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宇宙漂流記『彼方のアストラ』

2019-08-21 06:42:49 | 架空世界
 現在テレビ放映中のアニメ篠原健太『彼方のアストラ』(原作は少年ジャンプ連載)はコミックスとしてはかなり珍しいストーリイです。

 時は2063年、超光速航法が開発され人類の既知の星域は数千光年の彼方まで広がり地球型の居住可能惑星も多数見つかっているものの、そのほとんどは未だ手つかずの未開の地です。ケアード高校の生徒たち8人+1名、は教育課程の一環である宇宙キャンプに出かけます。ひとつの惑星で生徒たちだけで生活するという楽しそうだけどちょっと厳しそうでもある課題です。ところが着陸して送迎の宇宙船も飛び去り、これから楽しいキャンプ生活という時に謎の球体が現れ、飲み込まれた彼らは数千光年も離れた宇宙空間へ放り出されます。えっ、いや大丈夫。襲われた時にとっさに宇宙帽を装着するというサバイバル心得のおかげで死は免れました[*1]

 なぜかそこに人類製作の無人の宇宙船が1隻浮かんでおり、当然ながらそのコンピューターには航行に必要な既知星域のデータもありましたので、居住可能惑星、すなわち呼吸可能な大気と適度な重力と食物にできる生命体とが存在する惑星をいくつか経由してゆけば故郷にたどり着けることが判明しました。とはいえ宇宙進出初期も初期の時代なので、どの惑星も人のいない未開の地のもようです。

 このような子供たちだけが社会から孤立した環境でサバイバルをするという物語は『15少年漂流記』(1888)以来の少年冒険ものの王道・・であってもいいはずなんですが、意外と珍しいですね。各メンバーが欠点も持ちながらもそれぞれに得意技を持っており、これまでに一通り紹介されました。

 そしてどうやら単なるサバイバル物語だけでは済みそうもありません。メンバー最年少のフェニシアはキャンプのほぼ直前に両親を亡くして孤児施設に入り、すぐにラファエリ家にもらわれてメンバーの一人のキトリ-・ラファエリと姉妹になったのですが、そこで孤児施設の園長と黒メガネの人物との会話を聞いており、その内容から「このキャンプのメンバーは意図して集められ、殺される予定だったのではないか」との疑いが浮上したのです[*2]

 うーむ、これからの宇宙進出を担うエリート人材であるはずのケアード高校生をまとめて殺すなんて人類の敵ですね。

 こうしてまさに生徒たちを数千光年の彼方へテレポートした謎の球体の正体という謎が問題となります。たぶん最終回くらいまで解き明かされないのでしょうけれど、既に通常技術の超光速航法とは異なるものであることは明らかです。これには4つの可能性があります。

  1.既によく知られた技術
  2.一般には知られていないが、どこかで誰かが開発中の技術
  3.非人類の技術
  4.自然現象

 さてメンバーの一人ザックは宇宙船操縦もできる理系の天才児です。彼も知らないらしいので1の可能性はまずありません[*3]。この事件が地球人の何者かの陰謀であれば、もちろん2で決まりです[*4]。陰謀説に関していうと地球での状況も挿入されましたが、当然ながら謎の行方不明事件としてニュースになっておりキャンプ地の惑星上での捜索が行われたものの一切のてかがりなく少年たちは煙のように消え失せた、ということになってます。当然ながら親たちは心配で心配で・・とは言えない人達もいるのかいないのか・・という疑いがわくくらいに色々とある家庭もあって・・。

 そして最新話では無人島に別の漂流者が漂着したもようです。うーむ、色々と予想しない展開を見せてくれます。


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*1) これはメンバーの一人のとっさの呼びかけによる。サバイバルの心得そのn、流行語になりそうな。でも実際に役に立つ。
*2) フェニシア自身は聞いた会話を覚えていただけであり、内容は理解していなかった。
*3) 実は知ってて隠しているという逆転劇もありうるが、その場合でも他のメンバーは知っている可能性があり得ないくらいには知られていない技術となる。
*4) 実はフェニシアが聞いた会話は陰謀でもなんでもなくて・・というほのぼの結末もありうる。その場合は34の可能性もでてくる。

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