国鉄があった時代blog版 鉄道ジャーナリスト加藤好啓

 国鉄当時を知る方に是非思い出話など教えていただければと思っています。
 国会審議議事録を掲載中です。

参議員-運輸委員会-2号 昭和五十五年十月十六日 第12話

2016-10-31 00:22:44 | 国鉄関連_国会審議
みなさま、2週間以上開けてしまいましたが更新させていただきます。
今回の質問では、国鉄バスについて質問をされています。
現在JRバスは、ただしJR各社の子会社(JR四国は2004年まではJR四国の直営)としなって、貸切事業などを中心に路線バスの運行も行っていますが、元々国鉄バスは、「鉄道予定線の先行、鉄道線の代行、鉄道線の培養、鉄道線の短絡」が主な目的として敷設許可されてきた経緯があり、(名神高速開業以後は、鉄道線の補完も加わる。)基本的にはに民間バスが撤退するところに国鉄バスが走る…そういったところがいくつもありました。
あと、興味深いのは、国鉄の高速バス事業が、国鉄バス本来の「鉄道線の培養、鉄道線の補完」という目的から離れて、国鉄旅客線自体の旅客数の減少(中国道開通による、高速バス事業が、姫新線の両者減を招くと言った皮肉な結果を生み、それ以後は国鉄部内でも高速バス路線の新設は慎重になったと言われています。

実際、それまで陰陽連絡の鉄道として、「伯耆・みまさか」と言った急行列車は10両編成近くで満員だったのが、晩年は2両まで減少していました。
これに関しては、国鉄バスが鉄道旅客を奪ってしまうと言うことで物議を醸したと言われています。

ただ、国鉄としても赤字であるバス事業を建て直すためにも、「国鉄バスというのがございまして、その国鉄バスは国鉄の中でも非常に赤字で、特に赤字のひどいということの位置づけをされておるところでありますけれども、現場におりますと、やはり貸し切り営業と申しますか、国鉄バスはもうちょっと貸し切り営業をやらしていただきたい」という意見が有ったと書かれているように、国鉄としては、「貸切事業」に踏み出して少しでも国鉄バスの赤字を補てんしたかったと思うのですが、民業圧迫という名のもとに認められることは有りませんでした。
その反面、国鉄は民鉄並みの効率的な運営をしろと言う矛盾を抱えていたと言えます。

結局こうした発言に対して、運輸省の見解は下記のようなものでした。

> 国鉄の貸し切りバスの新免を認めるという問題につきましては、事業の性格にかんがみまして、従来は民営バス事業者との関係を考えながら、原則として国鉄の乗り合いバス路線の沿線の住民の利便のために、既存業者だけでは貸し切り事業に対して十分対応できない場合にのみ必要な範囲で認めてきている

> 民営の方も、乗り合いバス事業はいろいろな要因で大変厳しい経営環境にございまして、乗り合い事業の赤字を貸し切りでカバーしているという会社も多うございます。また、貸し切り事業自体が若干最近は過当競争ぎみでございます。したがいまして、せっかくのお話でございますけれども、そう一遍に貸し切り事業に国鉄のバスの進出をお認めするわけにはいかないというのが実情でございます

結局は、運輸省としては国鉄バスが、本来の国鉄バスの目的である、「鉄道予定線の先行、鉄道線の代行、鉄道線の培養、鉄道線の短絡」以外は認めませんと明言しているわけで。
歴史にIFはありませんが、国鉄に対して運輸省が柔軟に貸し切りバス事業などにも早くから積極的に許可を出していたならば、国鉄と言う組織が民営化されていたのか・・・はたまた、民営化されても分割されていたのか・・・。というった幾つかの歴史のIFが出てきます。


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*************以下は、本文となります。******************************************

○江島淳君 次に、国鉄もこれからいまの話で増収を図っていかなきゃいかぬと思うのでありますが、時間がだんだんなくなりましたので、一つだけお尋ねしたいんですが、線路の方ではいろいろまだ御批判はあると思いますが、相当努力を私たち現場におるときはしておったつもりでありますが、一つだけ運輸省にお聞きしたい。
 たとえば国鉄バスというのがございまして、その国鉄バスは国鉄の中でも非常に赤字で、特に赤字のひどいということの位置づけをされておるところでありますけれども、現場におりますと、やはり貸し切り営業と申しますか、国鉄バスはもうちょっと貸し切り営業をやらしていただきたいというふうなことでも、民営鉄道のバスとの競合でなかなか現実的にそれがむずかしい。山口線のSL運転を行った際に、津和野から萩の間にバスを地元では国鉄が走らせろというふうな話がございましたが、現実的にはなかなかこれが、非公式的に現地で折衝いたしますとむずかしいというふうなこともございましたが、もう少しこの国鉄バスを貸し切り営業的にも使う、そういうふうなことがみんなの意欲を盛り立てる上にも必要じゃないかと思うんですが、そういう点に関してはいかがでございましょうか。

○政府委員(飯島篤君) 国鉄の貸し切りバスの新免を認めるという問題につきましては、事業の性格にかんがみまして、従来は民営バス事業者との関係を考えながら、原則として国鉄の乗り合いバス路線の沿線の住民の利便のために、既存業者だけでは貸し切り事業に対して十分対応できない場合にのみ必要な範囲で認めてきているものでございます。したがいまして、原則といたしまして乗り合い事業の補充ということを目的にいたしまして乗り合い事業用の予備車の一部を充当するということで承認をしてきていることは御案内のとおりでございます。そのほかに、随時承認というようなものも行っておるわけでございまして、現在五十八カ所、百五十三両、こういう状態になってございます。
 いま先生が御指摘の、もう少し拡大できないかというお話でございますが、民営の方も、乗り合いバス事業はいろいろな要因で大変厳しい経営環境にございまして、乗り合い事業の赤字を貸し切りでカバーしているという会社も多うございます。また、貸し切り事業自体が若干最近は過当競争ぎみでございます。したがいまして、せっかくのお話でございますけれども、そう一遍に貸し切り事業に国鉄のバスの進出をお認めするわけにはいかないというのが実情でございますが、せんだっても国鉄の自動車局に来てもらいまして、現在の実情並びに要望等をお伺いしたところでございまして、個々に御要望がある向きについては個別に事情を検討して対応してまいりたいというように考えております。

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