阿武山(あぶさん)と栗本軒貞国の狂歌とサンフレ昔話

コロナ禍は去りぬいやまだ言ひ合ふを
ホッホッ笑ふアオバズクかも

by小林じゃ

短歌 その14(2016年11月~2018年7月)

2018-07-26 20:43:02 | 短歌(まとめ)

 

 

        松江道

  あの赤がジョナゴールドと指させばバスにぎやかに県境を越ゆ

 

        横顔

  君にとって私はツールでしかないとわかっていても横顔を見る

  1ミリも縮まらずとも幸せな車窓流れる横顔を見る

  反論は目を見て一秒向きなおりハンドル握る君の横顔

 

       寄星王子様恋

  unique au monde は間違いなけれども難儀なりけりかの薔薇のごと


       立春日会君於安佐大橋上

  阿武山(あぶさん)を眺め歩けばゆきあひし君の白き歯春立つらしも


       思阿武山山頂

  近頃は観音様に願い事三つ四つもあり山を見上げる


       寄写真機恋

  おてふきはあるよと言えばプチっとあけてレンズ拭いてた君をしぞ思ふ


       恨恋

  恨み言君には言はじそのかはり ぶつぶつぶつとここに書きおく


     広島青少年文化センターの坂を登る時に

  ゆっくりと遠きを歩め坂道で息切らさぬも年の功なり


      破封印恋

  念入りにこころ封じし壁の中の黒猫なれや君の声ひびく


      国会

  信長は死亡確認されてない今も生きてるそんな答弁


      止冷房

  虫の音は二つ三つあれど風は少し二十八度の我が部屋の秋


      嫌題詠

  写真見て詠みたくはなし君の声と姿よみたい背中なりとも


     胡麻豆腐かと問へばタピオカと答へたるに

  ねとねとのタピオカ入りの胡麻豆腐もいちど君と食べたいねとねと


      時雨車窓

  窓に映る少女は内にほゝゑみてひとり時雨の瀬野八ながむ


      不揃恋

  ステップとターンで置き去りスピードも差があるけれど背中おいかける


      ユウマの母上を悼みて 

  私まだ花ざかりよと言い切って跳ねて歌った人 早すぎるよ

  

       一本傘

  坂道の駅借景に君の顔見てたら濡れる一本の傘 

  まっすぐになぜ歩けないメンタルもスキルも足りぬ一本の傘

  連絡の頻度もそうだが距離感が難しすぎる一本の傘 

  水たまり二十メートル先なのにもう顔見れぬ一本の傘 

  ダッチロール十歩で「私持ちます」と奪い取られた一本の傘

  水しぶき君半歩前階段をトントン降りる一本の傘


       不眠

  人生で最後のデートと設定して楽しんだのになぜ眠れない

  十四年前の手紙を取り出して読み返しても寝れる訳もなし 

  ひとつだけあなたにお願いするとしたら言ってくださいおやすみなさいと


       芸備線一部復旧

  芸備線二十三日再開も心は晴れず会うすべを無み 

  十七日ぶりにうるさく踏切の鳴れども君に会えるともなし 

  豪雨から二十日と聞けば七日足して最後のデート遠ざかりゆく


       歩高陽地区 

  穂の先に土は着けども立ち残るトウモロコシの幸運祝う

  三篠川 流木積もり阿武山もまだ傷癒えず土手道かなしも

  豪雨一転日照り続けばサトイモのだらりと垂れた矢口駅前


      寄風恋

  暑き部屋を風一秒で吹き去りて君と歩いた雨の日思う 

 



  



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