筆洗東京新聞
2013年8月4日
歴史観や国際常識に加え、国語力の欠如をもさらけ出した麻生太郎副総理の発言は世界 中から批判が集まったが、活発な国民的な議論を経ずに憲法を変えてしまえばよい、とい うのはを本音だろう▼憲法改正は国会の発議だけでなく、国民投票が必要だ。初めての体験 である。賛成、反対の立場から激しい議論が起きるのは必然だ。侃々諤々(かんかんがく がく)の議論を重ねることで国民はこの国が直面している課題への理解を深める▼結果は どうあれ、その過程を経ることで民主主義は鍛えられるはずだが、「いつの間にか」変 わっているのが理想らしい。その発想は、安倍政権の動きと重なる▼内閣法制局長官に外 務官僚を起用する異例の人事が決まった。集団的自衛権の行使を可能にする憲法解釈の見 直しに前向きな人物をトップに据える狙いは明白だ▼自衛隊の海外活動を縛ってきた法制 局の解釈は、長年にわたる国会での議論を踏まえ歴代政権が引き継いできた重みがある。 「内閣法制局長官が時の政権によって解釈を変更できるなら、企業のお抱え弁護士と変わ らない」(阪田雅裕元長官)▼集団的自衛権の行使容認は究極の「解釈改憲」である。国 民が直接、意思を示す機会を与えないまま、過半数の国会議員の賛成だけで憲法は完全に 形骸化する。憲法を変えられるのは主権者の多数意思だけだ。安倍首相は学び直した方が よい。
2013年8月4日
歴史観や国際常識に加え、国語力の欠如をもさらけ出した麻生太郎副総理の発言は世界 中から批判が集まったが、活発な国民的な議論を経ずに憲法を変えてしまえばよい、とい うのはを本音だろう▼憲法改正は国会の発議だけでなく、国民投票が必要だ。初めての体験 である。賛成、反対の立場から激しい議論が起きるのは必然だ。侃々諤々(かんかんがく がく)の議論を重ねることで国民はこの国が直面している課題への理解を深める▼結果は どうあれ、その過程を経ることで民主主義は鍛えられるはずだが、「いつの間にか」変 わっているのが理想らしい。その発想は、安倍政権の動きと重なる▼内閣法制局長官に外 務官僚を起用する異例の人事が決まった。集団的自衛権の行使を可能にする憲法解釈の見 直しに前向きな人物をトップに据える狙いは明白だ▼自衛隊の海外活動を縛ってきた法制 局の解釈は、長年にわたる国会での議論を踏まえ歴代政権が引き継いできた重みがある。 「内閣法制局長官が時の政権によって解釈を変更できるなら、企業のお抱え弁護士と変わ らない」(阪田雅裕元長官)▼集団的自衛権の行使容認は究極の「解釈改憲」である。国 民が直接、意思を示す機会を与えないまま、過半数の国会議員の賛成だけで憲法は完全に 形骸化する。憲法を変えられるのは主権者の多数意思だけだ。安倍首相は学び直した方が よい。
