コラムの著作権は村松弁護士本人に帰属します。
このブログ以外での引用等は固くお断りいたします。
99年7月5日 日刊帝国ニュース
弁護士ウオッチング 弁護士 村松 謙一
信用不安の回避=倒産の回避(上)
第1 信用不安が生ずる仕組み
1.経営者の方々の中には、未だに売上高至上主義の
固定観念から逃げられずに、売上高の減少を
信用不安に結び付け、売上高の減少を隠そうと
粉飾操作をする経営者がおられるが、絶対に
やめて下さい。
信用不安は、とどのつまり資金不足からくるもので
あり、売上高の減少は、遠因となっても直接の
原因とはならないからです。
否、最近の経済状況下では、減収でも増益の体質
となっているか否か、また、そのように体質改善が
進んでいるかが、経営者に問われているのです。
2.そこで、信用不安を招く資金繰りのショートなの
ですが、現実に倒産してしまった経営者の方々に
一様にいえることは、残念ながら、資金繰りに計画性
がみられなかったということです。
山道で乏しい食糧のまま遭難したならば、一日でも
長く生き延びるために、一日に食する量を考える
でしょう。
現在の経済情勢においては、大会社であれ、中小企業
であれ、皆雪山で遭難した旅人といっても過言では
ありません。
少なくとも向こう3カ月及至6カ月程度の資金繰りが
明確になっていなければ、そもそも経営の舵取りは
困難です。最近よく言われるところのキャッシュフロー
経営です。
ところが多くの経営者は、盲目的に日付のとおり、
支払日の順序で支払いをしていき、結局、月末
或いは数ヶ月先に資金ショートをして、はじめて、
どうしようかと頭を抱えてしまいます。(これを泥縄方式
或いはドンブリ勘定と呼んでいます)
そこで、顔見知りの取引先に頼み込んでその支払い
を待ってもらったり、融通手形を出し合ったり、最悪の
場合は、街金融の魔の手にかかり、ズルズルと泥沼へ
はまり込んでしまうといったケースが目立ちます。
人の口には戸が立てられないの如く、取引先に対する
支払猶予や手形ジャンプの依頼は、立ち所に取引先
全てに知れ渡り、申し入れとは逆に現金決済を要求
されたり、担保や保証人を要求され、結局資金繰りの
悪化に拍車をかける自滅への道を早める結果に
なります。
信用不安の怖さは、与信取引から現金取引に転化
させられ、助けられる企業をも殺してしまうという
怖さなのです。最も怖いのは、取付騒ぎです。
次回に続きます。
このブログ以外での引用等は固くお断りいたします。
99年7月5日 日刊帝国ニュース
弁護士ウオッチング 弁護士 村松 謙一
信用不安の回避=倒産の回避(上)
第1 信用不安が生ずる仕組み
1.経営者の方々の中には、未だに売上高至上主義の
固定観念から逃げられずに、売上高の減少を
信用不安に結び付け、売上高の減少を隠そうと
粉飾操作をする経営者がおられるが、絶対に
やめて下さい。
信用不安は、とどのつまり資金不足からくるもので
あり、売上高の減少は、遠因となっても直接の
原因とはならないからです。
否、最近の経済状況下では、減収でも増益の体質
となっているか否か、また、そのように体質改善が
進んでいるかが、経営者に問われているのです。
2.そこで、信用不安を招く資金繰りのショートなの
ですが、現実に倒産してしまった経営者の方々に
一様にいえることは、残念ながら、資金繰りに計画性
がみられなかったということです。
山道で乏しい食糧のまま遭難したならば、一日でも
長く生き延びるために、一日に食する量を考える
でしょう。
現在の経済情勢においては、大会社であれ、中小企業
であれ、皆雪山で遭難した旅人といっても過言では
ありません。
少なくとも向こう3カ月及至6カ月程度の資金繰りが
明確になっていなければ、そもそも経営の舵取りは
困難です。最近よく言われるところのキャッシュフロー
経営です。
ところが多くの経営者は、盲目的に日付のとおり、
支払日の順序で支払いをしていき、結局、月末
或いは数ヶ月先に資金ショートをして、はじめて、
どうしようかと頭を抱えてしまいます。(これを泥縄方式
或いはドンブリ勘定と呼んでいます)
そこで、顔見知りの取引先に頼み込んでその支払い
を待ってもらったり、融通手形を出し合ったり、最悪の
場合は、街金融の魔の手にかかり、ズルズルと泥沼へ
はまり込んでしまうといったケースが目立ちます。
人の口には戸が立てられないの如く、取引先に対する
支払猶予や手形ジャンプの依頼は、立ち所に取引先
全てに知れ渡り、申し入れとは逆に現金決済を要求
されたり、担保や保証人を要求され、結局資金繰りの
悪化に拍車をかける自滅への道を早める結果に
なります。
信用不安の怖さは、与信取引から現金取引に転化
させられ、助けられる企業をも殺してしまうという
怖さなのです。最も怖いのは、取付騒ぎです。
次回に続きます。