<管理人より>
ドキュメンタリー映画「沖縄スパイ戦史」については先に簡単に情報提供していました。大久保厚さんからご寄稿いただきましたので、以下にご紹介いたします。
【報告】ドキュメンタリー映画「沖縄スパイ戦史」を観て
8/28(火)に観てきました。これは自衛隊などの軍隊とは何かを知る上でとても重要なことを知ることができる映画です。何故沖縄かを考える上でのこの映画は欠かせないと思いました。沖縄の支援とは、この自衛隊の憲法明記を絶対許さないという活動だと思います。
シネマハウス大塚で上映されている「沖縄スパイ戦史」を見た。沖縄戦とスパイとはどのような関係にあるのかを訝りながら、一体どういうことなのかに惹かれて鑑賞した。
沖縄戦は、周知ように32軍牛島満指令官の自刃で組織的戦闘が終了したが、その後の沖縄戦の実相とはどのようなものであったかを想像していなかった。この映画は、その真相に迫る「裏の沖縄戦」として描かれた作品である。
今日映画をみて、この映画のモチーフは3つにあると思った。
一つは、陸軍中野学校(中野駅北口の現明治大学、早稲田大学校舎)出身者42名が兵役に満たない少年兵「護郷隊」1000名を徴用し、沖縄戦でゲリラとスパイの戦闘を指揮し、護郷隊」146名が戦死させ、敗走中に逃走に適さない者を殺害したことを記録に留めることにある。
もうひとつは、軍命による強制移住とマラリア地獄による3700名に及ぶ死者を産み出したスパイによる住民移住と病死の記録を明らかにすることにある。その現場は波照間島と石垣島である。波照間島は米軍の上陸がなく、戦死者はいないが、マラリアで病死した島民は3分の1にあたる500名に及ぶという。軍事作戦に価値がないと判断され、徴兵で家長が出征し婦人と幼年者だけとなった波照間島民にマラリアの蔓延る西表島への移住が強要され、2000頭の牛馬は軍食用とされたという。
三つ目は、沖縄戦敗残兵と在郷軍人「国士隊」によるスパイリストと住民虐殺を明らかにすることである。部隊から離散した敗残兵は投降兵を、在郷軍人は、軍に批判的な住民やまた勤労奉仕で軍事施設を知る住民をスパイリストに掲載し、順次殺害していったと言う。つまり、沖縄戦では米軍との戦闘で戦死したばかりではなく、日本兵や在郷県民によって殺害された犠牲者が多数存在するという現実を知るべきだと語る。
映画の後半は、住民をスパイ扱いにするという日本軍の行動規範は一体どこに起因し、その残滓はどこにあるのかを検証する。
第一に日本の国土防衛作戦が住民を巻き込んだ作戦を明記し、利敵行為の疑いのある住民の密告を奨励し、住民間の疑心暗鬼による住民監視と支配をその常套手段とする指令によってなされたことにある。
第二は、戦前の「機密保護法」にある「軍に関する情報」の秘匿を絶対し、その秘匿のために殺人を奨励することが日常であった。つまり国賊として殺すことが奨励されたということである。
第三に、上記の前歴は、いまの法令に脈々と受け継がれていることにある。それが、現「野外令」「離島防衛」、そして「自衛隊法103条」である。
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自衛隊は、日本を守るという。しかし軍隊は自ら兵士である「自分」と「作戦行動」そしてその物理的拠点である「基地」を守ることはあっても、決してその土地の「住民」を守ることはない。戦争をするのは、人を愛し、妻と子をもつ兵士でもある。戦前の日本軍はその最も本質的な価値である生命を天皇に捧げることに成功した。「国賊」の名の下に誰でも抱く当たり前の「平和に生きる」という願いを亡き者にすることによってである。
この映画は、軍隊とは何か!自衛を名乗る実力組織:自衛隊とはなにか!を考える最適な題材だと思う。自衛隊が日本を守るとは一体何から何を守るというのだろうか?