「境遇」
湊かなえ著、双葉文庫、2015年10月
別々の児童養護施設で育った同い年の陽子と晴美、二人の女性の物語。
政治家の妻で息子のために描いた絵本がベストセラーとなった陽子。
ただ、その絵本には出版までに複雑な経緯があり、そのことが関係しているのか、
息子が誘拐されてしまいます。
陽子、晴美、両者の視点で事件発生から解決まで話が進み、
女性同士の愛憎が随所に感じられます。
陽子がベストセラー絵本作家としてトーク番組に出ることになるのですが、
番組名が「ミツ子の部屋」。
司会の外見の描写や番組構成が「徹子の部屋」そのまま。
ずいぶん思い切ったシーンを書くなあと思い、本編を読み終えて解説を読むと、
元々朝日放送創立60周年を記念して、朝日放送のプロデューサーが著者に依頼して、
ドラマのために書き下ろしてもらった小説とのこと。
ドラマは2011年12月に放送され、陽子を松雪泰子、晴美をりょうが演じ、
結末が小説とは異なるそうです。
Webサイトが残っていました。
朝日放送テレビ | ABC創立60周年記念スペシャルドラマ「境遇」
見たような気もするのですが、結末は覚えていません。
本書のカギとなる絵本「あおぞらリボン」が巻末に収録されています。
関連エントリ:
往復書簡
夜行観覧車
告白(書籍)