2016年の記録
カシュガルのシクジリから1年、やっぱり東トルキスタンへの想いを断ち切れず、お世話になったクチャを散策した時の記録。
ともかくウイグルの人たちは、フレンドリーなんだ。大人も子供も喜んでモデルになってくれる。
新彊ウイグル自治区は、中国といっても、日本人に馴染みのある沿海部の遥か西方にある。文化的にもイスラム圏、中東と言っても過言ではない。(その部分がウイグル問題の根底にある。)
自治区と言っても広大かつ、沙漠も多いため、自治区内の主要都市と区都・ウルムチは、空路で結ばれている。(良い、悪いは別に中国国家資本が投下されてのことで、仮にも中国でなかったとしたら、ない話で、高速道路さえないだろう。)
聖なる天山山脈から連なる山々の頂きは、夏でも雪に覆われている。「天山の天然かき氷」といったブランドを作れば、中国内で爆発的にヒットするんじゃないかと考えるのは下賤か?
クチャは、観光地があるため外賓(外国人宿泊可能なホテル)があるが、県級都市(日本の郡部に近いイメージ)の小さな町である。
誰に声を掛けても満面の笑みで応じてくれる。
クチャは、ナンの本場なので、どこに行っても立派なナンがならべられている。
おしゃべりをしながら仕事をしているおじさんたちが、店先にいて、異邦人である僕にも穏やかなまなざしを向けてくれる。
ゴミの散乱していない市街地路地裏の住宅地。ウイグルの人たちは、綺麗好きで、漢族の街とは、ちょっと雰囲気が違う、と言っても、まったくゴミが落ちていない訳じゃないけどね。
街はずれにある林基社区に向かう路線バスの車中、幼い女の子が、お道化たり、澄ましたりとモデルになってくれた。最初は、おばあちゃんが気になって見ていた。
前回の訪問時にモデルになってもらった林基路社区のナン屋を訪ねると、とても驚きながらも家の中に招き入れてくれ、おかあさんが、即興で打ったラグメンで、になった。写真を撮らせてもらい、プリントした写真を持って再訪する。まさに僕の旅のスタイル。
男の子ふたり、これ以上ない満面の笑み。
新彊ウイグル自治区60周年、それは、何を意味するのだろうか?
「新彊」とは、清国による征服によって、「新しい土地」を意味する清国側からの呼称だ。アメリカを「新世界」と呼んだのと同じで、その土地に住んでいたウイグル族にとっては、新しくも、何でもない失礼な呼称なのだ。蛇足ながら、「東トルキスタン」の呼称も中国内では、分離・独立に通じるNGワードになっている。
顎髭のおじいちゃんを撮影していると、通りかかった孫を連れたおばあちゃんも合流して3人をカシャ、幸せな時間が流れる。
箒で道路を掃除していたおじいちゃんは、奥さんを呼んで、撮影に応じてくれる。
こちらも前回の訪問時に撮影に応じてもらった小売部(万屋)のオヤジに写真を渡しに行き、再び奥さんに息子を加えて撮影させてもらった。三人とも、目が線になっているのが、微笑ましい。
集落のモスク、その周りを自転車で走る子供、平和な日常の光景だ。
【JUST NOW】
日本では、「これでもか」ってほど、ビックモーター事件が報じられている。経営陣の記者会見は、炎上を鎮火させるのではなく、“油を注ぐ” そのもの。社長(会見で辞任を発表)は、「悪いのは現場、従業員。社長を辞任しても、私は株主なので、今後に期待しますよ」的な他責の高みの見物。新社長は、新社長で、謝罪会見で、社長の功績を称える社長忖度なKY男。呆れてモノが言えないとは、このことか。急遽雇われたPR会社の進言など、聞く耳持たずだったのだろう。
そもそも中古車販売、自動車修理は、利益率の高い業態で、売上があれば、確実に儲かるのである。また、自動車保険代理店も薄利とは言いながらも、基本的にリスクゼロの商売なので、自動車販売と兼業であれば、良い商売だ。以前、保険会社に勤めていた知人曰く、商品の差別化がむずかしいので、代理店に媚びを売るどころか、少々の違法請求にも目をつぶっている。(無保険の物損事故でも代理店に捩じ込まれれば、保険契約後の事故にしてしまう。)
何はともあれ、儲かる商売とは言え、耳を疑う悪行を重ねていても、業績拡大を継続できたというのは、TVなど一方行の情報で集まる顧客が、一定数いたのだろう。双方向のネット世代に話を聞くと、2年ほど前からビックモーターの悪行は、ネットにアップされていたと言う。
世論は、「悪人は社長以下経営者」といった見方をしているが、従業員も従業員だ。中古自動車販売、修理業の平均給与が1千万円超は、どう考えたって尋常でないことは明白だ。従業員自身、同業に転職すれば、同じ水準の給与が得られないことなど百も承知だろう。高額給与を維持するための(違法行為加担を含めた)働き方を選ぶか、まっとうに働いて得られる給与を選ぶかを意識無意識に選択していたのである。
ビックモーターの明日は、極めて厳しいものになるだろう。コンサルの知人の話では、売上は9割減でも従業員への給料は払い続けなくてはならず、早々に資金ショートする。融資に応じる金融機関はないだろうし、M&Aもないだろう。不正に不感症になっている従業員を受け入れる企業などない。在庫の中古車をオークションで大安売りして、資金を確保せざるを得ないが、在庫が枯渇すればそれまで。
昭和的な上意下達のオーナー企業と数字偏重の成果主義が結合すると、ビックモーターのようなモンスターが生まれるのかもしれない。日本企業のほとんどが、オーナー系非上場であることを考えると、第二第三のビックモーターが生まれるかもしれない。
旅は続く