その夏へ向けて
浜松町から羽田行のモノレールが目黒川と京浜運河の合流点を過ぎ、水面にその姿を映しながら対岸に八潮北公園が見えてくれば、モノレールが北部陸橋の上を通過するのは間もな...
港近く —— 横浜市中区海岸通り
横浜市中区海岸通り —— まだ携帯電話なんてない頃のきみから来た封書にあった住所だ。 ...
その理由
人を好きになったり嫌いになったりする理由は、精々ひとつかふたつあれば充分と...
好きな歌を聴いて過ごす朝
春。 雨の安息日。 スーパーで見つけた季節はずれの林檎 —— 旬に一番よくできたも...
夜が更ける頃
空腹を感じたら、それを満たすだけのなるたけ少量の粗食を摂り、陽の高いうちに眠くなれば、しばし居眠りをする。 目覚めていれば、こぢんまりした一文をどこからか見つ...
ローマまで二十六時間
昔、水口イチ子とイタリアへ初めて旅したときのことだ。 「あの頃、(ぼく達にはお金がなくて)アリタリアの直行便には乗れなくて、オール・ニッポンだったかジャパン・エ...
One Too Many Mornings
One Too Many Mornings —— たくさんの朝の、ひとつ
国家太平、家内安全を祈願す
令和六年初午の日(20240212)、東京ドームシティ内鎮座、錦秋稲荷社に陶製稲荷神...
随分長い間疑うことはなかった
水口イチ子は、以前から自分の背が高いことを気にしていた。例えば雑踏で他人の視線に曝されるときなど、彼女には、それをことさら気にする様子がうかがえた。 ...
葉山港近くの海岸で読書する水口イチ子
図書館で日本文学史を手に取り(勿論買ってもいい)、昭和時代以降、詩人として...