡術=シャント手術と呼ばれる)に踏み切った。手術は約1時間半余りで無事完了、2週間の入院中は毎日リハビリが施された。 (続く)