コラムの著作権は村松弁護士本人に帰属します。
このブログ以外での引用等は固くお断りいたします。
99年7月12日 日刊帝国ニュース
弁護士ウオッチング 弁護士 村松 謙一
信用不安の回避=倒産の回避(中)
第3 資金繰り交渉における借入金の金利交渉
について
1. そこで考え出されたのが、信用不安を回避すると
共に、資金繰り上も毎月の資金繰りを安定させる
ため、銀行等借入先との返済条件の変更や
金利減免の交渉がぜひ必要となるのです。
金融機関は、「銀行秘密」という一種の守秘義務を
有しており、前述した取引先や下請先に猶予を
申し述べる場合と異なり、その猶予の申し出が
立ちどころに各取引先に知れ渡る→信用不安の
惹起ということはありません。
2. また、どの企業においても、金融機関への元利
合計の約定返済額は、毎月の様々な支払額の中
でも大きな比重を占めております。
大体の会社は借入金を5年~7年で返済する予定
となっているでしょう。この毎月の借入金の元利金額
の返済について、内にあっては、社内経費の削減を
実施すると共に、外にあっては、金融機関に協議を
持ち掛けることは、決して悪いことではありません。
むしろ、苦しいながらも無理をして、返済し続ける
ことで、ある日突然、寝耳に水の手形不渡り事故を
起こすことの方が、債権者としての金融機関にとって
も迷惑な話であり、避けたいことなのです。
最近の例ですが、私の知り合いの銀行の支店長も
「もっと早く現状を打ち明けていてくれたら、もっと良い
アドバイス(返済条件の緩和等)を出してあげられた
のに、突然に、「このままでは、明日手形が不渡りに
なってしまう。お金を貸してくれ。なんとかしてくれ」
では助け舟すら出せやしない」と悔やんでいたもの
です。
3. この点、経営者の方々の考えは、全く逆で、
「銀行に窮状を打ち明けたなら、立ちどころに全てを
取られておしまいになってしまう」という考えの経営者
がいまだに多いことに驚かされます。
もちろん、何の用意もなく、「会社が苦しい。だから
返済できない」といきなり飛び込んでは、かえって
不安を助長し、誤った情報により、債権回収に
走らせることになりかねません。
正確な情報と金融機関が支援したくなるような内容
の説明書、正確な資料を用意することが必要です。
金融機関が支援のために必要とする資料等に
ついては、次のコラムで説明する予定です。
4. むしろ、今回は、現在借入れている借入金の
「金利」のことについて触れたいと思います。
仮に、10億円の借入金がある会社があるとします。
3%から2%へ金利を1%減額してもらうだけで、
年間1000万円の節減になります。
ところで、この1000万円を売上によって稼ごうと
すると、営業利益率2%の比較的優良な会社ですら、
5億円の売上を従来の売上とは別個に獲得しなけれ
ばなりません。
ただでさえ、売上が減少してきているこの時期に、
それとは別の売上を5億円も増やせとは、至難の
わざといっても過言ではありません。
だからこそ、売上減少傾向のこの時期こそ、
「金利の引き下げ」は、売上増にかわるものとして、
強く意味を持つのです。
しかも、決して貸倒れ等焦げ付くことのない売上
として、安心して計上できることも魅力のひとつです。
5. このように、重要な意味を有する「金利」の問題
にもかかわらず、企業経営者は、意外と「金利」に
ついては、触れることをタブー視しているようで、
企業経営が苦しくても、金利に触らない経営者が
なんと多いことか。(もちろん、金利に触る前に、
社内体質改善のため、全ての原価管理の見直し
や役員報酬はもちろんのこと、販管費の削減を
しておくことが大前提であるが)
次回に続きます。
このブログ以外での引用等は固くお断りいたします。
99年7月12日 日刊帝国ニュース
弁護士ウオッチング 弁護士 村松 謙一
信用不安の回避=倒産の回避(中)
第3 資金繰り交渉における借入金の金利交渉
について
1. そこで考え出されたのが、信用不安を回避すると
共に、資金繰り上も毎月の資金繰りを安定させる
ため、銀行等借入先との返済条件の変更や
金利減免の交渉がぜひ必要となるのです。
金融機関は、「銀行秘密」という一種の守秘義務を
有しており、前述した取引先や下請先に猶予を
申し述べる場合と異なり、その猶予の申し出が
立ちどころに各取引先に知れ渡る→信用不安の
惹起ということはありません。
2. また、どの企業においても、金融機関への元利
合計の約定返済額は、毎月の様々な支払額の中
でも大きな比重を占めております。
大体の会社は借入金を5年~7年で返済する予定
となっているでしょう。この毎月の借入金の元利金額
の返済について、内にあっては、社内経費の削減を
実施すると共に、外にあっては、金融機関に協議を
持ち掛けることは、決して悪いことではありません。
むしろ、苦しいながらも無理をして、返済し続ける
ことで、ある日突然、寝耳に水の手形不渡り事故を
起こすことの方が、債権者としての金融機関にとって
も迷惑な話であり、避けたいことなのです。
最近の例ですが、私の知り合いの銀行の支店長も
「もっと早く現状を打ち明けていてくれたら、もっと良い
アドバイス(返済条件の緩和等)を出してあげられた
のに、突然に、「このままでは、明日手形が不渡りに
なってしまう。お金を貸してくれ。なんとかしてくれ」
では助け舟すら出せやしない」と悔やんでいたもの
です。
3. この点、経営者の方々の考えは、全く逆で、
「銀行に窮状を打ち明けたなら、立ちどころに全てを
取られておしまいになってしまう」という考えの経営者
がいまだに多いことに驚かされます。
もちろん、何の用意もなく、「会社が苦しい。だから
返済できない」といきなり飛び込んでは、かえって
不安を助長し、誤った情報により、債権回収に
走らせることになりかねません。
正確な情報と金融機関が支援したくなるような内容
の説明書、正確な資料を用意することが必要です。
金融機関が支援のために必要とする資料等に
ついては、次のコラムで説明する予定です。
4. むしろ、今回は、現在借入れている借入金の
「金利」のことについて触れたいと思います。
仮に、10億円の借入金がある会社があるとします。
3%から2%へ金利を1%減額してもらうだけで、
年間1000万円の節減になります。
ところで、この1000万円を売上によって稼ごうと
すると、営業利益率2%の比較的優良な会社ですら、
5億円の売上を従来の売上とは別個に獲得しなけれ
ばなりません。
ただでさえ、売上が減少してきているこの時期に、
それとは別の売上を5億円も増やせとは、至難の
わざといっても過言ではありません。
だからこそ、売上減少傾向のこの時期こそ、
「金利の引き下げ」は、売上増にかわるものとして、
強く意味を持つのです。
しかも、決して貸倒れ等焦げ付くことのない売上
として、安心して計上できることも魅力のひとつです。
5. このように、重要な意味を有する「金利」の問題
にもかかわらず、企業経営者は、意外と「金利」に
ついては、触れることをタブー視しているようで、
企業経営が苦しくても、金利に触らない経営者が
なんと多いことか。(もちろん、金利に触る前に、
社内体質改善のため、全ての原価管理の見直し
や役員報酬はもちろんのこと、販管費の削減を
しておくことが大前提であるが)
次回に続きます。