国鉄があった時代blog版 鉄道ジャーナリスト加藤好啓

 国鉄当時を知る方に是非思い出話など教えていただければと思っています。
 国会審議議事録を掲載中です。

参議員-運輸委員会-2号 昭和五十五年十月十六日 第九話

2016-09-28 14:59:04 | 国鉄関連_国会審議
みなさまこんにちは、毎度固い内容で恐縮ですが、参議院運輸委員会からのお話を抜き出して書かせていただこうと思います。
今回も元広島鉄道管理局長、江島氏の質問からですが。地方交通線対策として道路整備がセットにおなっているのか否かと言う点で質問されています。
「地交線をどうするかというふうなことだと思いますが、その辺の対策として、先ほども私がしばしば申し上げておりますが、まずやはり道路等の整備をやって、そして地方住民の足が奪われないようにする、そういうことの不安感を除くということがこの地方交通線対策として一番必要なんじゃなかろうか。地方では、私たちがいろいろ見開きしておりますと、非常にその辺の、交通量は少ないけれども、地方の住民にとっては必要な足だということになっておるわけです。」
この辺は、非常に重要な視点だと思いますし、昨今の場合これに加えて道路整備だけではなく、沿線の住民の高齢化に伴う自動車自体を運転できない人の対策をどうするのかという視点も出てくると思うのです。
ただ、現状でもそうですが、本当に必要な道路整備よりも整備新幹線であるとか、高速道路の整備ばかりに目が行ってしまって結果的に地方の疲弊を招いていることがあまり注目されていないように思われます。

さらに、次の問題は現在のJR北海道を考えるうえで非常に重要かと思うのですが北海道は沖縄同様にかつては「北海道開発庁」(2001年1月6日までが在りました、現在は北海道開発庁は国土交通省北海道局として、省内の一部局)により北海道の一言開発がなされてきたわけですが、JR北海道は思い切って再度国土交通省の現業機関として戻したうえで、北海道の観光開発等と一元化していかないとJRとして形式上は株式会社にして置くことはむしろ北海道地方をさらに疲弊させる結果にならないかと思うのですがいかがでしょうか。
以下は、江島氏の質問(昭和54年ですから32年前の質問となりますが、こうした問題が未だ解決されずに残っているのが問題ではないかと思うのです。)
「今度の地交線などは非常に北海道は多いということで、北海道関係の皆さんからの要望事項が非常にあります。たとえば北海道では北海道開発庁がございまして、年間に七千億という巨大な投資がしてあって、北海道開発のために国が投資しておるということからしますと、先ほどのいろいろな総合交通政策とすれば、その七千億のうちからも、鉄道の整備だとかあるいは鉄道を維持していくための金ということなどが当然あって、それが国家的な見地じゃないかと思うんですけれども、そういう点に関して恐らく実際的にはなかなかタブー視されておって進んでおらないのじゃないかと思うんですが、そういうことに関してどういうふうになっているのか、」

ということで、現在の地方交通線の問題等は実は30年ほど前から何ら解決されないまま先送りになって来たのではないかと思われて仕方がありません。
何らかの改革をするのは痛みを伴うことは十分承知ですが、やはり考えていくべき問題ではないかと思います。


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*****************************以下は、審議録の内容となります。****************************************

○江島淳君 それから二番目に、「公的助成等」という項がございます。そして、いろいろ書いてありますが、たとえば今度御審議に係ってくる再建法案などでも、一番大きくなるのがたとえば地交線をどうするかというふうなことだと思いますが、その辺の対策として、先ほども私がしばしば申し上げておりますが、まずやはり道路等の整備をやって、そして地方住民の足が奪われないようにする、そういうことの不安感を除くということがこの地方交通線対策として一番必要なんじゃなかろうか。地方では、私たちがいろいろ見開きしておりますと、非常にその辺の、交通量は少ないけれども、地方の住民にとっては必要な足だということになっておるわけです。
 ですから、それの代替として、これを見ますと、道路の整備もするんだとかいうことがありますけれども、実際に具体的に建設省なんかと、たとえば地交線対策として特別に予算を、これだけの金を見るぞと、これだけの項を設けると、そういうふうなことを具体的に決めないと、なかなか地方に落としても、建設省に行ってもあるいは県に行っても、その辺の道路整備の金は、そんなものありませんと言われるのが落ちじゃないかと思うんですが、その辺のことを具体的にもうちょっと詰めていく必要があるんじゃないかと思いますが、それが実際に建設省とそういうふうなことが進んでおるのかどうかということが一点。
 それと、たとえば今度の地交線などは非常に北海道は多いということで、北海道関係の皆さんからの要望事項が非常にあります。たとえば北海道では北海道開発庁がございまして、年間に七千億という巨大な投資がしてあって、北海道開発のために国が投資しておるということからしますと、先ほどのいろいろな総合交通政策とすれば、その七千億のうちからも、鉄道の整備だとかあるいは鉄道を維持していくための金ということなどが当然あって、それが国家的な見地じゃないかと思うんですけれども、そういう点に関して恐らく実際的にはなかなかタブー視されておって進んでおらないのじゃないかと思うんですが、そういうことに関してどういうふうになっているのか、そういう具体的なことをもうちょっと詰めていただかないといけないのじゃないかという感じがするんでありますが、それに対していかがでございましょうか。
 たとえばいろいろな自治省とか建設省との話し合いを具体的に詰めていきませんと、ここには非常にきれいなことが書いてありますけれども、本当にどれだけのものが実っておるかと。たとえばけさテレビで見ておりましたら、山地局長がきのうの衆議院の運輸委員会でいろいろ言われたことに対して、もうすでにあれは大蔵省の方で反発しておるとかいうふうなことのコメントをきのうのテレビでも言っておりましたけれども、そういうふうなことをもう少し具体的に詰めていかないと、この辺、実際に進んでいくのが非常にむずかしいのじゃないかと思いますが、それに対して。
○政府委員(山地進君) まず最初の地方交通線対策で、関連道路の整備等で建設省等他省といろいろ相談をしながらやっていかなきゃいけないのじゃないか、そういうことについてどうだというお尋ねでございます。この閣議了解そのものは御承知のとおり閣議で決定したものでございまして、その中に、「国鉄地方交通線の転換に伴い、関連道路の整備を図る等所要の措置を講ずる」というのが建設省も含めた各省の合意事項でございます。ただし、建設省と、おっしゃるように具体的に個々の地方交通線の問題を議論するときには、さらに細かいお話し合いということがぜひ必要になるわけでございまして、かねてから、この法案を出す前から道路局の方とはいろいろと事あるごとにお話をして、私どもの方の国鉄の窮状をお助けいただくようにひとつ御配慮いただきたいという観点から話を進めているわけでございます。
 それから二番目に、北海道の問題を全般的に考えるべきであろうというお話でございまして、北海道開発それから交通等の整備に関しまして、北海道開発計画等で北海道開発庁がお進めいただいているわけでございますが、この地方交通線対策の実施に当たりまして、北海道のローカル線問題というのがほかの地域から比べて非常に大きな問題であるということは私どもも十分認識しているわけでございまして、これをどういうふうな形で政令等で処理していくのか。地方交通線対策を進めるに当たりましては、廃止、転換の基準等は政令で定めることに私ども考えておるわけでございますが、政令をつくる段階においてこれまた閣議で決定するわけでございますので、関係各省と十分協議しながらその点について実施をして図っていきたい、かように考えております。

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