知らない世界へ帰りたい(日本探求)

自分の祖先はどんなことを考えていたのか・・・日本人の来し方、行く末を読み解く試み(本棚10)。

令和時代の神社・お寺事情 2019

2019年10月07日 18時10分17秒 | 神社・神道
 私は大きな木が好きなので、それを求めてあちこちの神社やお寺を巡る趣味があります。
 御朱印がいただけるような有名な神社・お寺は少なく、山里の小さな神社やお寺が多いですね。
 たいてい、私以外参拝者はいません。
 
 現在神社とお寺の存続が危ぶまれる時代になり、テレビでもときどき報道されます。

 檀家が減ってきて経営が大変なお寺。
 うちのお寺の住職も、学校の先生を兼任しています。

 神社も地域の結びつきが薄れて、氏子達の団結力が低下してきました。
 「公民館」や「自治会館」を併設している神社は生き延びていますが、中には放置され荒れている神社も無きにしも非ず。

 昨今のお寺・神社事情を垣間見る記事を2つ紹介します。

“寺離れ、危機的…” 本来の姿を取り戻すために始まった、住職たちの挑戦 ガンダムから寺子屋まで
2019/9/27:中京テレビ
 あの手この手で生き残り。コンビニよりも数が多いといわれる、お寺の生き残り策を追いました。
 名古屋市中区の「東別院(真宗大谷派名古屋別院)」で先日開かれたイベント。集まったさまざまな世代の人たちの前で、芸を披露する現役のお坊さんたちの姿がありました。
 袈裟を着たお坊さんたちが、漫才やマジックを披露。でもなぜ、現役のお坊さんたちがマジックや漫才で人を楽しませるのでしょうか?
 4年前からお坊さん漫才として、お寺や施設で活躍する土井恵信さんと中村亮さん。2人は大学の同級生で共に現役のお坊さんです。漫才を始めたのには、お寺を取り巻く深刻な問題がありました。
「このお寺に生まれて小さい頃から本堂の行事とか見てきて、行事があるたびに多くの人が来てわいわいガヤガヤしてて。段々、人が減ってゆくさまをリアルタイムで見ている世代」(随縁寺 土井副住職)
「実際統計とった訳じゃないけど、感覚で…。いま本当に危機的な状況になってるのかなという気がします」(養蓮寺 中村住職)
 若い世代を中心とした深刻な“寺離れ”。それをなんとかふせごうと漫才を始めたのです。さらに、お盆の時期限定でビックリするような仕掛けも。
 なんと、人間と同じくらいの大きさのガンダム。近所の人が製作した木製ガンダムを、お盆の時期だけ借り本堂に置いたそうで、お参りとは別にわざわざガンダムを見にお寺にやって来た人もいたそうです。

◇ 1人の住職が複数のお寺を“かけもち”している
 “寺離れ”とともに深刻なのが「住職不在の空き寺問題」。
 全国にあるお寺の数は、コンビニより2万以上も多く、約7万5000といわれています。しかし、ある宗派の調査では、後継者不足などで1人の住職が複数のお寺を“かけもち”しているお寺は、全体の約2割にものぼるといいます。
“お寺に集まってもらう”、そのためにさまざまな取り組みが始まる中、10年近く住職が不在だったお寺を再生したところがありました。リフォーム中の、岐阜県関市の「勧修寺」の本堂。作業をしている方は、大工さんではありません。
 近くのお寺で住職をする傍ら、地域の人たちと一緒に、荒れていたお寺を今年4月に一部再生させました。

◇ モーニングを楽しんでいる
 お寺の一角では、モーニングを楽しむ人たち。10人ほどのボランティアが、カフェを運営しています。
 カフェの名前は、「寺子屋 いちょう庵」。月曜から木曜の朝、地域の人にモーニングを200円で提供しています。
「ここの女性の住職は平成22年にお亡くなりになられて、それから無住、誰も住んでいない状態がつづいたのです。人が集まれるような、お寺本来の姿に戻せないかという事で始めました」(岡田さん)

◇ 週に2回“寺子屋”も開催
 地域の人たちと約2年がかりで、作り上げたというカフェ。
 モーニングが終わって午後2時ごろになると、子どもたちがやってきました。まずは手を洗い、宿題を始める子どもたち。週に2日間、共働き世帯の子どもたちを受け入れているのです。
 ひとりで勉強や食事をするよりも、みんなでする方が楽しい。夕食も200円で、提供しています。
「葬儀・法事以外に、普段なにげなくみなさんが気楽に集まれるような、そんな場所だと思ってます」(岡田さん)


 次は岐阜県の「金神社」の話題。
 なんと「金の御朱印」がもらえるとSNSで広まり、行列が出来るようになったそうな。
 
 なんだかなあ・・・と思いきや、江戸時代の昔から神社仏閣は観光地でもあったので、あながち間違った方法というわけでもなさそう。
 地域興しのキッカケとしても役に立ちそうだし、まあいいか。

プレ金の成功例? 岐阜の神社で5000人が行列をつくる理由
2019/9/25: ITmedia ビジネスオンライン
 毎月最終金曜日、神社やお寺に約5000人が詰めかける――。岐阜市で見られるようになった光景だ。

【岐阜の神社や寺でもらえる「金の御朱印」】

 月末の金曜といえば、早帰りと個人消費喚起を促す「プレミアムフライデー」があるが、岐阜には地域独自の取り組みがある。それは「プレミアム金(こがね)デー」と呼ばれている。
 岐阜の“プレ金”はどのような日なのか。岐阜市とその周辺にある神社やお寺、約10カ所で「金の御朱印」がもらえる日だという。2017年5月にこの取り組みが始まると、御朱印を集める人たちだけでなく、“金運アップ”を願う人たちの心をつかんでいき、今では毎月たくさんの人が御朱印待ちの列をつくる。
 なぜ「金の御朱印」に地域で取り組んでいるのだろうか。プレミアム金デー当日、開催地の一つである、岐阜市内の「金(こがね)神社」に向かった。

◇ 最長5時間待ち 月1回の「金の御朱印」を始めたきっかけ
 8月30日金曜日。この日は朝から雨が降っていたが、次々と神社の敷地内に車が入ってくる。社務所の窓口を起点として、朝から行列ができていた。社務所の中では、金色の文字で神社名を書いたり、はんこを押したり、出来上がった御朱印を整理番号順に渡したりと、手分けして作業が進められている。
 「今日は雨が強くなる予報なので、(行列は)いつもの半分くらいですね」。そう話すのは、岐阜市でイベント企画などを手掛けるまちづくり団体「ひとひとの会」代表の佐藤徳昭さん。同団体がこの取り組みの仕掛け人だ。
 なぜ、この取り組みでは“金色”にスポットを当てているのか。それは、岐阜には「黄金」にまつわる場所が多いからだ。
 JR岐阜駅前の広場には、「岐阜」を命名し、本拠地としていた織田信長の黄金の像がある。また、“金”という名を持つ金神社には、黄金に塗られた大鳥居がある。そして、頂上に岐阜城が建つ「金華山」には、毎年5月ごろに黄色の花が咲くツブラジイの木が多く、“黄金に輝く山”として、その名前の由来になったという。
 こういったことに着目したひとひとの会が、岐阜の「黄金」を巡る観光ツアーを企画。その一環として、金神社に「金の御朱印を書いてほしい」と話を持ち掛けたのが始まりだ。ツアーで提供した金の御朱印がSNSで話題になり、問い合わせが殺到。ツアーの後も、続けて取り組んでいくことになった。
 ただ、常に金の御朱印を提供するわけでなく、“プレミア感”を出すために月1回限定に。17年2月に政府の呼びかけで始まったプレミアムフライデーにちなんで、「プレミアム金デー」と命名した。
 当初はSNSなどで告知し、「1日100人ぐらいが来ていた」(佐藤さん)。月を追うごとにその人数は増えていき、金神社は対応するための分業体制や整理番号制を構築。受け入れる体制が整ったころに新聞やテレビに取り上げられ、一気に注目を浴びた。「新聞に載った後は県外から来る人も増えて、(1日)700~800人に。テレビで取り上げられた後は、1500~2000人が大行列をつくり、5時間待ちになりました」(同)。平日の昼とは思えないような盛況ぶりだったという。
 佐藤さんらは岐阜信長神社(岐阜市)など他の神社や寺にも声をかけ、規模の拡大を目指した。金神社で参拝者が急増したことから、「やりたい」という声も上がるようになり、取り組みは広がっている。19年7月には、8カ所で計5300枚の金の御朱印を提供。8月には授与場所が10カ所に増えた。9月はさらに1カ所増え、11カ所になる。

◇ 1300年前の「国宝」をデザインした御朱印
 「実際に神社やお寺に足を運んでみると、重要文化財があったり、珍しい仏像があったりと、とても魅力があることに気付きます。地域に根付く神社やお寺の歴史を知って、拝んで帰る。現在はそういった習慣も少なくなってしまいましたが、それが本来の醍醐味なのでは」と佐藤さんは話す。金の御朱印が、地域を知ってもらうきっかけになるという。
 8月から取り組みに参加した、岐阜市の護国之寺(ごこくしじ)も、隠れた魅力を持ったお寺だ。岐阜市内唯一の国宝「金銅獅子唐草文鉢」を所蔵している。1300年前、奈良時代に作られた「こがねのお鉢」だ。
 護国之寺の副住職夫妻、廣瀬良倫さんと有香さんは「岐阜をもっと盛り上げたいと思い、(金の御朱印に)賛同しました」と口をそろえる。これまで積極的に国宝を宣伝してこなかったことから「最初は断った」というが、地域活性化につながること、そして国宝にちなんだ金の御朱印は他になかったことから、参加を決めた。
 御朱印は、授与する神社や寺によって個性が表れる。護国之寺では、国宝のお鉢をあしらった金の御朱印を考案。有香さんが「お鉢の写真を模写してデザインした」という。お鉢は文様に大きな特徴がある。獅子、唐草、雲などが非常に細かく刻まれており、これをデザインした御朱印は、目を凝らして見入ってしまうほどの美しさだ。
 7月にプレ開催として試行したところ、参拝者から「岐阜に国宝がある寺があるなんて知らなかった」「(お鉢と縁のある)奈良から来た」などという声があったという。良倫さんは「全国の人、そして地元の人にも、岐阜の隠れた魅力を知ってもらうきっかけになれば」と期待を寄せる。

◇ 「宿泊を伴う観光」につなげていく
 金の御朱印が話題になる一方で、問題も出てきた。「参拝の証として御朱印をいただく」ことが本来の楽しみ方だが、“収集”が目的になってしまい、ネットオークションで転売されることが増えてきたという。月1回しかもらえないという“プレミア感”もあり、高額で取引されてしまう。1枚300円でもらえる御朱印が数千円で落札されたケースもあったという。足を運んで参拝するという本来の意味をさらに発信していく必要がある。
 とはいえ、神社や寺が話題になり、人を集められるようになった効果は大きい。「参拝という習慣は、昔は当たり前のものでした。その意識が希薄になった今、愛好家だけでなく、幅広い人たちが来てくれることが刺激になっているようです。『腱鞘炎になるわ』などと言いながら、楽しそうに取り組んでくださっている姿が印象的ですね」と佐藤さんは話す。
 今後は、金の御朱印の集客力を地域経済に波及させることを目指す。「参拝に来た金曜の夜に岐阜に泊まってもらい、翌日は観光地や(金にまつわる)パワースポットを巡ってもらう。そんな形の観光を定着させられれば」(佐藤さん)。飲食店や宿泊施設などとの連携も模索している。
 御朱印の授与場所を広げて多くの人を集めるだけでなく、地域一丸となった取り組みとして、発信力を高めていく。それができれば、「金の御朱印」は観光誘客の大きな武器になっていくだろう。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする