阿武山(あぶさん)と栗本軒貞国の狂歌とサンフレ昔話

コロナ禍は去りぬいやまだ言ひ合ふを
ホッホッ笑ふアオバズクかも

by小林じゃ

ランダムにサンフレ昔話 その11 J1J2入れ替え戦

2014-04-21 19:07:49 | サンフレ昔話

 今回は07年の降格について。こちらもその年全体を総括するのは面倒なので、いくつかの場面を点描しながらふりかえってみる。

 この年のノートに最初に不安を書いているのは5月26日の清水戦(ビックアーチ)。終盤に戸田とヨースケのゴールで逆転勝ちしたものの、前線で寿人と龍一が孤立して8-0-2みたいに見えた。元々ミシャの守備はブロック作るからコンパクトではない時間が出てくるものだが、この07年の夏場はそれが顕著であった。

 8月29日のFC東京戦(ビッグアーチ)は0-5と大敗。ウェズレイの欠場で寿人の1トップ。寿人と右サイドの駒野をケアしながら最終ラインにプレスをかける、という相手の当たり前に見えるやり方になすすべもなく、ベンチが無策とノートに書いている。我々は洋次郎の起用など、メンバーの入れ替えを期待していたが、選手起用も硬直化していたと思う。聞くところによるとミシャのミーティングは毎回誕生日会のようなものだったとか、ワンマン体制が一度悪い方向にはまってしまうと立て直すのは難しかったということだろうか。

 10月27日の千葉戦(ビッグアーチ)、2点リードを終盤あっという間に追いつかれて引分け、同点ゴールは山岸だった。こういうゲームを見せられては、入れ替え戦を覚悟せざるを得なかった。ゲーム後、バスの待機列整理に出てきた高田豊治さんを捕まえて、このままじゃこのあと入れ替え戦も含めて一つも勝てない。何か手を打つべきじゃないかと訴えてみた。サンフレにとっては幸いな事に、一つ下の17位甲府も不振を極めていて自動降格は免れそうだ。入れ替え戦まではまだ一ヶ月以上あるのだから、そのための体制という手もあると思った。しかし、高田さんの返事は「今更動かない」というものだった。もっとも、高田さんは03年サンフレに復帰したときはGMであったけれど、07年の時点ではそうではなかったようだ。今ウィキを見ると06年からホームタウン推進本部長とある。訴えても権限はなかったのかもしれない。

 そして、12月5日の入れ替え戦初戦は西京極。全く好材料がなくて厳しい状況だったが、応援するしかない。オフィシャルツアーで出かけた。ゲームは田原に2点取られて絶望的な展開、しかし情けないことに、これは予想通りだった。いや、少なくとも一ヶ月前から予想できた事だった。まったく、応援していても座して死を待つという心境だった。この時期の強化部はミシャに丸投げで何も仕事をしていないように見えた。翌年以降好転したからといって、これで良かったとは思わない。

 そんな中で飛び出した86分の龍一のゴールは嬉しかった。このアウェイゴールで流れが変わるかもしれない、それにかけるしかなかった。このとき、私にとっては思いがけないことが起きた。それは、龍一のゴールを喜んでいたら、突然隣に覆面男が現れた。わたしゃプロレスとかに疎いので何の覆面かはわからない。そして、私と肩を組んでガニマタでぴょんぴょん何回か跳ねてから去って行った。その時は、まだ時間が残っていたし確かめる余裕はなかった。ゲームはそのまま2-1で敗れた。

 ゲーム後片付けていたら後ろから声をかけられて、振り向いたら関西の大学に進学したユースOB3人、後に岡山に入った福本尚純や今は札幌にいる金山隼樹がいた。ユースを離れたあともサンフレを応援に来てくれるのはうれしいことだった。そして、3人の顔を見た瞬間、さっきの覆面男は遊佐克美ではないかとひらめいた。ガニマタで跳ねる足に見覚えがあった。遊佐はこの年は7月8日のナビスコ準々決勝鹿島戦(ビッグアーチ)で途中出場、ペナの中で得意技のダイブを披露したが、家本主審はPKもシミュレーションも取らず私としては残念だった・・・。そこで、龍一や遊佐と同期の金山に今日遊佐は来ていたかと聞いてみた。そしたらさっきまでそこにいたと言って笑う。これで答え合わせは終わった。現役サンフレ選手と肩を組んでゴールを喜んだのは、さすがにこの時だけだ。龍一のゴール、遊佐の登場、そして金山との会話は、サンフレ観戦歴20年間でもワーストに情けないこの時期唯一といっていいほどの明るい思い出だ。この日のチケットには龍一にサインもらってコレクションに加えた(画像)。

 この結果を受けての12月8日の第2戦(ビッグアーチ)は、1-0で勝てばアウェイゴールが効いて残留できる。そして、ゲームもその通り0-0で進んだのだが、1点を取る力がなかった。終了間際、槙野のオーバーヘッドがころころと右に外れたシーンは忘れられない。入れ替え戦だから仕方ないが、目の前で入れ替わるのは辛いものだった。二度とやりたくないもんじゃね・・・

 選手たちが挨拶に来た頃、B6に監督続投反対の幕が出る。私がいたバックスタンドからは降ろせと非難の声が上がった。でも、これを用意できるということは試合前から続投が決まっていたということだ。そのあとに社長や強化部長がサポーターの前でハンドマイクを握ったけれど、どうして降格したか、どう立て直すかという話はなかった。ただ、ミシャを信頼して任せると繰り返した。この年は戦術、選手起用が硬直していたにもかかわらず、全く修正できないまま降格の日を迎えた印象だった。原因があって結果が出ている。続投させるにしても、今年の反省の上に注文をつけるのが当然だと思うが、そういう話ではなかった。別室に移って第2ラウンドがあったようだが、私は帰ることにした。何ヶ月も情けないゲームを見せておいて、これはないと思った。何度も言うが、翌年からの成績が良かったからといって、これで良かったとは思わない。

 ただ、この日のゲーム後、寿人がサポーターの前で残留宣言をしたのは、重要なことだった。その時は腹が立っていたからすんなり耳に入ってこなかったが、これがなかったら今のチームはどうなっていたかわからない。寿人の貢献度というのは、本当に群を抜いている。

 降格というのはつらいものだ。しかし、ガンバやジュビロも落ちる時代、3度目はそのうちやってくると考えておいた方がいいだろう。その時どう行動するか、若いサポーターも頭の片隅に置いといてほしいと思って書いてみた・・・

 



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