中華街ランチ探偵団「酔華」

中華料理店の密集する横浜中華街。最近はなかなかランチに行けないのだが、少しずつ更新していきます。

おくゆかしい「翁順楼」がオープン

2010年12月05日 | 中華街(台南小路・太平道・その他路地)

 「翁順楼」は香港路と中山路を結ぶ狭い路地に先月オープンした店である。本須さんの情報によれば初日からランチを出していたらしい。

 私が訪ねたのは2日目の11月8日。ここは観光客やフリーの人が通るような道ではないので、こんな所に新しい店ができていることはほとんど知られておらず、先客はゼロ、その後も訪ねてくるお客はいなかった。


 この日のランチは50円刻みで3種類用意されていた。
 まずは定番メニューということで麻婆豆腐を注文し、料理が出てくるまでの時間を利用して店内を観察する。

 1階は2人用から6人用までのテーブルが合計4つ。それに厨房だ。
 2階もあるとのことだったが、まだお客さんも多くないので、ほとんど1階で対応しているようだ。

 フロア担当は女性の方が一人。注文取りをしたあとはガラス戸の内側に立ち、路地を通行する人が現れたら戸を開けて声をかけていた。
 それも強引ではなく穏やかな接し方だ。

 近頃は、中華街の遠方にある店の従業員が大通りの真ん中まで出てきて、ビラを配りながら客引きをしている光景を頻繁に見かけるが、それと比較するとこちら「翁順楼」はかなり奥ゆかしい。

 
 テーブルに置かれた花とティッシュペーパー。
 狭い店なのだからテーブルのスペースがもったいないと感じる人もいるだろうが、私はこういうちょっとした心配りをしてくれるお店が好きだ。

 メニューブックの他に、壁やガラス戸に短冊メニューも貼られている。
 揚げ鶏のタイ式ソース、牡蠣と焼き豆腐の味噌煮、豚キムチチャーハン……
 一見、定番料理ばかりの店だと思っていたら、意外なメニューもあってなかなか面白そうな気がする。


 麻婆豆腐はそれほど麻辣ではないが、ここの雰囲気と同じで穏やかな味わいである。
 具だくさんのスープもいい味を出している。

 だが、最も秀逸なのは漬物だ。中華街では珍しい白菜を漬けている。
 これだけでもご飯が進むほど美味しい。 


 食後の自家製杏仁豆腐。
 フワトロの2種入りで、茶色っぽい方は白い方と比べると少し粘度が高い。
 どちらもとろけるようで旨い。
 

 翌日食べた「牛ハチノスの四川風炒め」(700円)。

 きれいに処理されたハチノスは柔らかくて美味しい。
 一緒に炒めている野菜やキノコ類も豊富で、なかなか手間暇かけている感じがする。 


 2日連続で食べに行ったためか、「これはサービスです」と言ってシェフが干し豆腐のサラダを持ってきてくれた。
 
 旨い!


 この日のデザートはタピオカミルク。
 
 ごく普通のものであるが、容器が素敵だ。


 こんな受け皿まで付いている。

 タピオカミルク1杯のために…



 3日目のランチは五目焼きそば(650円)。

 これはイマイチだった。キャベツに焼き焦げている部分があって、それが食味を悪くしていた。

 この日、サービスでいただいたのはシュウマイ。これは肉がミッチリしていて美味しかった。



 4日目ともなると、ランチメニューも豊富になってきた。

 その中に500円のチャーハンを発見。
 

 ランチとは別にサービスセットというのも出ていた。

 もしかしたら、これも初日からあったのかもしれないが…



 500円ランチのチャーハン。

 お味は普通。


 サービスでいただいた水餃子。

 モッチリした皮に肉肉しい具がたっぷり包まれていた。
 これはビールの酒肴にいいかもしれない。

 この日気がついたのだが、ここのスープはご飯茶碗に入れられているんだね。


 食後の自家製杏仁豆腐。
 
 前回は白と薄茶色の2種盛りだったが、今回は薄茶のみ。
 やっぱり美味しいわ。


 5日目はランチの豚キムチチャーハン。水餃子とシュウマイが付いて700円だったかな。

 キムチの辛い味が突出せず、それでいて風味が奥ゆかしく残っている、まるでこの店の雰囲気のような味わい。なかなか美味しい。
 ただ、おじさんにはボリュームがあり過ぎるかな。水餃子とシュウマイを食べながらだと、けっこうきつかった。


 今回は白だけの杏仁豆腐。やはり旨い。


 さて、この店がオープンしてから短期間に5回ほど食べに行ってきたのだが、結論から先に言えばなかなかいい店だと思う。
 最近の中華街は栗の押し売りや強引な客引きなど、これはいかがなものかと思うことが多々ある。
 そんな街で、あのシェフと女性の穏やかな感じが好ましい印象を与えてくれた。 

 この路地を通るのは、ほとんどが地元で働く会社員や近所の住民。観光客が紛れ込んでくることはまれな迷宮のようなエリアだ。
 そんな立地環境で商売を続けていくには、彼らをどのように繋ぎ止めるかにかかっている。

 この迷宮における先駆者の「邨昌」や先輩格の「北京」、あるいは出入り口を中山路側からこちらの路地側にした「錦江飯店」と「杜記別館」の流れを汲む「新錦江」などと一緒に、この独自の路地裏を形成していってくれたらいいなと思う。

 ちなみに、ここのシェフは某老舗大型店で鍋を振っていた人である。仕事帰りに一杯呑めるような店になることを願っている。




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コメント (4)    この記事についてブログを書く
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4 コメント

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最近 (ふ゛り)
2010-12-05 13:26:28
小姐さんの良いお店が続きますね。
依存はございません(笑。
どうか造花のバラとレースの敷物がいつまでもきれいであることを願うばかりです。

路地もあちらこちら雑誌やWebサイトで紹介されていますから、昔に比べたら全然歩きやすいですよね。

六本木の方が余程怖いです。
返信する
バラとレースの敷物 (管理人)
2010-12-05 21:35:38
◆ぶりさん
こんな小型店で、いい感じでしょ。
このまま続けていってほしいです。
返信する
Unknown ()
2010-12-06 11:21:53
良い感じですね。
先日、新錦江さんに伺った際に此の小路を通ってるのに全然気付きませんでした。
土日ランチやってるんなら近々、行こうかな。

昨夜、一楽さんで中華三昧なのに翁順楼さんの画像見てたらムズムズしちゃいます。


返信する
一楽で中華三昧 (管理人)
2010-12-06 22:29:47
◆雅さん
そのあとに翁順楼だと、
ちょっとインパクトに欠けるかも。
でも、あの感じ、雰囲気はいいですよ。

一度行ってみてください。
返信する

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