「白鳥とコウモリ」東野圭吾
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元の職場の先輩から紹介いただいて手にした1冊.
1984年と2017年,33年を隔てた2つの殺人事件.
犯人の自供により,一気に解決したと思われた2つの事件だった.
捜査本部の見解としては,動機,凶器,状況証拠すべて揃っていて裁判的には全く矛盾がない.
しかし,2人の関係者だけが,納得していなかった.
2人の関係者とは,加害者の息子・和真と後ろの事件の被害者の娘・美令だ.
逆の立場ではあるが,言っていることは驚くほど似ている.
「私の父はそんなことをする人ではない.」と.
自白を重視して事件を解決済みにしてしまいたい,検察官と弁護士に対して,和真と美令の訴えをきっかけに,自身も違和感を感じて,独自の地道な検証を進める捜査官,五代の苦悩.
和真,美令,五代はそれぞれの立場で,一つずつ過去のエピソードを訪ね,一歩ずつ,いや半歩ずつ,気が遠くなるような調査を重ねていく.
この小説のすごいところは,ミステリーながら,3者(和真,美令,五代)の想いがそれぞれのエピソードの中で痛烈に読者に伝わってくる心理描写だろう.
520ページの大作であり,物語は多層的に入り組んでいるので,さっと読んで,ああ面白かった!という読み方はできない.
途中,何度も登場人物の名前を確認したり,前に出てきたストーリーを確認しながら読まなければ,筋がわからなくなるという恐れもある.しかし,そういう努力をすること自体が楽しいものに思えるところが,凄いと思う.
物理学者ガリレオシリーズや加賀恭一郎シリーズ等,数々のヒット作をものにしてきた東野圭吾だが,今回,またまた新たな金字塔を打ち立てました.
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元の職場の先輩から紹介いただいて手にした1冊.
1984年と2017年,33年を隔てた2つの殺人事件.
犯人の自供により,一気に解決したと思われた2つの事件だった.
捜査本部の見解としては,動機,凶器,状況証拠すべて揃っていて裁判的には全く矛盾がない.
しかし,2人の関係者だけが,納得していなかった.
2人の関係者とは,加害者の息子・和真と後ろの事件の被害者の娘・美令だ.
逆の立場ではあるが,言っていることは驚くほど似ている.
「私の父はそんなことをする人ではない.」と.
自白を重視して事件を解決済みにしてしまいたい,検察官と弁護士に対して,和真と美令の訴えをきっかけに,自身も違和感を感じて,独自の地道な検証を進める捜査官,五代の苦悩.
和真,美令,五代はそれぞれの立場で,一つずつ過去のエピソードを訪ね,一歩ずつ,いや半歩ずつ,気が遠くなるような調査を重ねていく.
この小説のすごいところは,ミステリーながら,3者(和真,美令,五代)の想いがそれぞれのエピソードの中で痛烈に読者に伝わってくる心理描写だろう.
520ページの大作であり,物語は多層的に入り組んでいるので,さっと読んで,ああ面白かった!という読み方はできない.
途中,何度も登場人物の名前を確認したり,前に出てきたストーリーを確認しながら読まなければ,筋がわからなくなるという恐れもある.しかし,そういう努力をすること自体が楽しいものに思えるところが,凄いと思う.
物理学者ガリレオシリーズや加賀恭一郎シリーズ等,数々のヒット作をものにしてきた東野圭吾だが,今回,またまた新たな金字塔を打ち立てました.