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科学的方法とは何か? 年表

2019-09-28 06:29:45 | 科学論
 さて科学的方法の発展の歴史に触れたいと思ったのですが、ひとまず関係する年表を作っておきます。直接に科学的方法の発展に関係しているのは「科学論」という項目にした事象ですが、他の項目の事象も今後書こうと思っていることに関連しそうなものを挙げておきます。なお理論や著作は発表年を示していますが、発表されてすぐに認められた理論の方が少ないのは当然です。「科学論」に挙げた事項は例によって[Ref-2]を参考にしています。

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[1913] 原子分子 ボーア、電子軌道の量子条件から線スペクトルを説明
[1905] 光・電磁気 アインシュタイン「光電効果の光量子仮説
[1905] 運動学 アインシュタイン「特殊相対性理論
[1900] 光・電磁気 マックス・プランク「プランクの公式

[1898] 原子分子 ラジウム発見/M.キュリー
[1895] 光・電磁気 レントゲンのX線の発見
[1895] 原子分子 ウラン鉱物からの不活性ガスをHeと確定/W.ラムゼイ
[1894] 原子分子 Ar発見(キャベンディッシュ再現と分光)/W.ラムゼイ

[1888] 光・電磁気 ヘルツ(ドイツ)が光電効果を発見
[1888] 光・電磁気 ヘルツ(ドイツ)がマクスウェルが予言した電磁波の存在を実験で確認
[1887] 光・電磁気 マイケルソン・モーリーの実験

[1874] 科学論 ジェヴォンズ(W.S.Jevons)『科学の法則(The Principles of Sciences)』[Ref-2]
[1874] 原子分子 ファント・ホッフが炭素の正四面体説
[1868] 原子分子 ヤンセン、ロッキアーが太陽光のスペクトル中にHe発見
[1865] 原子分子 ホフマンの棒球模型(1865年)
[1864] 原子分子 クラム・ブラウンの分子構造式(1864年)
[1864] 光・電磁気 マクスウェルの方程式、電磁波の予言、光の電磁波説(速度の一致が根拠)
[1859] 生物 ダーウィン『種の起源』
[1858] 生物 ダーウィン、ウォーレス、ライエル『自然選択説の学会発表
[1857] 原子分子 ケクレの原子価説「炭素4価」

[1851] 光・電磁気 フィゾー(フランス)が逆方向に流れる水中の光速差を検出
[1850] 光・電磁気 フーコー(フランス)による光の波動説の主張。空気中と水中での光速の違いの測定が根拠
[1843] 光・電磁気 フィゾー(フランス)が回転歯車による光速の測定を開始
[1843] 科学論 J.S.ミル『論理学の一体系-演繹および帰納』
[1840] 科学論 ヒューウェル『帰納的諸科学の哲学(The Philosophy of the Inductive Sciences)』
[1840] 原子分子 アンドレ・デュマ(Jean Baptiste André Dumas)の「型の理論
[1837] 光・電磁気 ファラデー(イギリス)が電気の近接作用論を提唱
[1837] 原子分子 イェンス・ベルセリウスが「根の説」を提唱

[1833] 生物・地質 チャールズ・ライエル『地質学原理(Principles of Geology)』
[1830] 科学論 ジョン・ハーシェル『自然哲学研究に関する予備的考察』
[1823] 光・電磁気 フレネル(フランス)がフレネルの公式(反射・透過係数の振幅を与える公式)を発見
[1817] 生物 キュヴィエ分類学の集大成『Mémoires pour servir de l'histoire et a l'anatomie des mollusques』
[1814] 原子分子 イェンス・ベルセリウス元素記号を考案
[1811] 原子分子 イェンス・ベルセリウス電気化学的二元論
[1811] 原子分子 アボガドロの法則と分子説
[1809] 生物 ラマルク『動物哲学』
[1808] 光・電磁気 マリューが偏光を発見 (光が横波である証拠)
[1805] 原子分子 ゲイ・リュサック「同温・同圧のもとでは,水素2体積と酸素1体積が反応して2体積の水蒸気が生成する」
[1803] 原子分子 ドルトンの原子説
[1801] 光・電磁気 ヨーハン・ヴィルヘルム・リッター(1776~1810)が紫外線発見、化学線と命名
[1801] 光・電磁気 ヤングが光の干渉実験 (波動説の有力な根拠)
[1800] 光・電磁気 W.ハーシェルが赤外線を温度計で発見、 calorific ray(発熱線)と命名

[1785] 電磁気 クーロン静電場の逆2乗則[クーロンの法則]を発見
[1773] 電磁気 キャヴェンディッシュ静電場の逆2乗則[クーロンの法則]を発見

[1704] 光 ニュートン『光学
[1703] 科学論 ニュートンが王立協会(Royal Society)会長に
[1687] 運動学 ニュートン『自然哲学の数学的諸原理
[1662] 科学論 英国王立協会(Royal Society)設立、ベーコンの権威の承認[Ref-2]
[1620] 科学論 フランシス・ベーコン(Francis Bacon)『ノヴム・オルガヌム(Novum Organum)』
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 ここで化学や生物学の事項も入れているのは科学史である以上は当然とも思えますが、従来の科学哲学では科学の代表として物理学や天文学(天体運動学)を実例として考察することが多く、化学や生物学で普通に使われている方法を科学的ではないなどと断ずることもあったらしいです。例えばダーウィンの自然選択説などが科学的に沿った理論ではないとか。

 このあたりの事情は、現在雑誌『化学』で連載中の落合洋文「化学者のための哲学」にわかりやすく書かれています[Ref-8]。連載が終われば単行本も出るかも知れません。


【修正(2019/10/14)】 クーロンの法則を追加。分類の若干の変更。
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Ref-1) 戸田山和久『科学哲学の冒険 サイエンスの目的と方法をさぐる (NHKブックス) 』(2005/01)
Ref-2) 内井惣七『科学哲学入門―科学の方法・科学の目的』世界思想社 (1995/04)
Ref-3) 内井惣七『シャーロック・ホームズの推理学 (講談社現代新書)』(1988/11)
Ref-4) 伊勢田哲治『疑似科学と科学の哲学』名古屋大学出版会(2003/01)
Ref-5) ロビン・ダンバー『科学が嫌われる理由』青土社(1997)
Ref-6) ロジャー・G・ニュートン『科学が正しい理由』青土社(1999/11)
Ref-7) Jevons,W.S. "The Principles of Science" Macmillan(1874)
  英語版wikiにも引用あり
Ref-8) 落合洋文「化学者のための哲学」雑誌『化学』2018年1月号~

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