阿武山(あぶさん)と栗本軒貞国の狂歌とサンフレ昔話

コロナ禍は去りぬいやまだ言ひ合ふを
ホッホッ笑ふアオバズクかも

by小林じゃ

栗本軒貞国 狂歌索引

2020-03-09 09:31:16 | 栗本軒貞国
歴史的仮名遣いではなく、声に出して読んだ時のアイウエオ順とした。

出典一覧(順不同)

 狂歌家の風(近世上方狂歌叢書9)
 狂歌桃のなかれ(『狂歌桃のなかれ』書誌・影印・翻刻)
寝 狂歌寝さめの花(武庫川国文21)※葵という作者名で入集
 芸陽佐伯郡保井田邑薬師堂略縁起並八景狂歌 (五日市町誌)
 狂歌あけぼの草序(五日市町誌)
 貞格冠字ゆるしふみ(五日市町誌)
 永井氏蔵屏風(内海文化研究紀要11号)
 岡本泰祐日記 (沼田町史)
 吉水録(加計町史)
 龍孫亭書画帳(加計町史)
 都谷村石川淺之助氏所蔵古文書(山県郡史の研究)
 戸河内狂歌集(戸河内町史)
 聖光寺辞世狂歌碑
 出典不明(尚古参年第八号 栗本軒貞国の狂歌 ) 
 出典不明(柳井地区とその周辺の狂歌 )
 出典不明(大野町誌)
 出典不明(山県郡史の研究)
 出典不明(徒然の友)
 小林じゃ(ブログ主)蔵掛軸 「福の神わさ」
雪 小林じゃ(ブログ主)蔵掛軸 「雪月花」

ア行
アイソニモ あいそにも少しは出して見せよかし月をかくしたけふのうき雲 
アカツキノ 
あかつきの星かあらぬか大尽をおきまとはせる床のしら菊 家
アキノキテ 
あきの来て恋風かよそへ吹からにむへ山の神あらしといふらん 家
アケテイテ 
明て居てなとかは外へうつるへき泣つふせとや見初たる目を
アズサユミ 
あつさ弓夕への風の涼しさにぬいたるかたもいるゝものゝふ 
アタマカラ 
あたまからかくれたるよりあらはるゝおきてをしめす福の神わさ
アツキヒオ 
暑き日をしのきかねてかふし山もかしらをひやす諏訪のみつうみ 家
アツキヒニ 
暑き日に人の肝まてひやさすはいかなたくみのこゝろふとそや
アトノツキニ 
あとの月に引たる駒のまくさともならて嬉しきけふのさや豆 家
アマグモオ 
雨雲をとくひ来りてしるしあれや祈るこゝろの空しからすは 家
アマヒキニ 
雩に感応のなき夏よりも悲しき秋のなかそらの雨 家  
アメツチノ 
あめつちのつくり初穂のみつきもの若菜は時をたかやさすして 家  
アメツユノ 
雨露のめくみに木ゝのまことをはあらはして咲花のくちひる 家
アリガタヤ 
有難やこのみに取て上もなきたち花様の御意をいたゝく家  
イイイズル 
いゝいつる言の葉もみな和歌めくや今朝は見るもの聞く物につれ 桃
イクチヨモ 
幾千代もかはりなし地と祝いぬるご夫婦仲もよし野塗師や 柳寝
イケヅツノ 
活筒のひとよきりより一夜酒の銚子にさゝん夏菊の花 家  
イチモンモ 
一文もなけれはちんともならぬ也銭てかはちをたたく風鈴 家  
イツシカニ 
いつしかに身はくちなはのあすしらぬそのひはかりの頼みかたきよ
イツマデモ 
いつまても長生の名は高砂や老も若木の十八の公 
イツマデモ 
いつ迄も位してよめ冠のていよき歌の格をたかへす
イノチガケノ 
命かけの勝負と山を打みれは気もすころくのさいか谷かな
イノチネワ 
いのち根は千万おくて長いきのたねおい初る宿のなはしろ
イモウリワ 
芋売は我ものにして詠らんあすのもふけをまつ宵の月
イロニメテ
いろに愛てゝあかねうらとも錦とも詠る人のきゝの紅葉ゝ家尚
ウカウカト  
うかうかとした間に年は境目の瓢たんからり明けの春駒    尚
ウカレイデ 
浮れ出で内には山の神もなく明屋計ぞ見吉野の里       尚 ○
ウチイワウ  
打祝ふ印地の石も年を経て粽の粉をひく臼となるまて 家 ◎
ウチツイデ 
うちついてとかめらりよかと忍路の人目の関はこへも得たてす 家
ウマカゴノ   
馬駕籠の心遣ひも南無あみた仏の道はろく字はかりて          家 ◎
ウマカゴヤ   馬駕籠や人足つれて西行にはるか高みのふしを見る旅        家        
ウラナイモ  
占も考て取れ早わらひの握りこふしの中のあてもの 家
ウルシニワ  
うるしにはあらねと是もぬり池のもやうと見ゆる青かいるかな 家 ◎
ウロクスモ  
うろくすも生るをはなつ海草の底のも中のけふの月影 戸
エチゴジノ 
越後路の雪吹をおもふ涼風やひいやりと身もちゝみかたびら 尚
オイテユク  
老いて行身の入まいのめてたさよ門田の稲と共につくつゑ 家
オイノミノ  
老の身のひらふ歩行路につく杖の其古を忍ふ竹馬 桃 ○
オギノハノ 
荻の葉のおとつれさへも悲しきに常なき風の吹秋はさそ 家
オトコダテ 
男伊達拍子うつにもうての骨つよいかほしてうたふかけ清 家
オトシワカヤ 
おとし和歌や八そし八雲の末はなをよむともつきし千載万葉 家
オノガツラニ 
己かつらにいつれましらとくらへみる紅葉の枝をためつすかめつ 家
オノレノミ  
おのれのみさゝにみたれてくたまきのなき上戸とや人のいふらん 家
オモワズニ 
思はずに転ばず雪に転ばされ寒さ忘れておかしかろとは 柳
オヤオヤノ  
親々の製の詞もいとふましわれても末にあはん恋中 家

カ行
カイテクレタ 書てくれたきしやうもあてになら坂やこの手の外ににせかけた筆 家 ○
カゲウツル 
影うつる花の鏡に洗ひけり月を見た目も雪をみためも 尚○
カコムゴオ 
かこむ碁をみな打やめて寒き日はすみに目を持冬籠かな 家
カコムゴノ 
囲む碁のしぬる処を生かすのは手かさな医師のこうてこそあれ 家
カゾウレバ 
算ふれば三百四十六つ間敷皆春の日の長生喜の友 尚 ○
カドグチニ 
門口に柳四五本うゆれともひとりふちさへとらぬわひ住 家
カナラズト 
必とかいた誓紙を反古にした男の心にうつ五寸釘 家 ◎
カミケホドモ 
髪毛ほともにくけはないに目や鼻のあないやらしと人はなせいふ 家
カミノマエ 
神の前鳥居のかさ木よゝふりてうるほふあめかしたそ目出度 
カワズヨリ 
蛙より鶯はまたたけ高くひとふしのある歌やよむらん 家
キエノコル 
消残る雪のたへまを見あくれは尼上か嶽もところまんたら 家
キガカリモ 
きかゝりもなくて山々うれしとは花見にかきる言葉なるらん 家 ◎
キカバヤト 
聞かばやと思へど道のほとゝぎすさぞな鳴くらん死出の山路は 柳寝
キギノハモ 
きぎの葉もちりつるてんとたまらぬや三味とむの胸のたきのしらいと 都
キセソメテ 
きせ初ていはふ袴のまち中にはゝをやらしやれ四つ身小袖で 家
キョウワシオ 
けふは汐のひのもとのみか蛤のから迄かち路ひらふ海原 家
クイコンダ 
喰込た二八の君かそはにのみ何やかやくをたしに遣ふて 家
クガイシテ 
くかいしてつとめの年も十かへりの花やかにして出るさとの松 家
クリカキノ 
栗柿のこのみの為とありかたや時しもあきの国の御下向 家
クロゾメノ 
黒染の桜のこれも油煙やら硯の海に花の浮むは 柳
ケイセイノ 
傾城のおなかにそれとみゑの帯かたふ結むた客か有やら 桃
ケサノアキ 
今朝の秋風の音にも驚ぬ御代や目にしる稲の出来はゑ 桃尚  
ケサワハヤ 
今朝ははや板ひく山もかんな月しらけかけたる横雲の空 家  
ケサワハヤ 
今朝は早や福寿草そら咲き出て梅の立枝の花を待かは 
コイカゼオ 
恋風を引込病ひの悪性はいくつもかさねてきるさよ衣 家
コウシンノ 
庚申の夜を寝た罪かふつゝりと見さる聞かさるものもいはさる 家  
コウロホウノ    香爐峯の夫にはあらで青すたれ掛てこそ見る卯の花の雪    尚        
コガラシノ 
こからしの御剃刀をいたゝいてかみなし月の寺の冬かれ 家◎
ゴケザヤデ 
後家鞘でみのおさまりもなりかたなせつぱつまりし年のこじりは 尚
コシキタテテ 
こしきたてゝ宿の煙を賑はさはみを祝ふなる餅は幾度 家
コトブキワ 
ことふきは千船百ふね数つみてよするしほやのいそのとしなみ 家
コノカミニ 
此神に追ひつくものはあら磯やたすきはつさぬ翁のいとなみ 家 ○
コノカミノ 
此神の御手にもたれてことの葉のみちをこのめやはるの筆柿 家
コノゴロワ 
此ころは無常の風もよそへふけ寺てもおしむ花の命そ 家
コノゴロワ 
この頃はよし野初瀬に浮れ来る人の盛を花や見るらん 尚 ○
コレハコレハ 
是は是はともよういふたよし野山こちとは花に口あけたのみ 尚

サ行
サアダテオ さあ伊達をこきの賀しやもの是からは千歳の春の花をやらしやれ 
サオノサキ 
竿の先のことつてなれと天竺へとゝける心もちつゝし売  家◎
サトビトノ 
里人のかたるを聞けば浄るりのほとけも古き時代ものなり 薬 ◎
サムキカオヤ 
寒き顔やこたつにあたるすき風に鴛鴦のふすまそ思ひやらるゝ 尚
サモオモキ 
さも重き御盃をいたゝいて軽いあたまのあからさりけり 家 ◎
サルモキカラ 
猿も木からおちこち人に訊ひとはれ永くも栗の枝つたわれよ 柳
ザレウタノ 
され歌の道はこと葉の花盛りはくの小袖のよい旅ころも 家
サンゴヤワ 
三五夜はあれとけふしも聖霊のたんこて愛る盆の月かけ 家
ジアイカラ 
地合からつくつて見てもしつの男は顔のはたけに出来ぬ恋草 家
シカッタル 
呵たる子供よゆるせ今朝の春まつにほたえたきのふ一昨日 家 ◎
ジゴクダニ 
ぢごく谷右も左も鬼あざみざいごう人の通ふ農道 山
ジジイワ 
祖父は■■しかりのよをふり捨て祖母あはかわいやなんとせんたく 戸
シャミセンモ 
三味線も花の當りは除て弾けちりてん人はちとさわり心ぞ 尚
ショウギニモ 
将棋にも妙をゑしとてついちよつと指てもかくや馬を飛する 家
シラサギワ 
白鷺はとんとけしきに見えぬのに烏がはねをとる四方の雪 
シラサギワ 
白鷺はとんだけしきも見えぬのに烏か羽ねをとる四方の雪 
シラユキニ 
しら雪に同しはいろをあらそはん鷺のねくらの岡の松か枝 家
シンコクノ 
神国のならはせなるか仏の座雑まな板でたゝくなゝ草 家 ◎
スズカゼオ 
すゝ風をたゝみこめたる扇にもあまるあつさや大仏の鐘 
スベッタル
 辷たる跡もゆかしやうかれ出て我より先に誰かゆきの道 家尚雪◎
スミゾメノ墨染の桜の是もゆゑんやらすゝりの海に花の浮むは柳寝
セキフダオ 
関札を打た八月十五日御つきのかけてひかるやとやと 家
ゼニカネノ 
銭かねのおさまる御代や毘沙門のよろいかふとはとかめ人もなし 家 ◎
センジュツモ 
仙術もおよはし年の口あけてこちがふき出す春のすかたは 家 ◎
センジュツワ 
仙術は学ひ得ねともかんなへのつるに乗してくむ菊の酒 家 ◎
センドウモ 
せん頭も混本も読歌の会言葉の海に乗出しては 桃 ○
センネンノ 
千年のつるへに汲し若水はなをよろつよのかめにおさまる 家尚 ◎
センマイノ 
洗米のよねの祭りはしつかりと手に取てしる老のお初穂 桃
センヤクノ 
せんやくのわしをふり捨又外にしやうさいこまてなした悪性 家 ◎
ゾウギョウノ 
雑行の神はいのらし一向にくとくのもわしやおまむきにして 家 ◎
ソウジギワ 
そうち際立てきたなし煤払の箒てよこす軒のしら雪 家 ◎
ソエダケノ 
添竹の杖にすかりてよはよはと霜をいたゝく翁くさかも 家 ◎
ソコヤココ 
そこやこゝむね上かさる其数も扇のほねの十二三軒 家
ソノトキノ 
その時の涙の川の行末やけふの手向のことの葉の海 家
ソノナニシ 
其名にし大さかつきの影さしてはら一はいにみつる武蔵野 内 ◎
ソマガモツ 
杣かもつおのか音になけまつにのみきをこらしたる山郭公 家
ソマハサゾ 
杣はさそひとり心でかこつらん枝をおろした花のまさかり 家尚 ◎
ソラダノメ 
空たのめなりともみよそ月の名の立まち居まちふし待にして 家

タ行
ダイコクノ 大黒の槌よりもなほ鋤鍬て田から打出す百姓の業 尚
タトエミズオ 
たとへ水をさゝるゝとても湧かへるむねの湯玉のなとかさむへき 家
タマクシゲ 
玉くし笥ふたりを思ふ我恋はあけていはれぬ姉と妹 桃
タンザクノ    短尺の帆うらをうつてみゆる哉風なき庭の花のしら浪    家    ○    
タンザクワ 
たん尺は真帆とも三井の鐘の音やせゝのあたりにひゝく風鈴 家尚 ◎
チュウシュウ 
中秋の兎はあれとそれよりも蚊かもちを搗夏の夜の月 
チュウトコウ 
忠と孝おしゆるやかな国の春明けの烏も軒の雀も 尚 ◎
チュウトコウ 
ちうとこうおしゆるような玉の春あけのからすも家の鼠も 曙 ◎
チョウズバチ 
手水鉢氷ついたる柄杓にて夜半のさむさは汲すしてしる 家柳
ツイタトコロ 
ついた所つかぬ所も見ゆるなり亥の子の餅もあらかねのつち 尚 ◎
ツキノヨブ 
月の呼ふ卯の花よりもしらみあい春の名残もなつの曙 家
ツキハナノ 
月花の野山にもこの口よりそ心の駒は浮れ出る也 尚
ツキミセン 
月見せん秋の中てやおくて田のいねず今宵は月くそはらふて 岡
ツジギミト 
辻君と木の下陰を宿とせははなや今宵の名残ならまし 家 ◎
ツマオコウ 
妻を乞ふ雉子のりんきのむねの火にやけのゝくさも角くみてみゆ 家
ツユシズク 
露雫ものなきはらをさくられてあはぬなとゝは君かさかほこ 家
デホウダイ 
出ほうたいいふきもくさのより合ふてひとひか百首にむかふきうよみ 家
テラクサイ 
寺くさい処はなれて神道の龍頭をにきる高砂のかね 家
トシゴトニ 
としことにかはらぬ星の契りにはあきといふのを口舌なるらん 家
トシツキオ 
年月を経る艾又もみあふてふたゝひきうをすへのやくそく 家
トソノサケ 
屠蘇の酒つい一と丁子明けの春きみかよいわいきみかよいわい 尚 ○

ナ行
ナガイキノ 長いきの本けはこゝしや幾千代をかけかんはんの軒の松か枝 家
ナガナガト 
長々とすへて見るほどせんさいのながめにあかで立ぞかねつる 
ナガメヤル 
詠やる目にもたまらて飛石のうすうすうすと降今朝の雪 
ナガレユク 
流れ行年の瀬ふみか町なみの中をはたかて渡るかんこり 家
ナキゴエモ 
鳴声もせんしゆせんしゆと蟬の羽のうすきは夏のころも手の森 家
ナキヨカトテ 
なきよかとて土やはものをおもはす■伏見人形の西行法師 家
ナナクサニ 
七草にかゝめた腰をけふは又月にのはするむさしのゝ原 家雪◎
ナナクサニ 
七草にかゞめた腰を今日は又月に伸ばする見よしのゝ花 尚 ○
ナラサカヤ 
なら坂やこの手をつけは塚の前むかしのけふかおもひ出さるゝ 家 ◎
ナレモマタ 
なれも又柱を建てふしん場にはやむね上のもちをつく蚊や 家
ニオウモン 
仁王門てる月影に浮雲よ出さはつて握りこふし喰ふな 家
ニワノモワ 
庭の面はきのふの夏の打水にましてひいやりふく秋のかせ 家
ノウインニ 
能因に味あわせたやあめならて古市に名の高き歌賃を 尚 ◎ 

ハ行
ハギススキ 萩薄紅葉も鹿も虫の音もこよひにつきの秋はくれけり 家
ハシラニワ 
柱にははるといへともしら雪のまたふる暦捨られもせす 家
ハズカシト 
はつかしとくはへそめたる其指の血をは誓紙にいつかそゝかん 家 ○
ハズカシヤ 
恥しや舌も廻らぬ石臼にお引き廻しはご免あれかし 柳
ハズカシヤ 
はづかしやいなかもめんのをりわるふ目をばそなたにあけて貰ふた 徒 ◎
パッチリト 
はつちりと照る月なみのかけは二ツこよひそ秋の眼なりけり 家
ハナゾメノ 
花染の布子の別れ悲しさよあすの袷のはらわたをたつ 家
ハナハチルナ 
花は散るな月はかたふくな雪は消なとおしむ人さへも残らぬものを 辞尚柳 ◎
ハナモミジ 
花紅葉高いもひくいも楽しむや峯は提重谷は握り飯 龍
ハハチョウト 
はゝてうと落た枯木に真黒なからすのうらをみする白雪 家◎
ハマリビト 
はまり人の多いか無理か五月雨に恋の淵とも見ゆるいろ里 家
ハラワヌオ 
はらはぬを神も愛させ給ふらん鳥居の袖につもるしら雪 家
ハリヌキノ 
張ぬきのうなつき女夫中のよさ牛と寅との一ツちかいて 家内 ◎
ハルハメサキ 
春は目さき霞むはかりかこゝかしこのほりかちなる風巾かな 
ヒイデタル 
ひいてたる名を取り梶やおもかちのよふそろうたる船ののり組 
ビイドロノ 
ひゐとろの徳利とみりや薄氷あれあれ金魚もうこくぬり池 家 ◎
ヒオトモス 
火をともす寒紅梅にふる雪のあかりはからしものよみの窓 家 ◎
ヒキアゲテ 
引上てさこの子もゐぬ網の目に風のみとまる秋の夕くれ 家
ヒトツナラズ 
一ツならす又二柱みつしほもよみつくされぬいつくしま山 家尚 ◎
ヒトフシニ 
一ふしに千代をこめたる火吹竹ふくとも尽し君が長いき 柳寝
ヒトリズミ 
独りすみ誰とふ人もなつの夜やみしかふつかふてつちさへ居す 家
ヒナザケノ 
雛酒の残りに酔ふも昨日しいたそのもうせんのあけの日の色 家 ◎
ヒバリブエ 
雲雀笛たんぽゝてんてんつくづくしねをはるの野に誰が囃すやら 柳
ヒマクレタ 
ひまくれた女房をおもひ出しけりひとりめし喰ふ秋の夕くれ 
ヒャクソウ 
百草を嘗めて知つたる神農もよもぎほもちの味は知るまい 山
ヒョウタンノ 
ひょうたんの軽口ちよつとすべらかす鯰のせなへ押付の讃 尚 ○
ヒルメシモ 
昼飯もきのふのやうに覚けりそれから後のはるの夕くれ 家尚
フクルオモ 
ふくるをもいさしら雪の夜咄にこしを折たる窓のくれ竹 家
フッタフラヌ
 降たふらぬとふやらうその河水もすこしは跡をにこす夕立 家
フミダシノ 
ふみ出しの豆にもいたくこまるらんはたして逃る節分の鬼 家 ◎
フンドシニ 
ふんとしに取ついてそりやひねられな角力芝居に飛入の蚤 家 ○
ホンガント 
本願と同し数なる十八のきみかちからをのほる藤なみ 家 ◎
ボンノウノ 
ほんのうの病をなをす良薬は熊膽よりもにかのおたとへ 家 ◎ 

マ行
マシロナル 真白なる扇の紙は雪に似てふれる手毎の風もひやひや 家
マタモヨニ 
又も世にたぐひはあらじものずきのきっすい亭の山川の景 吉
マチナミノ 
町なみの御神燈をは鯛をつる漁の火とも見よゑひす講 家 ◎
マチワビテ 
待わひて帰へるにしかじとこちらから泣くやうなぞやゝよほとゝきす 尚
マッサキニ 
まつ先にすゝんてとしのかしらめく梅は諸木のこのかみの庭 家 ○
マッシロナ 
真白な霞のきぬは山の腰の女滝男滝の脚布かふとしか 家 ◎
マツノイロハ 
松のいろは竹のいろはを手習に六十一文字は千金の春 尚
マメガラワ 
豆からは産湯の下にたかねとも七あしにしをしめす御仏 家 ◎
マンボウノ 
万法の水上なりと汲てしる華厳か瀧のうつゝたかひのは 家 ○
ミズドリノ 
水鳥の名にあふ加茂の宮居とておしの集る冬籠かな 桃
ミチワヨシ 
道はよし得ても危なし猿も木からおちこち人に笑はれぬやう 柳
ミナヒトモ 
みな人もけふは重陽花よとて弟草の愛にひかるゝ 家 ◎
ミナミマド 
南まど日南に梅のかを出して春風そふく大としの関 家
ミヌヒトニ 
見ぬ人に語りてそれと家つとや気も勢筆にう津志見のたき 都
ミネノクモ 
峯の雲谷の雪気の疑ひを麓にたれて見よし野の花 尚 ○
ミネノクモ 峯の雲谷の雪気のうたかひをふもとにはれてみよし野の山 雪◎ 
ムカシオトコ 
昔男とはの給へとあいそめてきりやうのなひに恋さめやせん 桃 ○
ムサシノノ 
武蔵野の秋の外にもゆく年の尾花に師走の月は入けり 家◎
ムサシノモ 
むさし野もなとか及はむ空々と真如の月のすめる此はら 桃 ○
メオコスル 
目をこする握りこふしておもひ出すうちくたかれし人の事のみ 家
メオトダキ 
めをと滝そのみなもとはかわれどもすえはひとつにやはりおほのぢゃ 大 ○
モノヨミノ 
ものよみの窓にはたおりきりきりす誰かおこたりをいさめてや鳴 家 ◎
モミジチル 
紅葉ちる龍田にあらて水うりのかはよりそこはくれないの色 家

ヤ行
ヤブラヌオ 傷らぬを孝と学んてうみの親へかくし女房に切てやる指 家
ヤマトミズ 
山と水たのしみめつる智仁者のすみゑのいほかしつか成けり 
ヤワラカナ 
和らかな其上を又よねの手にもまれて丸むさとの餅搗 家 ◎
ユミヲナガ 
弓を流す案山子もあるか壇の浦におはなの浪のよせて見へけり 
ヨミカタモ 
よみかたもさくりあしにて和歌の道みへぬめくらかのそく八重垣 家
ヨモギュウガ 
蓬生か衣にあらて黒もしのその袖垣にかくすなたまめ 家

ラ行
ライネンノ 
来年の事を聞して笑れな早くおひ出せせつふんの鬼 家 ◎

ワ行
ワカタケノ 若竹の子の生立はまつすくなのほりの竿にこめよ幾千代 家
ワシャウメノ 
わしや梅の花の兄貴と呼れたいアノ児桜に枝をつらねて 家 ○
ワスレント 
忘れんとすれはなをなを忘られぬこのもの覚へつれなかりけり 家
ワッサリト 
わつさりと見し草餅もひなの日の一夜過れははやかひた色 家 ◎
ワランズノ 
わらんずの豆にもいたく困るらんはだしでにぐる節分の鬼 尚 ◎









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