倒産回避コンサルタントからの救命ロープ

倒産回避コンサルタント・中逵努のブログです。
恩師村松謙一弁護士ご本人のブログではないことを予めご了解ください。

連鎖倒産回避方法8

2009年01月14日 | 企業再建について
緊急報告
恩師の村松謙一弁護士が出演された
「プロフェッショナル 仕事の流儀」が
1月27日にNHKで再放送決定! 
~どん底の会社よ、よみがえれ~
末期ガン企業をも救う再建弁護士の人間愛溢れるドキュメント


コラムの著作権は村松弁護士本人に帰属します。
このブログ以外での引用等は固くお断りいたします。


日刊帝国ニュース 1999年10月18日
弁護士ウォッチング  弁護士 村松謙一

3)債権譲渡と債務引き受けによる相殺処理
又、取引先の危機を感じたら、売掛金の債権譲渡契約と
「貴社に対する○○月分の売掛金○○○円は、今般、
○○社に譲渡しましたので、今後のお支払いは、
○○社の方にお願いします」旨の内容証明を
書いてもらって受けておくと、万一の場合助かる。

但し、債権譲渡は、上記の債権譲渡の通知を第三
債務者に実際に出しておく必要があり、他面、
この通知を出すと、会社が混乱しているのが
第三債務者に分かってしまい、今後の取引に影響が
生ずるので、何とか出さないでおきたいとの思いが
衝突する。

そこで平成10年(98年)10月より、後述の
「債権譲渡の対抗要件に関する特例法(登記制度)
」が施行されているので、この制度を債権保全の
手段として活用してみてほしい。

4.債権譲渡の登記制度の効果的活用方法
貸し渋り、融資の強制的回収による資金詰まりも
さることながら、せっかく自社は順調に営業し、
売上高も何とか前年比を維持していながら、
取引先の倒産により売掛金が焦げ付いてしまう
いわゆる連鎖型の倒産が急増している。

中には、直接の取引先は順調なのに、更に先の
取引先が倒産したために、順繰りに資金不足と
なり、倒産に至るドミノ倒し型倒産もよく見受け
られるようになった。

こうなると、直接の取引先に対してのみ監視・
チェックをしていても、防ぎようがない。
ただ言えることは、売掛先の倒産、焦げ付きに
対して、あまりにその保全に無防備の会社が
多すぎるということだ。

1)この特例の意義
そもそも、売掛金をガードするための「基本
売買契約書」すら締結せずに、単純な注文書、
納品書で売買形式とする企業が大半である。

ところで、取引先に不動産等のめぼしい資産が
ない場合、或いは、あっても既に根抵当権等が
先順位で設定されていて余剰のない場合等に、
債権譲渡の方策が、債権保全の有効な手立てと
なる。

但し、債権譲渡の対抗要件としての通知、或いは
承諾のみでは、債権の譲渡先が重複して混乱を
生じさせたり、第三債務者に通知を出さなかった
りする弊害が少なからず生じていた。

これらの弊害を改善するために、債権譲渡の
「登記制度」が平成10年10月より施行されて
いるので、この制度を債権保全手段として、
より活用してみてはいかがだろうか。

~ 次回につづく ~

■売掛金担保融資について

日本の金融機関に対して、いわゆるBIS規制
導入を契機として、邦銀は融資判断をそれまでの
不動産担保等にウエイトを置いた融資基準から、
自己資本比率や返済原資に見合った融資基準へと
融資判断を変化し、取引企業の格付け評価に
見合って融資額などを決めるシステムが現在
導入されています。

約束手形による決済の場合であれば、手形割引に
より決済日以前の資金化が可能でありましたが、
かつては現金決済の売掛金を決済日前に資金化
する仕組みはありませんでした。

そのような状況では、運転資金を金融機関から
調達して資金繰りを維持することになり、運転
資金を調達すれば、短期債務が増加してバランス
シート(貸借対照表)が重くなり、金融機関の
格付けに影響するという矛盾が生まれました。

そこで、その矛盾を解消するために、流動債権
である売掛金を担保に融資を受けることで、
自己資本比率を低下させずに、運転資金を確保
する売掛債権担保融資が徐々に浸透し始めています。

倒産回避の場面では、資金繰りを維持するために
売掛金担保融資を活用する機会も多いですが、
万一民事再生などの法的手続きを申し立てることに
なった場合、運転資金の確保に大きな影響が
及ぶ可能性があるので、綿密な事業計画および
資金繰り計画に基づいて売掛金担保融資を活用
する必要があります。






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