Being on the Road ~僕たちは旅の中で生きている~

日常の中にも旅があり、旅の中にも日常がある。僕たちは、いつも旅の途上。

人民中国の残像/嘉善西塘鎮

2021-09-26 21:35:31 | 旅行

2001年の記録

 

上海の周辺には、水路沿いに発達した古鎮が多数あり、原形を残しているところは観光地化されている。(ここ西塘鎮も、今は観光名所になっている) 水路に石橋があり、両岸には白壁の木造家屋がならぶ。

 

 

漕宝路のホテルから地下鉄で1駅のところにある上海南站(上海南鉄道駅)から列車に乗り、上海市に隣接する浙江省嘉善県の嘉善站まで行き、クルマで西塘鎮に行った。

 

 

上海南站は、今でこそドーム型の近代的な駅に生まれ変わったが、当時は、場末の終着(始発)駅だった。その分、比較的落ち着いていて、次回紹介予定の上海站周辺のようなカオス感はなかった。

往路は軟座(1等座席車)に乗れたので、日本の列車内と大差ない雰囲気。同じボックス席に乗り合わせた乗客とは、英語で簡単な会話もできた。それなりのステータスの乗客が利用しているのだと思う。

 

 

西塘古鎮は、2001年当時でも、すでに景勝地であった。しかし、今のように観光を楽しむ経済的な余裕のある大衆は少なかったので、混雑することはなかった。写真のカップルは、新婚旅行客ではないだろうか? つまり、観光は、人生の特別な時限定のイベントだった

中国の観光地は、基本的に有料だが、さすがに当時の西塘古鎮への入場は無料だった。(今では、ゲートがあり、監視員がいて、1500円程度は徴収すると思う。)

 

 

すっかり観光地となった今の西塘古鎮は、観光船が目立つが、当時は、行き交う荷役船や水上生活者の住居船が多くあった。

また、運河そのものが、生活の場で、食器や衣類を洗う者もいた。

 

 

中国に限らず水運の中継地には、商業が発達する。西塘古鎮もそのような街の1つ。食料品や生活雑貨を売る商店がならぶ。

 

 

人民服を着た品の良いおじいちゃんと優しそうなおばあちゃん、そして可愛い双子の孫。快く撮影に応じてくれた。客観的には、単なる記念写真かもしれないが、僕にとっては、人との交流が始まる貴重な1枚だ。

 

 

ドライバーとの待ち合わせの時間が迫り、慌ただしく撮影を切りあげた最後の1枚。あれから20年、西塘鎮のガキンチョは、どんな大人になったのだろうか。

 

 

取引先のドライバーに駅まで送ってもらい鈍行硬座(2等座席車)で帰路へ。そこからが、楽しい経験だ。

満員の列車に乗り込み、自分の席にたどり着くと、案の定知らない男が座っている。ちょっと声を掛けても寝たふりをしている。肩を揺すり、衣服を引っ張ると、渋々席を空けた。(それでもダメな時は、胸ぐらを掴み引きずりださないとダメらしい) この話を聞いただけで、まともな日本人は、中国の旅行が嫌になるだろうな。

僕は取引先のドライバーがキップを買ってくれたので、席を確保できたが、車内は無座(立席)の客でごった返していた。(ダフ屋を使ったか、取引先の董事長=会長の口利きか)

車内には、生きた鶏を持ち込む客もいたし、ダブルブッキングなのか、台湾人グループ旅行者と1時間近く口論する男もいた。周囲の無関係な乗客まで口論に加わるので、なかなか見応えがある大論争だ。車掌が来て、男の持っていた乗車券が昨日のものだったことが判明したが、男は頑として引かない、「俺は切符売り場で、今日と言った」と主張する。男と車掌の争いとなったが、最後には公安が男を引っ張っていき、あっけなく幕引きとなった。

中国で生きていくには、鈍感なぐらいの太い神経がないとダメなのが良くわかった経験だ。

 

 

旅は続く



最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (ななだい)
2021-09-28 06:08:20
zhen 様

おはようございます。

こちらは水郷地帯なんですね。モノクロ写真で当時の風情が良く出ています。水上で生活する人々もいたのですね。
素朴な人民服のご家族はいい笑顔です、おじいちゃん、今でもお元気かしら?
お嬢ちゃん達も大きいでしょうね。

私は西塘と言う地区をまるで知りませんでした。
なのでネットで見てみたら現在では観光地化されて随分、当時と変化しているようですね。

運河沿いに石造りの家が並ぶのは変わらないのでしょうが、夜景など、とても美しくキラキラしています。

20年前の素朴な対比と比べると大変面白いです。

列車でのエピソードも興味深いお話で、中国らしいです。

又続きを楽しみにしております。
返信する
Unknown (Zhen)
2021-09-28 08:50:29
ななだいさんへ

おはようございます。

上海の北西にあり、日本でも知られている無錫や蘇州も水郷地帯です。上海の西方には、数えきれないほどの水郷古鎮があります。

日本にもかつて、水上(海上)生活者がいたのと、まったく同じですね。はっきり言って、経済的には、豊かではないですね。

人民服のおじいちゃんの家族を見ていると、日本の家族と変わらないな、と思います。このような部分は、平凡すぎて、驚きも、発見もないので、マスコミに取りあげらることないんじゃないかな。やはり家族の今が気になりますね。

西塘古鎮は、まだまだ日本では知名度が低いですが、観光地化されても訪問する価値のあるところだと思います。

列車のエピソードの類を楽しめるか、うんざりするかで、中国生活が、楽しい経験になるか、苦役になるかが決まります。楽しめるのは、天性の才能かな?

では、また。
返信する

コメントを投稿