虫籠
小倉遊亀はとにかく中年以上の女性に
人気があります。
日曜とあってか、熟年夫婦が多く、
熱心に見入っているのは女性。
ダンナたちはさっさと出て、ロビーや海沿いで
ぼーっと待っています。
小倉遊亀は、画家を志ながらも
教職に就き、それでもあきらめきれず安田 靫彦に
師事し、画家の道を歩み始めます。
径
・・・・・小倉遊亀の作品の魅力は、何と言っても描かれたものが皆すべて生き生きと輝き
生命感に溢れていることにあるでしょう。身のまわりにある対象を描きながらも
平凡な描写におわることなく、対象が力強い存在感を放って観る者に迫ってきます。
(兵庫県立美術館・HP展覧会の見所より抜粋)・・・・・・・・・・・・・・・・・・
小倉遊亀がなぜ、身近な対象物を描いたのか?
それは、25才で画家として歩み始めながらも、
仕事、母親の介護と心身ともに疲労していく
環境から選択していったものでした。
旅に出るなどの取材に時間がとれない分、
台所の野菜や庭先の犬、季節の花、
親しい友人、子供たちにエネルギーを注いだのです。
娘
また、修験道場に通うことで、
東洋思想を深く学び、対象を慈しむ健やかな作品へと
昇華されていきます。
つかのま
見過ごされがちな日常を愛おしんで
生涯、描き続けた画家が
おばさまたちの心を引きつけるのでしょうね。
私もその一人です。
そして、ダンナは、ぼーっと海で待ってたおじさんです。