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「地下鉄(メトロ)に乗って」(浅田次郎)【講談社文庫】
永田町の地下鉄駅の階段を上がると、そこは30年前の風景。 ワンマンな父に反発し自殺した兄が現れた。 さらに満州に出征する父を目撃し、また戦後闇市で精力的に商いに励む父に出会う。 だが封印された“過去”に行ったため…。
初めて浅田次郎の小説を読んだ。
あの大ヒットした映画『鉄道員(ぽっぽや』では、涙・涙・涙だったが、原作は映画を観たあとも読んだことはなかった。
主人公真次は幼い頃、地下鉄開通という歴史的な一日の記憶を鮮明に記憶していた。 父親に行くなと釘を刺されていたにもかかわらず。
その後、四半世紀ぶりに出席したクラス会の帰りの地下鉄のホームで恩師と会ってから、彼は不思議な経験をしていく。 それは亡くなった弟であったり、若い頃の父であったり。 知りたかった“何故”が紐解かれていくように。 自分が思っても観なかった本当の“何故”がまるでその場にいるかのように実像として見えてくる。 それはまるで地下鉄がタイムマシンになったかのように。
この小説を読み始めたとき、前にこれと同じ感情を憶えたことがあった。 それは重松清の『流星ワゴン』だった。 それは片や自動車、片や地下鉄、共に乗り物であるところも共通していて面白い。
そして共に幼い頃に父親から愛された記憶や父親の温かみを感じずに成長した主人公が、まるで嘘のように時代をフィードバックするかのごとく、若かりし頃の父親と対峙する。 その時代に抱いていた父親像が、真正面から向き合ったとき、あのころの憎しみや誤解から徐々に解放されていく。 今の主人公の年代からは幼い頃の感情とは別に自分が父親の年に近くなって初めて、その頃の父親の言動や行動が理解できるところにいる。 まさに等身大の父親を見て、如何に自分が幼かったか、生意気だったか、その頃理解できなかったことが、時代の流れと共に理解できるようになっている。
「タイムマシンの乗って~」なんて安易な表現ではなく、父親の生きた、過ごした人生を顧みて、自分が歩いてきた道を振り返りながら、書き込めなかった新たな父親の言動・行動の足跡を辿れば、どんなに憎み合っていたとしても、必ずどこかに掛け違えたボタンの位置がわかるはず。
最近自分自身が老いた父親と酒を飲みながら昔話をする機会が増えた。 この小説と同様若い頃の父親がどんな考えでいたのか、今頃になって理解できるようになってきた。 もっと早く理解できたのだろうけど、この辺が一番頃合いがいいのかも、そう感じる今日この頃です。
年に2回ほどしか京都の実家には帰れないが、それでもオヤジ夫婦二人では旅行にも行かないけれど、僕ら夫婦が一緒に行くことで出不精のオフクロもついてくるようになる。 そんな機会がこの年代になってやっと親と一緒に旅行に行ける機会ができた。 温泉に浸かりながら、美味しい空気と素晴らしい景色と美味しいものを食べて、他愛のない話をしながら、少しだけ贅沢な時間を過ごす。
生きているうちに親と一緒に歩いていくことは、それだけで親孝行だし、また子孝行でもあると思う。
そうそう、この原作は映画化され10月に公開される。
■監督 篠原哲雄
■キャスト 堤真一 長谷部真二
岡本綾 軽部みち子
常盤貴子 お時
大沢たかお 小沼佐吉
□オフィシャルサイト 『地下鉄に乗って』
オフィシャルサイトを見ると、いきなり地下鉄永田町駅のホームで、
エスカレーターに向かう主人公長谷部真二(堤真一)が映る。
何度か利用したエスカレーターで位置が間違っていなければ、
地上に出て目に入るのは国会議事堂のはずだ。
暫く降りていないので懐かしさと、この映画としてのストーリーが
ここから始まるのだと知っていても、なんだかワクワクする。
なかなか魅力的なキャスティングだ。
篠原監督、どんな味付けで魅せてくれるのだろうか。
昭和の時代の匂いのする映画がまた1本登場することになる。
・・・楽しみだ。
映画になるんですね。最近、情報に疎くて…。
浅田次郎は、大好きです。あらかた読破して、新刊が出ると速攻で購入します。サイン会で、ご本人にもお会いして、握手もしていだたいて(爆)。
『きんぴか』シリーズでは、「血まみれのマリア」で号泣。『ラブレター』も。『壬生義士伝』『蒼穹の昴』では、涙でページがめくれない、電車の中で、読みながら泣いてしまう…状態でした。
重松さんの作品も、いろいろ読んでます。『疾走』の映画、見たかったんですけど。DVDになっているかなぁ?
>映画になるんですね。最近、情報に疎くて…。
そうなんですよ! 今から楽しみです^^
>浅田次郎は、大好きです。あらかた読破して、新刊が出ると速攻で購入します。サイン会で、ご本人にもお会いして、握手もしていだたいて(爆)。
彼の作品を読んだのは初めてですが、やはり読みやすいことと軸がブレずにストーリーが進行していくところは多くの読者を魅了しているところだと思いました。
>『壬生義士伝』
これは映画館で大泣きした映画でした!
今まで観た邦画の中でも印象に残る映画でした。余談ですが中井貴一はオヤジを越えた役者になりました^^
>重松さんの作品も、いろいろ読んでます。『疾走』の映画、見たかったんですけど。DVDになっているかなぁ?
どうなんでしょうね・・・。原作が良かっただけにオススメできる作品ではありませんね(汗)
確かお芝居もありますよね。
映画化されるんですか。
最近の時流には確かにあっているようなきがしますね。
もう一度やり直せるならっていうことって
多分歳をとるごとに人生のなかで増えていくので
こうして「やりなおせる」小説は結構いいところをついているのかもしれません。
流星ワゴン然り。
え~っ!!こんな終わり方なのぉ~~
という感じでしたが・・・
良かったようなそうでないような・・・
女性としてはちょっと・・・
映画も気になります
堤真一サン好きなので(*^-^*)
またお邪魔させて下さい
よろしくお願いします♪
>最近の時流には確かにあっているようなきがしますね。
映画になりやすいかもしれませんね、浅田さんの小説は^^
>もう一度やり直せるならっていうことって多分歳をとるごとに人生のなかで増えていくのでこうして「やりなおせる」小説は結構いいところをついているのかもしれません。
仰るとおりだと思います。 所詮後悔しない、後ろを振り向かない人生なんてありえないことですからね^^
>え~っ!!こんな終わり方なのぉ~~という感じでしたが・・・ 良かったようなそうでないような・・・ 女性としてはちょっと・・・
多少、男女の温度差は出てしまうかもしれませんね^^
>映画も気になります 堤真一サン好きなので(*^-^*)
映画のオフィシャルサイトの堤真一サンを見て、なんだかとても観たくなりました^^
>またお邪魔させて下さい よろしくお願いします♪
ありがとうございます^^ こちらこそよろしくお願いします!
地下鉄に乗って
一般的にいい小説はいい映画になりにくい感じですが、今回はどうなるのでしょうか?
わくわくですね
浅田次郎さん、私も好きです。
「プリズンホテル」のシリーズも好きですね。
必ずほろりとさせられる場面がありますね。
そして、重松清さん。
「ビタミンF」で直木賞でしたか?とったときから読んでますが、あまりにも主人公と自分の年代が重なりすぎて、辛いものがあります。
子供のこと、親のこと、自分のこと。
自分の内面をさらされてるような気さえすることがあります。
いつになったら穏やかな気持ちで読むことが出来るのでしょうね。
小説の映画化。吉とでるか凶とでるか。
自分が好きな小説の映画化にはどうしても点が辛くなりますからね(笑)
>一般的にいい小説はいい映画になりにくい感じですが、今回はどうなるのでしょうか? わくわくですね
浅田さんの作品は結構映画化しやすい作品が多いですね^^ 人物描写が非常にわかりやすいからではないでしょうか!
>「プリズンホテル」のシリーズも好きですね。 必ずほろりとさせられる場面がありますね。
そうですね^^ 僕はこの作品しか読んだことがないのですが(笑)
>そして、重松清さん。 「ビタミンF」で直木賞でしたか?とったときから読んでますが、あまりにも主人公と自分の年代が重なりすぎて、辛いものがあります。
そうですね。描き方の違いや視点の違いはありますが、どこかに共通しているところはありますよね^^
>小説の映画化。吉とでるか凶とでるか。 自分が好きな小説の映画化にはどうしても点が辛くなりますからね(笑)
それは言えてますね^^
でも、浅田氏の作品は結構映画にしやすいと思いますよ!
役者の力量さえあれば^^