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一般経過報告に対する質疑応答
鉄労入りが即免罪符ではない
鉄労定期大会初日、開会のセレモニーに続き午後に入って高橋副組合長から一般経過報告、岡田業務部長から協約、協定締結報告が行われ、それに対して
①人材活用センター問題
②動労との共闘問題
③組織拡大についての問題点など若干の質疑応答が行われたのち、それらを承認したが、主な質疑応答はつぎの通りである。
質問① 人材活用センターが発足したが、新聞報道によると鉄労組合員が11%も人材活用センターに入所するようでだが、鉄労にいけば新会社に行けるということと矛盾しないか。
質問② 労使協調宣言以降、動労との共闘問題が取り沙汰されているが、今後新会社に向けて四組合統一はどのようになるのか。
質問③ 処分歴をもった人が鉄労に入れば雇用がつながるということで加入しようとしているが、今後組織拡大との関係からどのように対処すべきか。
質問④ 最近鉄労組織が拡大されているにもかかわらず、新しい組合や、○○会といった改革グループが多く発足しているが、組織拡大の関連や、62年四月以降の組合組織のあり方等についてどのように考えているのか。
<本部答弁>
① 鉄労の運動方針に誤りはない、鉄労に入れば胸を張って新会社へいける。しかしそのためには自己規制しなければいけない。それは鉄労に入っているということで免罪符をもらったことにはならない。
② 動労との共闘は考えていない。だが、国労を解体させるという認識は一致しているので、同一認識については共闘ではなく共同歩調をとり、今後もさらに深度化させたい。そして四組合共同宣言連絡会も深度化させる努力をしたい。だが、動労は方針を変更したり、鉄労主導の労働運動を擁護する発言していることから、頭から何もかも否定することはできない。
統一問題については現場の意見を大切にしたい。
③ 他組合から鉄労に加入する時はきれいな体になって入ってもらいたい。しかし国労と訣別し懸命な努力をして入ってくるものは処分歴があっても暖かく迎えてもらいたい。
④ 現在、地方各地に○○会とか新組合ができている。なぜこれらの者が鉄労に入らないのか、鉄労に入る状況をつくることがまず必要である。これらの会や組合は国労から訣別してできたものがあり、鉄労と同じスタンスで結成されたものであれば、鉄労に入ってもらうように側面的な努力をしよう。また、新事業体での組合主導主義はわれわれが取るできである。そのためにも組織拡大をしなければならない。
ここで、鉄労ははっきりと鉄労中心の組織新事業体で作り上げ、労使協調路線の組合を作りあげることを宣言したのであるが、前回にも記しましたが、途中から動労がイニシアチブをとることとなり、一企業一組合という理想は絵に描いた餅となります、しかし、当時は真剣に鉄労を中心とした組合ができると真剣に考えていたのです。
さらに、大会最終日には以下のとおり、運動方針案に対する集約質疑が行われました。
大会終日、運動方針案に関する集約質疑、答弁が行われた。代議員の主な発言は、労使関係、組織拡大、新組織体のあり方などであったが、動労との共闘関係に関するものが目立った。
「松崎委員長が陳謝しても死んだ人は戻らない」「運転職場の組合員の気持ちは一朝一夕に変わらない」など、複雑な心境をのぞかせた反面、「将来のために協議会結成を割切ろう」など、積極的に対応しようという意見も展開された。
新潟 組織拡大の流れを止めることなく躍進を果たす努力をしていきたいが、次々と出てくる当局の改革施策に対する対応のために、組拡が鈍りがちである。組織拡大に邁進できるよう当局の施策対応に対し、画一的でない本部指示を求める。
国鉄改革の問題については単なる分割・民営であってはならない。鉄労主導で改革が進められる体制を確立するために、鉄労自身の足腰を強くしておく必要がある。
門司 国労組織を崩壊せしめ労使共同宣言グループに引き入れる状況となれば組織の争奪戦が始まる。各地本の実情を考えるならば、連合問題なり協議体結成に一定の割合をつけ進展させるべきだ。組織拡大が飛躍的に続いているが、大切なのは拡大の中身である。非現業の加入は当然であり現場の第一線で働く国労組合員を加入せしめてこそわれわれの成果といえる。
仙台 動労等との連合に関して過去のしがらみにとらわれることなく、鉄労を中心とする健全な労働組合が一大結集するという立場から発想の転換が必要である。新たな時代がきているという認識で大胆な連合構想を打ち出してほしい。
名古屋 労使共同宣言は国鉄改革を達成するまでの時限立法である。新たな問題提起として新事業体が経常収支を含めて正常な状態になるまで平和協定の締結を打ち出すべきだ。
新会社に移行する労働協約の中に経営協議会の設置を組み込む考え方を出すべきだ。単位については中央・地方・現業の三段階にすべきである。本部の中にもこれに対応すべき部の設置を求めたい。
現行監査委員会が民間になると監査役になる。この監査役に労働組合の代表を送り込めるような労働使協約の締結が必要である。国鉄労働者が経営に参加していく立場で社員特殊の問題についても協約の中で明らかにしておくべきだ。四組合、特に動労との共同歩調をさらに一歩突き進んで共闘というところまでいくことを”ゆるやかな協議体”は意味しているのか。賃金問題等労使が対立する問題についても共同テーブルに着くことを考えているのかどうか。”ゆるやかな協議体”を鉄労と動労の上部団体として発足させる考え方があるのか。
多くの国労組合員等が鉄労に加入している中で鉄労に対するイメージは暗く反映している。そのことは役員の資質に起因している。加入してくる人たちの価値判断に応えられる体制を作るべきだ。
札幌 62年4月以降の組織展望について特に動労との組織統合は、運転職場の組合員とでは認識に大きな隔たりがある。
松崎委員長が陳謝したことで傷は癒える。嫌がらせは忘れる。しかし彼らの運動が元で死んだ人間は戻らない。組織としての方向は理解せざるを得ない。問題は進め方に非民主制を感じさせたことだ。現実組合員と本部指導部との間に溝があるとするなら、どう修正していくか聞きたい。問題は進め方に非民主性を感じさせたことだ。現場組合員と本部指導部との間に溝があるとするなら、どう修正していくか聞きたい。動労が多数を占める職場で、鉄労を信じ、自らを信じ、耐え抜いてきた組合員に、この流れをどのように的確に伝えたらよいのか指導をお願いしたい。動労が運転部会と同じ(性格)であるとするなら、部会と動労との関係を整理してから進めるべきであった。
千葉 国鉄の経営破綻を引起した原因のひとつに民間では考えられない労使関係があった。新会社発足に向けての労使関係及び労務倒産を食い止めるべき施策として労使協議の姿勢を明確に打ち出すべきだ。現行労使協議制に関する問題点として、矢継ぎ早に出てくる国鉄改革のために施策に地方段階では消化不良を起こしている。当局提案を一方的に受けるだけでなく、組合としても具体的提案を出すべきだ。改革推進労使協議会の中で具体的に選別条件の鉄労見解を提起すべきだ。法案成立直後に移行準備宣言を鉄労から打ち出し、成立後の施策等について、労使が協調しながら進めていける体制を作るべきだ。
昨今の当局の姿勢には、驕りが見られる。国鉄改革のためには何をやっても良いという当局姿勢は是正させるべきだ。
大阪 7月20日をメドに”ゆるやかな協議体”を発足するということであるが、その名称を明らかにするとともに、これから進むべき連合体の仮称も明らかにして欲しい。動労は鉄労の指導を仰ぎたいと言っている。本当に彼らがその気ならば教育の必要性を訴えたい。雨後の竹の子のように結成された労組も含め労使共同宣言グループに対し鉄労教育方針に従った集合教育の参加を求めるべきだ。
以上引用終了
ということで、鉄労と動労の運動の差による怨嗟は現場レベルでは依然大きなものがあることからそれに対してんの不信感や、"ゆるやかな協議体”についての方向性がきちんと示されていないことに対する不安や不満が出てくるのも当然といえるでしょう。
少なくとも、今まで犬猿の仲以上にいがみ合ってきた組合同士が”ゆるやかな協議体”という形態であるにせよ合同することに警戒感を持つのは当然であり、その点をどうクリアしていくのかということが不安要素として提起される反面、鉄労発祥の地である大阪や、新潟ではむしろ、鉄労の今後の新会社に向けて積極的に施策を打つべきといった発言が目立つのも特徴であり、地域間における温度差を感じさせられます。
改めて読み見直してみますと、鉄労と動労の主導権争いがこの頃から水面下では行われていたことが窺えます。
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