8月23日(土)から9月15日(月・祝)まで、「台湾巨匠傑作選」と題された特集上映が開催されます。取り上げられる監督はタイトルに挙げた4人で、それぞれにお馴染みの作品が上映されます。まずはチラシと上映スケジュールをどうぞ。
監督それぞれの顔写真もいただいたので、簡単にご紹介しておきましょう。
侯孝賢(ホウ・シャオシェン) 1947~
侯孝賢の作品は、1980年代から日本での紹介が始まりました。それに貢献したのは、台湾映画の研究家田村志津枝さんとPFF、つまりぴあフィルム・フェスティバルです。その頃PFFには海外作品紹介部門があって、侯孝賢の脚本担当作品『恋は飛飛』(1982)の紹介から始まり、続いて監督作品が紹介されたのでした。PFFで来日した頃は、今回の上映作品にも入っている『童年往事 時の流れ』(1985)の阿孝(アハ)が大人になりかけたみたいな、活きのいい若手映画人という感じでした。その後どんどん優れた作品を発表していき、頂点とも言えるのが『悲情城市』(1989)。『悲情城市』は今回残念ながら上映されませんが、次の5作品をご覧になることができます。
『坊やの人形』1983年/主演:陳博正(チェン・ボージョン)、楊麗音(ヤン・リーイン)
『童年往事 時の流れ』1985年/主演:游安順(ユー・アンシュン)、辛樹芬(シン・シューフェン)
『憂鬱な楽園』1996年/主演:高捷(ガオ・ジェ)、林強(リン・チャン)
『フラワーズ・オブ・シャンハイ』1998年/主演:梁朝偉(トニー・レオン)、羽田美智子
『珈琲時光』2004年/主演:一青窈、浅野忠信
楊徳昌(ヤン・ドウチェン/エドワード・ヤン) 1947~2007
楊徳昌の作品も、1980年代から日本に紹介され始めました。1980年代の終わり頃来日した時、池袋の西武デパートの上にあったスタジオ200で挨拶した姿を思い出します。ニューヨーク・ヤンキースだったか、大リーグの帽子を被り、ガムを噛みながら出てきたので、この人、台湾人というよりはアメリカ人だ~、と驚いたのでした。侯孝賢とはいろんな意味で対称的な人で、だからこそあの時代の台湾ユーウェーブ映画が面白かったのだと思います。今回は残念ながら、晩年の1作品だけです。「晩年」というほど年を取っていた時の作品ではないのですが、その後早世してしまったので最後の劇映画となりました。60歳になる前に死んでしまうなんて、若すぎますよね....。
『ヤンヤン 夏の思い出』2000年/主演:張洋洋(ジョナサン・チャン)、呉念真(ウー・ネンチェン)、イッセー尾形
李安(アン・リー) 1954~
もうすっかり、ハリウッドの監督となってしまったアン・リーですが、初期の「父親三部作」と呼ばれる3作品は、いろんな面で完成していない頃の彼の勢いを見ることができます。『ブロークバック・マウンテン』(2005)が好きな人も(それは私です)、『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』(2012)を楽しんだ方も、アン・リーの根っ子的作品にぜひ触れてみて下さい。
『推手』1991年/主演:郎雄(ラン・シャン)、王莱(ワン・ライ)
『ウェディング・バンケット』1993年/主演:郎雄(ラン・シャン)、趙文[王宣](ウィンストン・チャオ)
『恋人たちの食卓』1994年/主演:郎雄(ラン・シャン)、楊貴媚(ヤン・クイメイ)、呉倩蓮(ウー・チェンリン)
魏大聖(ウェイ・ダーション) 1969~
プロデューサーとして関わった『KANO~1931海の向こうの甲子園~』(2014)の日本公開(2015年1月24日~新宿バルト9ほか)も決まった魏大聖監督。監督作の2本が今回上映されますので、見逃した方はぜひ。どちらも、台湾と日本を知るための名作です。
『海角七号/君想う、国境の南』2008年/主演:范逸臣(ファン・イーチェン)、田中千絵
『セデック・バレ』2011年/主演:林慶台(リン・チンタイ)、安藤政信
また今回は、これら4人の監督作品のほか、ドキュメンタリー映画『セデック・バレの真実』も上映されます。映画のデータはこちらです。
『セデック・バレの真実』
2013年/台湾/ドキュメンタリー/原題:余生-賽徳克・巴莱
監督:湯湘竹(タン・シャンジュー)
台湾映画、今後も公開が続くようですので、今のうちに旧作を楽しんでおきましょう!