アジア映画巡礼

アジア映画にのめり込んでン十年、まだまだ熱くアジア映画を語ります

世界の映画・映像産業状況はこれ1冊で

2011-07-05 | 映画一般

 キネマ旬報社から毎年出ている「映画ビジネスデータブック」が生まれ変わりました。まず、タイトルが「映画・映像産業ビジネス白書」となり、本のサイズもこれまでのB5判から一回り大型のA4判に。字も大きくなったので、老眼にはやさしくなりました(笑)。いや、近眼の私としては、前のフォントサイズでもよかったんですけどね。でも、確かにこの方が読みやすいです。 

映画・映像産業ビジネス白書 2011-2012
クリエーター情報なし
キネマ旬報社

大型化に伴い、お値段も、これまでの3,800円から9,000円になりました。う~ん、ちょっと個人では購入しにくい値段になってしまいましたね。それだけに、業界向けのお役立ちデータが、わかりやすいヴィジュアル処理で満載されています。特に、第1章~第3章までの映画興行、パッケージソフト、多チャンネル放送/VOD・配信それぞれに関する市場調査報告は、業界人なら必読&必携です。業界を目指す就活中の学生諸君も読んでおいた方がいいですよ~。各組織トップへのインタビューもありますからね。

私にとってお役立ちなのは、毎年のことながら”世界の映画産業”という第4章。アジア映画は、韓国、中国、香港、台湾、インド、タイ、それからシンガポール&マレーシア&インドネシアに分かれていて、それぞれの興行データと共に動向が報告されています。

☆  ★  ☆

韓国の2010年自国映画興収トップは、ウォンビン主演の『アジョシ』ですかー。今年の香港国際映画祭で見逃したのが残念です。でも、日本での公開も決まっているので、日本語字幕付きで見られる日が待ち遠しい。香港国際映画祭に参加した時にダウンロードした画像を付けておきます。

<スチール写真提供:第35回香港国際映画祭>

続いて第2位が『義兄弟』、第3位が『チョン・ウチ 時空道士』(東京ではただ今公開中。関西では7月9日からです!)。ええラインアップや~。カン・ドンウォン強し、ですね。こういったものも含めて、毎年そうなんですが、この本の韓国映画データはめっちゃ詳しいです。敬意を表して、『義兄弟』の韓国版チラシもアップしておきましょう。

☆  ★  ☆

中国の興収ベスト3は、『唐山大地震-想い続けた32年-』『譲子弾飛』『非誠勿擾2』となります。『唐山大地震-思い続けた32年-』は、日本では東日本大震災に配慮して公開延期となりましたが、そのうち状況が落ち着いて見られる日が来ることを願っています。この映画の日本の公式サイトには、映画と東日本大震災に関して様々な声が寄せられています。 

(C)2010 Tangshan Broadcast and Television Media Co., Ltd.  Huayi Brothers Media Corporation  Media Asia Films (BVI) Limited  All Rights Reserved.

『譲子弾飛』は3月の香港現地レポートにちょっと書きましたが、姜文(チアン・ウェン)監督・主演作で、葛優(グー・ヨウ)と周潤發(チョウ・ユンファ)が共演、じゃない競演している大型歴史アクション・コメディです。ホントにこの3人、これでもかというぐらいバカやっていて、演技合戦に火花がバチバチ散っています。一方『非誠勿擾2』は、『狙った恋の落とし方。 (2008)の続編です。これも葛優主演作、相変わらず稼げるスターですね~。俳優は顔じゃないのね(ゴメンナサイ)。この両作品、日本でも公開してくれるといいのですが。

☆  ★  ☆

香港では、『イップ・マン 葉問』がトップ。ハリウッド映画が並ぶ興収ベスト10の第5位に食い込んで気を吐いています。いいぞ~、ドニーさん! 再度香港版VCDのカバーに登場してもらいましょう。

 

あと、コメディ映画『72家租客』も第7位に。あれ、中国側の興収では、『イップ・マン 葉問』より上位に来ているアンディ・ラウ主演の『狄仁傑之通天帝國』は入っていないの? などどあれこれチェックしていると、ついつい時間が経ってしまいます。1年間の動きが的確に掴めるので、我々のようなアジア映画を紹介する人間にとっても必読の1冊です。

☆  ★  ☆

最後に一つだけ苦言を呈すると、表紙が地味~。本稿の一番上の画像では、販売時についている赤い帯がついていないもので、よけいにジミ~大西です。「白書」だけど、文字通りの「白い本」にしなくてもいいのでは、と思いますけど。昨年までのデータブックは、下のようにカラフルな画像が表紙に並んでいたのですが。 

映画ビジネスデータブック<2010-2011>
クリエーター情報なし
キネマ旬報社

とはいえ使えるこの「映画・映像産業ビジネス白書」、ぜひお近くの図書館に購入をリクエストして、じっくり目を通してみて下さいね。

 


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