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ダーウィンの5つの進化理論-1-

2010-08-01 06:30:00 | 生物学
 ダーウィンの進化理論は複数の主張を含んでおり、例えば以下の5つにまとめられます2)
1)進化すること
2)共通祖先と分岐
3)漸進性
4)集団内の個体変異による進化と種分化
5)自然淘汰説

 日本語文献ではこのまとめが紹介されたものは少ないのですが、非常にうまくまとめられていると思います。さて実はこの5つの中に現在では必ずしも正しくはない主張が含まれています。それはどれでしょうか? 今日の記事では設問だけをしておきましょう。必ずしも正しくはない、というだけであって、ダーウィンが間違っているとか乗り越えるとかいうトンデモな話ではありませんから念のため。

 なお、このまとめは河田雅圭によりますが2)、もとはエルンスト・マイア(Ernst Mayr)がまとめて3)フツイマの教科書に載ったもの4)と紹介しています。マイア自身のまとめはRef-1の4章に載っています。
1)進化説そのもの
2)共通起源説
3)種の増殖説
4)漸進説
5)自然選択

 マイアの本では各理論が受け入れられる過程がそれぞれどのように違っていたかが解説されており、その点も含めてダーウィン理論や総合説の理論構成と歴史がよくわかる本です。訳者の養老孟司があとがきでしきりにダーウィニズムと対決したがっているのがおもしろいですが(^_^)

 河田雅圭のまとめは3と4の順序が違い、マイアが「種の増殖」とだけしたところに「集団内の個体変異による」という点を入れています。後ほど解説しようと思いますが、マイアの本でも個体変異の概念がダーウィンの主要な主張のひとつだったとしている点と、種の増殖すなわち分岐だけなら共通起源説からの必然的結果である点から、私は河田雅圭のまとめを採用することにします。

 続く

-----参考文献-------------
1) エルンスト・マイア(著);養老孟司(訳)『ダーウィン進化論の現在』岩波書店(1994/04)
2) 河田雅圭 "科学(1998/12)[小特集:今を生きるダーウィン]"p943「ダーウィンの進化理論と現代の生物学」
3) Mayr,E. "The Growth of Biological Thought: Diversity, Evolution, and Inheritance" Harvard Univ.Press(1982)
4) Futuyma,D.J. "Evolutionary Biology 3rd" Sinaure(1998)
  日本語訳は第2版でMayrの文献より前なので5つのまとめはないかも知れない。
  フツイマ『進化生物学』蒼樹書房(1997/06), ISBN-10:4789130479

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1 コメント

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Unknown (山田正)
2019-04-21 15:58:02
偉そうに
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