最後のドライブ

きのう、じんべがひとりで行ったドライブの写真を一緒に見ていた。

3月14日日曜日
新しい車の納車日。



前日の最後のドライブはどこに行こうかと
だいぶ前から話していた。

13日のカレンダーには
「メルちゃん　お別れドライブ」と書いてある。
じんべが書いた。

なのに、その日は私の嘔吐事件で急遽中止に。
寝ながらも今日は最後の日なのにと朦朧と考えていた。

じんべは一人で出かけることもなくウチにいた。

目が覚めたときもやはりウチにいて、
珍しく11時ごろまで起きていた。

そして、

「ちょび、今日も遊べなくてごめんね。
今日１日、台無しだったね。
メルちゃんにも悪いことしたね」
と話しかけていた。

寝ながら、「最後のドライブはなくなった、
でもちょっと近場でどこか行けないか」と考えていた。

翌、日曜の朝もまだ熱もありよろよろしていた。

6時過ぎに「最後に出かけてくるよ」と言うので
納車の時間を聞いて私の計画を言った。
納車は2時なのでその前に東京タワーに行こうって。

そう、前々から新東京タワー（スカイツリー）に行こうって言ってた。
だから最後のドライブにいいかなって。

その時間までに治っているかどうかはわからなかったけど
もし、よくなっていたら行こうってことで
じんべをひとり送り出した。

薬を飲んでぐっすり寝た。
10時過ぎに起きたら気持ち悪さとしんどさが取れていた。

お昼前に電話があって最後のドライブに出かけた。

じんべは母のお墓のある鎌倉に行っていた。

「一緒に行けなくてごめんね」と告げたら

「かえって一人で行けてよかったよ。
メルちゃんと最後のドライブできたから。
首都高目いっぱい飛ばして楽しかったよ。
写真70枚くらい録ったよ。
もう、いっぱい泣いたから大丈夫」
と、さばさばしていた。

スカイツリーの近くでクルマと一緒に写真を撮って
新しい車のいるクルマやさんに向かった。

「あと１キロだ。きっといい鉄になるよ。」
と言ってハンドルを撫でる。

あちこち手の届く範囲を撫で
「14年9ヶ月、なにもなく来れたよありがとね」

それを聞いたら、見ていたら、
泣かないはずの私が泣いていた。

目を赤くしてクルマやさんに会ったら、
「大切に乗ってらしたんですね」って言われ、照れ笑いした。






『最後の日の写真』
































最後の思い出なのでいっぱい載っけちゃいました。