「生協だれでも9条ネットワーク」

日本国憲法と平和主義、民主主義を守る活動を進める生協関係者のネットワークのブログです

【参加報告】1/16長谷部恭男先生×石田勇治先生トークイベント「緊急事態条項の先はどこに向かうか?」(寄稿)前編

2018-02-14 23:59:33 | 参加報告

<管理人より>
 先に「大学生協9条の会」からお寄せいただいた2つの講演会の企画の情報を紹介していました。大久保厚さんから1/16長谷部恭男先生×石田勇治先生トークイベントの参加報告をご寄稿いただきましたので、2回に分けてご紹介いたします。
【参加報告】1/16長谷部恭男先生×石田勇治先生トークイベント「緊急事態条項の先はどこに向かうか?」前編
 1月16日(水)18:30より早稲田生協主催で開かれたトークイベント「緊急事態条項の先はどこに向かうか?」と題した講演会に参加した。このイベントは、集英社新書『ナチスの「手口」と緊急事態条項』 の著者である早稲田大学長谷部恭男教授(憲法)と東京大学教授石田勇治教授(ドイツ近現代史)が登壇し、緊急事態条項とはなにか、どう理解すべきかを語る講演会であった。会場の法学部棟8号館3階318教室に80名ほどの学生と社会人が参加した。
 トークイベントは、まず石田教授からナチスの手口=ワイマール憲法48条(緊急事態条項)を利用した国会機能の剥奪を、ナチス独裁政権の手口として指摘され、3つの作用を果たしたという。
 第一の作用として、48条を使って国会議事堂を棺に収める風刺画で説明し、国会の無機能状態を示し、第二の作用として1933年ヒンデンブルグ大統領によるヒトラー首班指名は少数派政党政権を支えるためのものであり、議会の過半数を制し首班指名されていないにも関わらず、法的強制力をもちえたのは、緊急事態法を巧妙に使ったことを説明した。第三の作用を、独裁政権への総仕上げとして33年2月28日に国会議事堂の炎上事件をデッチあげ、首班指名から1年半という短期間で民主的なプロセスを無視破壊し、「補助警察」による暴力的制圧による支配を通じて、授権法(民族及び国家の危難を除去するための法律):「全権委任法」で憲法の改定を含む立法権を政府に委任する法案を採決したと説明した。
 当日のトークにはなかったが、『ナチスの「手口」と緊急事態条項』には、授権法の成立は、その成立与件が3分の2の出席と3分の2の賛成であったため、ナチは賛成条件をクリアするために「炎上令」で共産党議員を捕縛し、出席条件をクリアするために議長の認めない理由の議員は欠席を認めず、「出席」と見なす手段を執って採決したとある。

 (上図の国会議事堂炎上事件は1928年とあるが、33年です)
※後編に続く→こちら

【情報提供】2/15「ヒバクシャ国際署名」キャンペーンのイベント2つ連続開催情報

2018-02-12 23:59:04 | 情報提供

<K.Mより>
 日本生協連も労理で取り組む「ヒバクシャ国際署名」キャンペーンが、2/15にLOFT9 Shibuyaで2つのイベントを連続開催されるということです。私も後半の企画に仕事帰りに参加してこようと思っています。こういう若い方々のトークイベントには初めて参加するので楽しみです。
【情報提供】2/15「ヒバクシャ国際署名」キャンペーンのイベント2つ連続開催情報
(1)16:00-18:00「ヒバクシャと出会うカフェ」
首都圏在住の被爆者のみなさんを複数名を囲んで
参加料:1drink オーダー
事前予約者優先、先着35名
※facebookでの詳細情報→こちら

(2)19:00-21:00
「知っているようで知らない核兵器のこと聞いてみよう」

【講師】川崎哲(PeaceBoat共同代表/ICAN国際運営委員)
参加費:予約1000円 (テーブルでドリンク注文スタイル)
当日1300円  形式:トークイベント
※パフォーマンスアートシアター「LOFT9 Shibuya」のwebサイトでのイベント情報→こちら
※facebookでの詳細情報→こちら
(1)(2)共通の申し込みフォームはこちらから

 (2)では以下のような内容も想定されるようです。
北朝鮮が核兵器を実際に使用するシナリオがありえるのか。今使われたらどれくらいの被害が想定されるのか。「核抑止」って機能しているのか、そもそもなんなのか。トランプの方向転換の意味は。核兵器禁止条約が作られたことによって世界はどうかわったのか。条約に全ての国を参加させることなんてできるのか。
 facebookではトランプの核戦略見直しが北朝鮮に有効かどうかという論争も身近に起きており、そのあたりも硬直的ではないやりとりがいろいろな方とできるようになっている必要性を感じています。

【参加報告】市民連合「あたりまえの政治を取りもどす1.30 シンポジウム」(寄稿)

2018-02-06 23:23:55 | 参加報告

<管理人より>
 1/30に開催された「あたりまえの政治を取りもどす1.30シンポジウム」の参加報告を、東京カズちゃんさんからご寄稿いただきました。以下にご紹介いたします。
【参加報告】市民連合「あたりまえの政治を取りもどす1.30 シンポジウム」
 1/30(火)の夜は"ビッグ3"の講演会へ足を運んだ。市民連合の「あたりまえの政治を取りもどす1.30シンポジウム」である。18時の開場前から会場の日暮里サニーホールは満杯で、席に座れない多数の人は隣のロビーに座って音だけ聞くことになった!パネラーは前川喜平氏、寺脇研氏、望月衣塑子記者の3氏、進行役は山口二郎氏。参加者は500人近くで、シルバー世代がほとんど、若者がいないのが残念であった…。
 概要は以下の通り。
山口氏:
今年は大きな国政選挙はない。が、憲法改正の国民投票があるかもしれない。私たちも改憲を阻止するための正念場である。
前川氏: 加計学園問題では行政が歪められた。不公正、不透明だった。国家戦略特区での審査は公正だったのか、加計ありきで進められたのではないか。
 現在個人よりも国家や家庭が重視される方向にある。これは逆暴走だと思っている。教育出版からこの4月に出る道徳の教科書には「おはようございます」の挨拶は3つの例示のうちどれが正しいかが書いてある。集団主義的であり、国家主義へつながっていく。そこには人類とか、地球市民といった考えが出てこない。

望月記者:
 2014年4月から武器輸出解禁の取材をしてきた。防衛移転3原則ができて、企業の中で武器生産のシェアがだんだん大きくなってきた。
 私は前川さんの発言に大きな衝撃を受けた。読売新聞に出会い系バーの記事が出てビックリした。
 森友問題では最初に関西のテレビが報道し、関東ではテレビ東京が先頭を切った。その後は各局が堰を切ったように報道した。
 詩織さん事件もショックだった。警察が逮捕令状を発行されて捕まえる寸前に警察トップがストップさせた事例は過去にないのではないか。
 昨年6月から官邸の記者会見に出席して菅官房長官へ質問を次々とぶつけてきている。

寺脇氏:
 他の二人は人気があるが、私は二人のマネジャーみたいなものだ。前川さんはオジさんなのに人気がある。これはあたりまえのことを話す人だからだ。今の官僚はあたりまえでなくなっている。教育勅語は以前の文科省では論外だったのにそうではなくなってきた。
 現在は私たち市民が自分の頭で考えて行動しなきゃ行けない時代となってしまった。官僚はかつてはいろいろと批判することができたが、今は忖度する社会になってしまった。

前川氏: 1979年に役所に入った。官僚が政治を上回っては行けないと思うが、逆にその能力がないがしろにされてもいる。現在は官邸が人事権を握っているため一強を許してきている。
 役人には矜恃を持つタイプ、それなりにやっていければいいと考えるタイプ、権力を握りたいタイプの3つがある。私は道元が唱えた「眼横鼻直」-あたりまえの事実をあたりまえと見る-を大事にしたい。昨今の状況はなぜこういうことになってきたのか。日本人の個が弱いからではないかと思う。
寺脇氏:
 私は辞めさせられた。不祥事をしたわけではなく、気に入らなかったためである。1987年に生涯学習を閣議決定している。私は(前川さんとは違い)面従腹背タイプではなかった。
 『国家の教育支配がすすむ』という本を出している。それにしても首相の周りになぜ多くの補佐官がいるのか。彼らは選挙の洗礼を受けているわけでもないのに。
山口氏:
 立憲主義は憲法を守らないといけない。選挙で勝ったから何でもできるというのはおかしい。現政権は下品な形でやっている。"立入禁止"エリアがあるのにお構い無しだ。特に"立入禁止"の中で教育が侵されてきている。
前川氏: これらは教育の失敗とも言え、文科省にも責任がある。戦前戦中の反省から修身は教えられないとされてきた。ところが1958年岸内閣で道徳が創設された。2006年第1次安倍内閣で教育基本法が改正された。第2次安倍内閣にて道徳の教科化が実現した。その上で家庭教育支援法を制定しようとしている。私は憲法の考えを実現する道徳なら肯定するが、そうなっていない。
寺脇氏:
 今特に強調したいのは大学の自治が危ういということだ。憲法は大学での教育の自由を認めているのに昨今はそうではなくなっている。大学の無償化の名の下に選別がされようとしている。
望月記者:
 様々な意見があることを軽視する傾向がある。ICANの事務局長が安倍首相に会いたいと言ったのにしなかった。仮に核廃絶へのアプローチが異なっても方向が同じなら会って話し合えたはずではないか。米国の戦略に完全に同調するのではなく、他の選択肢も探れるはずだし、中国に対抗するために軍拡の一点張りなのはあまりに頑な過ぎる態度である。
山口氏:
 NHKのインパール作戦の番組を二回見たが、無謀な作戦なのに誰も止められなかったのは今の日本にも当てはまるのではないか。
 今年は改憲の発議が前面に出てくるだろう。やはり「おかしいことはおかしい」と言えることが道を開くことではないか。
望月記者: 官邸の記者会見の主流は政治部記者であるが、私は社会部記者として出席している。いろいろあるが「お前が行かなくなる方が問題」と会社のトップも言ってくれている。皆さんからの声援からも力をもらっている。
寺脇氏:
 マスコミも重要なテーマを取り上げず、相撲ばかり追いかけている。私たち自身が動かないといけないし、若い人へもっと働きかけないといけない。
前川氏:
 安倍首相が権力を持っている時は憲法改正をさせてはならない。ただ、若い世代が心配である。一人一人に語りかける必要がある。ここにいる世代の危機感を若い人へ伝えないといけない。
山口氏:
 今年は正念場だからこそ、2015年9月の時の運動を何倍も大きくしていきたい。


※生協労連がyoutubeにてライブ配信されたとのことです→こちら