原発事故3.11 今日はあの日の1日前?

第二の福島はいつでも起こる。

核と人類は共存しない

2013-08-05 21:25:27 | 日記
筆洗

2013年8月5日

「放射線がいかに人間の体を痛めつけるか。それを伝えるために生か されていると思っているんです」。爆心から八百五十メートル余の旧制 広島一中の校舎で被爆した児玉光雄さん(80)は静かに語る▼還暦の 時からがんの手術を十九回も受けた。直腸、胃、甲状腺、十六回にわた る皮膚がん…。至近距離で被爆した人に見られる「重複がん」と呼ばれ る症状だ▼あの日朝、通学した同期生約三百人のうち、生き延びたのは 二十人足らず。倒壊した校舎から奇跡的に脱出した児玉さんも四〇度を 超える高熱や歯茎からの出血、下痢に苦しみ、頭髪が抜け落ちた。生き 残った仲間も多くが若くしてがんで亡くなり、今も健在なのは二人だけ になった▼五年前、放射線影響研究所で染色体を調べる機会があった。 画像を見ると、切断された一部が修復されずに、別の染色体につながっ てしまう転座という異常が起きていることが分かった▼数値から推定す ると、児玉さんが浴びた放射線量は四・六グレイ。二人に一人が亡くな る半致死量のガンマ線四グレイを超えていた。血液をつくる幹細胞が傷 つけられたので治らないと専門家に言われ、「腰が抜けそうになるほど 落ち込んだ」という▼積極的に被爆体験を語るようになったのはこの後 だ。体験を次代に継承する育成講座の講師も務める児玉さんは命ある限 り訴える。「核と人類は共存し得ない」