海岸通りでランチ。 な~んていうと湘南かハワイか、あるいは上海のバンドに佇む瀟洒なレストランを想い描きたくなるが、ここは県警や税関などが並ぶ横浜の官庁街。そんな一画に農業会館が建っている。まるごと農協の建物だ。 その地下にある「グリル農業会館」でランチをいただいてきた。 分かりにくい入り口に足を踏み入れると、こんな感じでメニューが張り出してある。いちばん安いランチで660円。 生姜焼きライス、ハンバーグライス、ポークカツライスなどが1000円。野菜炒めライスでも880円。いわゆる官庁食堂や社員食堂並みと思っていたら、まったく普通の食堂価格であった。 「グリル農業会館」は、この急な階段を地底深く降りていった先にある。だが、私が行き着いたところは厨房の横で、食券を買うにはフロアを縦断して反対側のレジまで行かねばならない。 そこで本日のAランチ(豚の生姜焼きとキスフライ)を注文。おばさんがメモ用紙にカーボン紙を挟んで「Aランチ」と書き込み、その1枚を引き渡してくれる。 いまどき、こんな複写をしているレストランがあったなんて! 信じられない。この地底は、昭和30年代から時間が止まったままなのか! 薄暗いホールの壁に架けられた超レトロな時計を眺めると、一応は動いているようだ。だが、時を刻むスピードが、もしかしたら世間の100倍くらい遅いのかもしれない。 660円のAランチということで700円支払った。だが、お釣りを見ると90円もある。 『あれ~、おばさん釣り銭が多いよ』と正直に指摘すると、 『ランチは50円引きなのよ』との返事。 なんという嬉しいサービスだろう! でも、毎日50円引きなら、最初から610円と書いておけばいいのに…などと思ったが、口には出さずテーブル席に着席する。 ほどなくしてランチが運ばれてきた。豚肉の生姜焼きが2枚、キスフライも2枚。キャベツの千切りが添えられている。 どれも610円なりのお味で、関内エリアのランチとしては合格でしょう。しかし、ここで私が期待していたのは“ご飯”。農業会館の食堂ということなら、おそらく米が美味しいのではないかと考えたのである。 ここのライスはどうだったか? もちろんウマかった。でもね、横浜第2合同庁舎(旧農林省生糸検査所)の食堂で食べたご飯は、もっと美味しかったし、昔々、農林省の食堂で食べたご飯はさらに美味しかった。 農協より農水省の方が上ということなのだろうか。フンッ。 ま、とにかく店内は超レトロだ。昭和30年代のままである。それだけでも凄いというのに、フロアには4人がけの通常のテーブルのほかに、応接セットが置いてあって、そこでも食べることができるようになっているのだ。 ソファの向かい側にはテレビもある。あとから入ってきたしょぼい会社員風のおやじが、ここでテレビを見ながらラーメンをすすっていた。その光景は、まるでどこかの家庭。あるいは映画のセット。 なんだか夢に出てきそうだ。 本来の入り口に掲げられていた「本日のランチメニュー」。 グリル農業会館の本来の出入り口を出ると、理髪店があった。こういうビルの地下には、たいてい理髪店が入っているのは、どういうわけなのだろう。 ←素晴らしき横浜中華街にクリックしてね |
会議弁当を注文できるんですかぁ。でも、ランチの出前はやっていないでしょうねぇ。