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近界(neighborhood)と玄界(ミデン)の謎

2016-03-13 20:49:27 | 架空世界
前回の記事からの続きです。

 さて週刊少年ジャンプで連載されアニメ化もされている「ワールドトリガー」にも多数の世界(国)が登場します。ただしここでは異次元世界としては近界(neighborhood)と呼ばれるひとつの宇宙だけであり、そこには多数の惑星国家が存在するというものです。惑星国家群はひとつの3次元空間の中に存在するので自然法則は全ての惑星で同じはずです。もちろん各国家の文化等は異なります。この異次元世界がなかなかおもしろい構造をしています。

 特におもしろいのは、こちら側の世界である我々の地球が近界(neighborhood)の中で特別な位置を占めているらしいことです。多数の惑星国家には決まった軌道を巡るものと定まらない軌道を動く乱星国家と呼ばれるものがあります。我々の地球は近界民(neighbor)からは玄界(ミデン)と呼ばれていますが、作品に登場した近界の宇宙図では、どうも玄界は、この決まった軌道群の中心付近にあるらしいのです。しかも近界の中では3次元空間の中に玄界の位置が決まっているらしい。正確には玄界に通じる門(Gate)の位置なのかも知れませんが。こちら側の世界では近界に通じる門(Gate)の出現位置は定まりません。もっともある程度は操作ができて、近界からの侵攻を防衛する組織ボーダーは門(Gate)の出現位置を三門市の一部に限定して防衛をしやすくしています。

 ともかく近界(neighborhood)の宇宙の中では、玄界(ミデン)は数ある惑星とは全く異なる特別な星だということになります。大きさにしても近界の惑星は一つの国家しか存在できないくらいの大きさしかないようで、にもかかわらず重力は地球とほぼ同じらしいという不思議なものです。実は惑星の中心にはトリオン体である「神」がいて、そのおかげで惑星が存在できているらしいのです。

 ここでトリオンなるものはこの作品の鍵となる架空資源でそれを操作する架空のトリオン技術は近界民にとっては重要な文明の力となっています。こちら側の世界ではそんなものは知られていませんでしたからトリオン技術はボーダーが必死に開発途上というところで、いうならば玄界(ミデン)はトリオン技術では後進国です。なにせトリオン体となった兵器や人間には普通の物理攻撃は効果がないので、トリオン技術の優劣は軍事力の優劣に直結します。

 さてこのトリオンは一種のエネルギーみたいなものですがその発生源は実は人間が誰しも持っているトリオン器官というものなのです。つまりヒトこそ資源なのです。さきほどの惑星の中心で惑星を支えている神も実は元は力強いトリオン器官を持った人間だったとの設定です。

 さてトリオンを銃や刀の形にした武器をトリオン体となった人間が扱うという形での戦闘ができます。その他に、トリオンにより作られ、まるでロボットのようにほぼ自立的に、(もしくは遠隔操作で?)動く兵器がありトリオン兵と呼ばれています。近界からの侵攻ではこのトリオン兵が敵の主な戦力だったので、近界民(neighbor)という名称は実はトリオン兵を指す言葉でした。実際の近界の住人は地球人とそっくりな生物で「ヒト型ネイバー」というやや差別的な名称[*1]で呼ばれていますが、このヒト型ネイバーが侵攻に加わるのは珍しいことです。が、物語が始まってからは・・・。

 さて以上のことから近界(neighborhood)の秘密を少し推理してみましょう。なぜ、玄界(ミデン)はかくも特別な存在なのか

 ヒントは近界民が地球人そっくりということです。顔かたちまで見分けられないほどの収斂進化というものも考えにくく、どうみてもホモ・サピエンスと同一種としか見えません。となると彼らはこの地球から近界に移住した者たちの子孫ということになります。近界の惑星が元人間である神がいないと存在できないという事実もこの仮説を裏付けます。そもそもトリオン器官を持つ人間が移住しなければ惑星国家も存在できなかったのです。

 近界民の中には「ミデンの猿」という差別発言をする人物も登場しますが、実に言い得て妙だったことになります。我々玄界(ミデン)の民こそは近界民の御先祖様だったのですから。オイコラもっと敬え(^_^)。

 さらに近界民の祖先は日本人が主だったと考えられます。理由の一つは門(Gate)の出現が日本の三門市近辺で多かったらしきことです。前述の通り、現時点ではボーダーの技術により門(Gate)の出現は三門市内の一部に限定されていますが、それも元からこの近辺での門(Gate)出現率が高かったからでしょう。

 そしてもうひとつの理由は、彼らが日本語を話すことです!?[*2] これは近界民(neighbor)の祖先には日本人が多かったことを示しているとしか考えられません。ただ日本語というのは結構激しく変化してきています。彼らの話す日本語は現代語に近いように聞こえるのですが、だとすると近界民の祖先の移住は随分最近の出来事であるわけで・・・。まあ実は彼らの話す日本語は江戸時代だか弥生時代だかの言葉が変化したもので互いに聞き取りはなんとかできるというものかも知れません[*3]。それが現代語に近いように聞こえるのは、もちろん読者や視聴者向けに翻訳しているのかも知れません。


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*1) 異国や異民族の人間に人間もどきのような名称を付けて「真の人間の権利は与えなくても許される」という論理を使うことは、古代ギリシャから現代までよく使われる手段だ。物語の中でも「貴様らには人間の法律は適用されない」との発言もあったし。
*2) 異世界でも全銀河系でも言葉が通じることになっているというお約束は忘れて、あえて突っ込む。
*3) 現代人が古語を聞き取れるものかどうかは自信がないが。

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