まんじゅうのつぶやき

まんじゅうです。読んだ本の感想や日々のできごとの忘備録です。最近栖が変わりました。

「仏果を得ず」三浦しをん

2013-10-04 21:14:49 | 読書のすすめ
今日は涼しかったですね。
朝なんて 寒かったほど・・・
皆さま お風邪を召しませんように。


さて 三浦しをんの「仏果を得ず」を読みました。

仏果を得ず
三浦 しをん
双葉社


文楽の世界で修行13年目の健。
師匠で人間国宝の銀大夫にある日突然言われる。

「おまはん、六月から兎一朗と組めぃ。」

兎一郎は 同じく文楽の技芸員で三味線を担当している。
この十年毎日顔を合わせているものの あいさつ以外したことのない変わりものの兎一郎と組目と言われたことに 健は戸惑う。
一緒に練習するにも ほとんど楽屋にいない兎一郎。
そのままにしておいたら 師匠に呼ばれた。

そこには 普段楽屋にいない兎一郎がいて
「俺は特定の大夫と組むつもりはありません。来月の公演だけにしてください。」
と 言われてしまう。
健ははたして 兎一郎との舞台を無事おさめることができるのか。



文楽という 身近なような遠いような日本の伝統芸能。
人間国宝 銀大夫が生涯で取った3人目の弟子である健。
過去の出来事により 特定の大夫と組むことはしないが 文楽を離れることができない兎一郎。

語りと三味線が 織りなす旋律。

文楽って見たことあるんだったけか?と 思ってしまいました。
日本人なのに・・・
若かりし頃 佐渡で見たのが文楽かと思っていましたが 今調べたらちょこっと違うみたいです。
そもそも 人形浄瑠璃と文楽の区別もよく分かりません。

昔 留学生に 松尾芭蕉について熱く語られた時 
学校で習った程度の知識では 話相手にもなれなかったことを思い出します。

そんなよく分からない文楽の世界にいざなってくれる本作。
健という等身大な主人公と一緒に さまざまな作品の世界に引き込まれます。

中でも 次の描写にはうならされました。

『「喜びありや喜びありや。我が此の処よりもほかへはやらじとぞ思ふ」
  ひときわのびやかなミラちゃんの声が、空気を澄み渡らせていくようだ。
 そうだ、『寿式三番叟』とは、こういうものだった。
 迷いや悩みをひととき忘れ、幸せを願う気持ち。
 みんなで元気に楽しく暮らしていきたいと、馬鹿みたいに単純な望みを、衒いなく表明して見せる勇気。』

文楽で語られるのは 普通の人間の苦悩と喜びや悲しみ。
つまり いろいろな人生を生き抜くということ。

この本を読むと 本物を見てみたくなる。

「仏果を得ず」お勧めです。

先週だか先々週に見た虹(おまけです)


いがぐりおは 文楽見たことある?
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