2016年の記録
東トルキスタンへの想いを断ち切れず、再訪。素敵な人々の再会、息をのむ絶景散策の幸せな日々も終わり、帰路 ウルムチ・上海空路の記録。
東トルキスタンは、カラッカラに乾燥した土漠の彼方に雪をいただく天山を望む。
地図を眺めると、中国のすぐ先には、中東なのが良くわかる。
オアシス都市、土漠の荒野から遠くにあった天山の雪が、間近に迫る。
青々とした山々、水の張られた棚田が見える。四川省、貴州省、湖南省まで来たのだろう。
【JUST NOW】
かなり政治的なことを書く。
“東トルキスタン”という言葉を使うと、独立支持者と思われるかもしれないが、僕自身は、まったく逆、つまり「独立はウイグルの人たちを幸せにしない」と確信している。「なぁ~んだ、Zhenは、中共の回し者かよ。」ってことではない。
誤解を恐れずに書くと、リアルなウイグルを知ると、民度(住民の生活の貧富や文明の進歩の程度) の低さを否めない。日本人ならもちろん漢族ならば、誰もが知っている知識さえ持ち合わせていないのである。
中国政府の資金投下がなくなれば、すでにあるインフラ(空港、鉄道、道路、通信、エネルギーほか)も機能しなくなるだろう。貧困化→貧富の差の拡大とともに(中共政権といった“共通の敵”を失い)まとまっていたはずのウイグルの民族内対立が生じる。その負の連鎖の先にあるものは、内戦やバラマキ選挙によって生まれる独裁政権だ。
それは、僕の妄想ではない。欧州宗主国の植民地から独立した多くのアフリカ新興国の現実である。また、ウイグル自治区内には、カザフ族、キルギス族、タジク族といった少数民族も居住している。彼らは、ウイグル族と違って、カザフスタン共和国、キルギス共和国、タジキスタン共和国といった民族の独立国があり、往来の自由もある。それにも関わらず、中国内に留まる理由ってなんだろうと考えた時、経済的基盤のない地域、民族が独立したところで、幸せが待っている訳のないことを実感しているのではないだろうか? いずれの独立国も経済的に恵まれていないし、政治的な自由がある訳でもない。
中共政府に求めるべきは、政治的な自由ではなく、文化(言語、宗教)的な自由なのだと思う。
朝鮮族の友人が、満州族のことを“気の毒な人々”と言ったことがあった。多くの朝鮮族が、漢語とともにハングル語を使える。それに対し、多くの満州族は、満州語が使えない。実際、満州族の知人は、満州語研究者の日本人教官から満州語を教わったと話していた。言語は、民族の基本的なアイデンティティである。
旅は続く