国鉄があった時代blog版 鉄道ジャーナリスト加藤好啓

 国鉄当時を知る方に是非思い出話など教えていただければと思っています。
 国会審議議事録を掲載中です。

衆-運輸委員会-5号 昭和58年03月25日 第1回

2014-10-02 22:30:56 | 国鉄関連_国会審議
みなさまこんばんは、本日から再び、衆議院の運輸委員会をご覧くださいませ。
今回は国会において、最後の再建計画と言われました。
昭和55年に制定された「日本国有鉄道経営再建促進特別措置法」が、2年ほどで改正するという議論に上がることに対して質問しているのですが、この件に関しては吉原 米治議員(社会党(現在の社民党)所属の議員で島根県から出馬した議員です。)の質問にもありますが、最後の再建策と言われた「日本国有鉄道経営再建促進特別措置法」が2年ほどで再度見直しの機運になっていることについて質問が行われているのですが、昭和55年の措置法は縮小再生産の内容ではありますが、鉄道を幹線系と地方交通線系に切り分け、幹線系だけでも先に収支の均等化を図ることを目的とした内容であり、あくまで国鉄としての再建を目指すものでした。
ただ、こうした再建計画自体が国鉄本社の中では注目されずに、作文のための作文になってしまったのは重ね重ね残念ですね。

「日本国有鉄道経営再建促進特別措置法」が国鉄の姿で改善する、ももでしたと、高木総裁が答弁しています。
しばし、当時の様子などをご覧くださいませ。



98-衆-運輸委員会-5号 昭和58年03月25日

昭和五十八年三月二十五日(金曜日)
    午前十時四分開議
 出席委員
   委員長 原田  憲君
   理事 三塚  博君 理事 宮崎 茂一君
   理事 湯川  宏君 理事 福岡 義登君
   理事 吉原 米治君 理事 西中  清君
   理事 中村 正雄君
      阿部 文男君    大村 襄治君
      鹿野 道彦君    川崎 二郎君
      久間 章生君    佐藤 文生君
      志賀  節君    谷  洋一君
      近岡理一郎君    津島 雄二君
      浜野  剛君    原田昇左右君
      井岡 大治君    小林 恒人君
      沢田  広君    下平 正一君
      山田 耻目君    浅井 美幸君
      小渕 正義君    辻  第一君
      四ッ谷光子君    中馬 弘毅君
 出席国務大臣
        運 輸 大 臣 長谷川 峻君
 出席政府委員
        内閣審議官   林  淳司君
        運輸政務次官  関谷 勝嗣君
        運輸省鉄道監督
        局長      永光 洋一君
 委員外の出席者
        日本国有鉄道総
        裁       高木 文雄君
        日本国有鉄道常
        務理事     半谷 哲夫君
        日本国有鉄道常
        務理事     橋元 雅司君
        日本国有鉄道常
        務理事     三坂 健康君
        参  考  人
        (日本鉄道建設
        公団総裁)   仁杉  巖君
        参  考  人
        (日本鉄道建設
        公団理事)   濱  建介君
        運輸委員会調査
        室長      荻生 敬一君
    ─────────────
委員の異動
三月二十四日
 辞任         補欠選任
  小山 長規君     原田昇左右君
  箕輪  登君     大村 襄治君
  毛利 松平君     志賀  節君
同日二十五日
 辞任         補欠選任
  下平 正一君     山田 耻目君
同日
 辞任         補欠選任
  山田 耻目君     下平 正一君
    ─────────────
三月二十三日
 海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第四八号)
は本委員会に付託された。
    ─────────────
本日の会議に付した案件
 参考人出頭要求に関する件
 日本国有鉄道の経営する事業の再建の推進に関する臨時措置法案(内閣提出、第九十七回国会閣法第三号)
     ────◇─────

○原田委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、日本国有鉄道の経営する事業の再建の推進に関する臨時措置法案を議題といたします。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。吉原米治君。

○吉原委員 最初にお尋ねしたい点は、今回の日本国有鉄道の経営する事業の再建の推進に関する臨時措置法案、大変長い名称の法律でございますが、ちまたでは国鉄再建の監理委員会法というのが俗称的に言われておるわけでございますが、なぜ長たらしいこの法案の名称になったのか。また、昭和五十五年の十二月だったと思いますが、現行法の日本国有鉄道経営再建促進特別措置法という法律が決まっておるわけでございまして、一見これに似通った名称になっております。特別措置と臨時措置、特別と臨時だけが違っておって、あとは現行法とほとんど似通った法案の名称になっておる。そこら辺をまず不思議に思うわけでございまして、なぜ監理委員会設置法ということで、組織法として提案されなかったのか。まずこの法案の名称のつけ方の考え方、これをひとつ最初に説明していただきたい。

○林(淳)政府委員 お答え申し上げます。
 国鉄の経営状況、これは先生御承知のとおり大変危機的な状況でございます。そこで経営形態問題も含めまして、国鉄の経営全般につきまして抜本的な検討が必要であるという状況に現在あるのではないかと思います。その場合に、今後の国鉄の事業再建につきまして、その国の施策の基本的な方向とかあるいは再建をするための全体的な枠組みというふうなことにつきまして、これはやはり法律上明らかにしませんと、これから再建をどういう方向でやっていくのかということが明確にならないわけでございまして、しかも、その中で国鉄再建監理委員会というのは一体どういう役割りを果たすのか、どういう位置づけになるのかということをその中に含めまして、トータルとして国鉄再建の方向づけ、枠組みというものをつくる、こういうことが必要であろうかと思います。そこで、いわゆる単純な国鉄再建監理委員会の設置法という形ではなくて、事業を再建するための推進臨時措置法、こういう形にしたわけでございまして、まあ単純設置法ではその辺の今後の再建の方向づけというものが明らかにならない。したがって、それを明確にするためにこういう法制にした、この方がより適切である、こういうことでございます。

○吉原委員 そうしますと、単なる組織法じゃないということ、さらには、抜本的な国鉄再建に対する手法というものを、いま枠組みという表現をなさったのですが、そういうものを検討したい、そういうふうに私はいまお聞きしたわけでございますが、この監理委員会というのは、所管は総理府にということになっておる。そうなってきますと総理府の総務長官が担当大臣になるという理解になるわけでございますが、そうなってまいりますと、いま、たまたま法案の名称のつけた理由についてお話がございましたが、一体運輸省なり国鉄としては、現行法、五十五年の十二月にあれだけ大騒ぎしてつくった、しかもこれを国鉄再建のための最後のチャンスだ、こう言われながら、わが党はこの再建案では不十分だと反対の態度を明らかにした経過があるわけでございますが、いまおっしゃったところから察しますと、現行法では国鉄の再建というのはできない、こう思っていらっしゃるのですか。まず運輸大臣、続いて国鉄総裁答えてください。現行法では国鉄の再建ができない、そうお認めになるのですか。

○長谷川国務大臣 国鉄経営再建促進特別措置法は、現行の公社形態を前提として、その経営の再建を図るために必要な施策を定めているのに対して、このたびの法律案は、現下の国鉄経営の未曾
有の危機的状況にかんがみまして、国鉄の事業再建を推進するために、経営形態の問題も含めて経営全般にわたって抜本的な検討を行うための仕組みと施策の方向、枠組みを定めるものでありますので、これらのことは、国鉄経営再建促進特別措置法の一部を改正する措置によって措置することは困難であると考えて、このたびこういうふうにしたものであります。

○高木説明員 再建措置法の方は、現行制度、仕組み等を前提としてどういうふうに立て直すかということが中心課題であったと存じますし、今回の場合にはより広い立場といいますか、より広範囲な見地からもう一度考え直そう、研究してみようということでございますので、やはりかなり性格の違ったものであるというふうに私どもは考えております。

○吉原委員 ひとつ質問にぴたり答えていただきたいのですよ、現行法ではもう再建はできないと。五十五年十二月ですからいまから二年ちょっとだ、二年半もたっていないんですよ。そのときに当時の運輸大臣を初め、国鉄総裁は現職そのままいらっしゃった。もう国鉄の再建は最後のチャンスで、この機会を逃したら再建できません、まさにがけっ緑に立ったような感じで提案なさった。それがその法律では、二年少したった今日ではいわば時代おくれといいますか、これではどうしようもない。せっかく臨調答申が出たことでもあるし、その答申を尊重して監理委員会を設置をすることについて賛成なさっておる立場でしょう。臨調も現行法では再建できない、現行法否定という立場でしょう。それを尊重する、しかも最大限尊重するとおっしゃるわけですから、そういう意味では政府みずから、国鉄みずから、運輸省みずからが現行法を否定をしておるということにつながるのじゃないですか。もう一度総裁答えてくださいよ。あなたは当時の総裁だったんだから。

○高木説明員 これはやはり立法政策の問題ではないかと思います。私どもは私どもなりに再建法によっていろいろ努力をいたしておるわけでございますけれども、それでは不十分だという御認識を政府でお待ちになって今度お出しになるんだとわれわれは考えております。
 現実の問題といたしましては、現在再建法に基づきます再建計画によって取り組んでいるわけでございますが、この再建法に基づく再建計画については、あの法律の定めるところに従いまして、一部改定を要する状況になってきたというふうには考えておりますけれども、なおそれだけでは不十分だといいますか、別の政策的な判断が加わったのが今度の法律でございますので、ある面では、いまおっしゃいますお言葉にちょっとお答えしにくいのでございますけれども、現行再建法では全く再建できないというふうには考えていないのでございますけれども、それでは不十分だというので、なお別の角度から検討しようというのが今回の法の精神ではないかというふうに考えておるわけでございまして、私はやはりそこに先生のおっしゃるような意味での矛盾というものは特に感じないわけでございます。

○吉原委員 現行法でもそれぞれ国鉄みずからが努力しなければならぬ課題や、政府がなすべき対応策、それぞれ触れられておるわけでございまして、一部補強をするという立場でというふうな御理解を総裁持っていらっしゃるようでございますが、それなら現行法の一部改正ということで今回御提案なさるならまだしも私は話がわかる。臨調自体の考え方が先ほど言いましたように現行法否定の立場に立っておる。そこから出された監理委員会という委員会を設置することについて、臨調の精神を大幅に尊重する、こういうことになりますと、現行法を否定する考え方につながる。特にこの監理委員会は総理府に置かれるということでございますから、総理府の総務長官のもとの監理委員会と、運輸省鉄監局国鉄部、そして国鉄というそこら辺の横の連絡といいますか、日本の行政の悪いところなんですが、それぞれ縦割りになっておって、なかなか横の連絡が各省とりにくいという、そういうものをもう一つわざわざつくることになるのですよ。私は、そういう意味では行革の御時勢からいってむだなことじゃないか。何でそういった別の、運輸大臣のもとに置くというならまだ話がわかるのですけれども、別の大臣のもとにまた性格の異なるといいますか、より権限を強く持った委員会を設置するというのは屋上屋を重ねる以外の何物でもないでしょう。不必要なことでしょう。第一、運輸省なり国鉄自体で、より国鉄再建に対してエキスパートを選んで、そこで現行法では不十分のところを補強していこう、こういうことでプロジェクトチームをつくって検討するというなら私はまあ話がわかる。そうじゃないんですからね。
 前回も大臣の所信表明に対して私も言ったのです。いままで運輸大臣と言ったら日本の運輸行政の最高の立場でしょう。あるいは国鉄の総裁と言ったら国鉄の経営のあなたはキャップでしょう。皆さん方が、国鉄の再建についてもうどうしようもございません、私の知恵をもってしては、力をもってしてはもうどうしようもございません、だからそういう委員会を持って専門的に企画し、審議し、決定するというのでしょう。出された意見は総理大臣といえども尊重しなければならぬ非常に権限の強い委員会、そういうものをつくって示唆してもらわなければ国鉄再建をようしないということになるのでしょう、逆に言うなら。大臣も所信表明で、私の力不足という点は若干お認めになっておりますけれども、まあ大臣は、それぞれ五十五年から言いますと、あなたは三代目の大臣ですわな。しかし一番当事者である国鉄総裁は現にそのときいらっしゃった。今回を逃がしたらもう再建の機会はありませんということで一生懸命に提案なさった。われわれ、この案では、現行法ではだめだ、こういうふうにしなさいという改正案をいまもって委員会に出しておる。みずからの経営の無力さといいますか、無能さを総裁は認めるのですか。

○高木説明員 この法律そのもので国鉄のポジションが変わるということではないというふうに考えております。ただ、私どもといたしましては、国鉄の再建問題というのはいろいろ多岐にわたる問題点がございますので、運輸省のほかに、さらに内閣全体に直結したような形で強力な機関を設けられまして、そこでもろもろの、最高方針といいますか長期方針といいますか、そういうものをお決めいただくということは、決して屋上屋を重ねることでなくて、より基本的に問題点を探ろうということであろうという意味で、あえてお尋ねがございますれば、今回の法律に基づいて新しい機関ができるということは、屋上屋を重ねるということではなくて、より強力な機関ができるという意味において大変喜ばしいという気持ちを持っております。

○吉原委員 現行法の四条で経営改善計画はすでにお立てになって、しかもこれを変更しようとするときは大臣の承認を得ながら、五十六年、五十七年とやってこられた。私は資料を要求しまして、経営改善計画をずっと進めてこられて、六十年度に幹線系で少なくとも百億の黒字を出します、こういう当初の説明だった、ところが二年半たった今日、本当に六十年に幹線系で百億の黒字を出すようなところまで進んでいっておるのかなと思ってちょっと見ました。ところが、五十六年の五月につくられた皆さんの経営改善計画、ここで六十年度の収支試算の目標を立てていらっしゃるけれども、これは完全に数字が狂ってきておる。発足して二年少しでもうこれだけ狂いが出てくるということになりますと、私は率直に申し上げて、現行法でわれわれが指摘したとおり、本当の意味の再建はできない、あるいは六十年度で幹線系で少なくとも百億の黒字を出します、こうおっしゃった当時の国鉄の経営改善計画というのま、もういわば虚構にすぎない。ですから私は、現行法ではとても再建はできませんから、今度はいろいろなことは監理委員会で企画、審議、決定をしてもらう、こういうことで現行法ではだめだと国鉄総裁なり運輸省の皆さんはお認めになるの
なら、それはまた賛成はできぬにしても話はわかるのです。現行法でやります、やっておるうちにだんだん、いま収支の試算表を見ましても、すでに数字はもう全然けた外れの食い違いが出てきておる。進んだのは何かといいますと、人員の削減だけは計画以上に進んでおりますがね。言いかえてみますと、結果的に合理化だけが先行する、人減らしだけが計画以上に進んで、あとは全部後退。絵にかいたもちにすぎなくなった。十年前ならいざ知らず、五十五年でしょう。その間大臣は三人もおかわりになったんだけれども、そういう意味で私は、現行法では真の再建はできない、だから監理委員会を設置していただくのでございます、そういう意味で歓迎をするのでございますと総裁が言うのなら、それはまたそれなりに話がわかる。しかも、臨調答申を尊重してやるとおっしゃれば、当然民営、分割。
 それでは、「効率的な経営形態」とは一体どんな形態を頭に描いてこの監理委員会に期待をするのでございますか。

○林(淳)政府委員 お答え申し上げます。
 法律に書いてございます「効率的な経営形態」というのは、特定の公団とか特殊会社、そういうふうな特定の経営形態を指しておる概念とは違いまして、一般的にどういう経営形態であっても能率的、適切、効率的な業務運営ができるような形ということを指しておるわけでございます。特定の経営形態というものを念頭に置いた表現ではございません。
 それから、先ほど来の先生の御質問にちょっと補足をさせていただきますけれども、現行特別措置法と今回の法律との関係でございますが、私どもとしては現行特別措置法というものを否定する立場には立っておりません。臨調答申は確かに民営、分割ということを提言しております。したがいまして、それを尊重してこの法案をつくっておるわけでございますけれども、ただ臨調答申は、あくまで基本的な考え方を示しているにとどまっております。したがいまして、臨調答申が指摘した事項について、さらに具体的にその内容を検討してみる必要がある。さらにその実施可能性ということについても十分検証してみる必要がある、そういうことをやるために、そういう検討を行う仕組みとしての法制、これで今回の法律を提案したわけでございまして、したがって、これからこの監理委員会でその辺を検討して結論が得られるということでございますので、あくまでこれは検討のための仕組み法でございます。したがって、現時点において現行特別措置法というものは現行経営形態のもとで生きているわけでございまして、この法律を否定しているわけではないわけでございます。いわば並行して、片一方は検討を進めていく、片一方は現行法制に基づいて経営改善を進めていく、こういう関係にあるわけでございます。

○吉原委員 多分そんな御答弁をされるだろうということは予測はしておりましたけれども、効率的な経営形態を少し考えてみたいと思います。
 現行法で一体効率的な経営形態は全然考えてないのか、こう思いますと、経営形態についても、事業量あるいは職員数といった経営規模に関する事項ですね、それから業務運営の能率化に関する事項、経営管理の適正化に関する事項、ちゃんと改善計画の中に立てられておるわけだ。後ほど触れますけれども、監理委員会の所掌事務に二つございますね。いまおっしゃった効率的な経営形態の確立、もう一つは長期債務の償還等に関する事項です。長期債務にわたっても、長期資金の無利子の貸し付けとか利子補給だとか、あるいは特定債務整理特別勘定、こういうもので長期債務に対する改善計画というのはちゃんと立てられる仕組みになっておる。現行法できちっとやればできる仕組みになっておるのですよ。同じようなことをまた監理委員会でやろうとする。現行法で触れられてないから、触れられてない問題をひとつ監理委員会でやるというならまだしも、現行法ではちゃんと政府の立場も、政府はこうしなければならぬという政府に対する注文もついておる。何で監理委員会をつくらなければならぬ、その必要性は私は全然わからない。
 特に民営、分割論議は、当然しなければならぬわけでございますが、民間などではむしろ効率的な経営形態を求めて、小さな企業は統合あるいは合併、こういう方向が常識的ですな。ところが、この監理委員会では「効率的な経営形態」と、いきなり民営、分割などという生息い表現を使ったら大変だろうから、そういう漠然とした表現を使っておられるのだろうと思いますけれども、臨調答申を最大限尊重してやるというなら、まず作業は民営、分割が一体可能かどうか、この辺から検討されるのでしょう。そういう意味で、効率的な経営形態、それに対する施策は現行法できちっと触れられておるし、国鉄なり運輸省なり政府がやろうと思えば現行法で十二分にやれる、こう私は思うわけでございますが、民営、分割の話になりましたから、民営、分割に対するどういうメリットがある、あるいはどういうデメリットが予測されるか、現在の時点で民営、分割に対する考え方を披瀝をしておいていただきたい。

○林(淳)政府委員 民営、分割ということにつきましては、先生御指摘のとおり臨調答申ははっきりとその方向を出しております。その臨調答申を尊重してと、こういうことでございますので、政府といたしましてもその基本的な方向というものは踏まえながら作業を進めていく。すなわち監理委員会におきましては、この民営、分割についてその趣旨、方向というものを踏まえながらまずは検討を進めていく。しかし、先ほど申しましたように、臨調答申はいわゆる基本となる考え方しか示しておりません。したがいまして、その実施可能性あるいは具体的内容というものはこれから詰めてみなければわからない、これから詰めてみて、その上で初めて結論が出るわけでございまして、分割、民営とか、するとかしないとかいう結論をいまから予見するわけにはまいりません。したがいまして、この法律におきましては、その方向を目指しつつも、なお慎重に検討いたしまして、それで適切な結論を監理委員会からいただこうということでございまして、いま現在分割、民営というものをその前提に置いて私どもは考えておるということではないわけでございます。あくまでその方向は目指すけれども、それがどうしてもだめな場合には別の選択もあり得る。これはこれから検討して結論を得るものである以上、当然と言えば当然でございますけれども、そういう仕組みで今回の法律を御提案を申し上げておるということでございます。

○吉原委員 民営、分割というのは、いま林さんの考え方を言われましたけれども、効率的な経営形態になるというお考えを持っていらっしゃるのですか。

○林(淳)政府委員 先ほどもちょっと申し上げましたように、効率的な経営形態というのは、民営であるとかあるいは分割であるとか、あるいは特殊会社であるとか、あるいは公社、あるいは公団というふうな特定の経営形態というものを念頭に置いた概念ではございませんで、その事業を運営していく上において、それが当該事業にとって適切な制度であるかどうか、たとえば現在の国鉄、公社制でございますけれども、当事者能力あるいは経営の自主性という面から見て果たして適切な制度であるかどうか、むしろ制度面における効率化、効率性というものを考えたというか、そういうものをとらえた概念でございます。したがいまして、分割、民営というか、それをやれば効率的な場合もございましょうし、あるいは分割によってかえって効率的でない場合もあるかもしれませんし、それはまさにこれから検討して結論を得る問題であろうか、こういうふうに考えております。

○吉原委員 そういう問題を監理委員会で検討する、まあこう逃げられるだろうとは思っておりましたが、いまあなたは国鉄の監理委員会の準備をなさっていらっしゃるようだけれども、政府の立場、運輸省の立場、国鉄の立場で考えて、何もないものを想像で言っておるのではない、今日まで
国鉄の経営は営々と続いてきた、そういう前提に立って、一体民営、分割というのが、頭の中で考えられているのが可能だろうか、あるいはそれがより効率的な経営形態の一つになるだろうか、どう考えていらっしゃるのか、ごく常識的に聞いているわけです。一遍もやったことがないので、やってみなければわからぬとか、あるいは検討してみなければわからぬと言うのなら、それはそうだと思いますが、延々と続いてきた国鉄経営に対して、国鉄の経営がどういうものかというのは皆さんよくわかっていらっしゃる。そういう前提に立って、民営、分割というのが一体可能だろうかどうだろうか、率直に一社会人としてお答え願いたいと思うのですよ。

○林(淳)政府委員 率直に申し上げまして、これはまさにこれから監理委員会で御検討願う問題でございまして、現在の国鉄の置かれた状況から見て、分割、民営化というふうなことが果たしてどういうメリット・デメリットがあるのか。これは臨調答申などでは、たとえば経営の効率化と申しますか、経営責任の確立、責任経営体制という面からは非常にメリットがあるのではないかとか、あるいは地域の実情に即した経営が可能になって、非常にきめ細かい経営ができるのではないかというふうな、いろいろな観点から分割、民営化を提言されておるわけでございますけれども、それについては、分割すればまた別にそれなりのいろいろな問題も当然予想されるでありましょうし、その辺のところ、いま現在政府側としてはこういう結論であるということを持っているわけではございませんで、まさにこれは非常にむずかしい、相当突っ込んだ慎重な検討が必要だと思いますので、これから監理委員会において、そこら辺を徹底的に検討していただくということになるのではないか、このように考えております。

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