群馬独峰会活動日記

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下又白谷を登り返し、A沢より奥又白池まで。中畠新道より下山。 2011.07.17-18

2011年07月20日 21時20分12秒 | 山行記
 前日、完全に道迷いだと気付いたのは、下っている途中で右手に見覚えのある明神東稜とラクダのコルが目に入ったときでした。それまで右手に見えていたピークを茶臼ノ頭だと思っていたのですが、なんと左手に茶臼ノ頭があるではないですか!ラクダのコルの真下にあった沢(下又白谷)を下っていたわけです。目標点が間違っていたら道迷いになることを改めて経験しました。

 さてここからどう判断したか。答えは簡単、現在位置も分かったのですから、戻ればいいだけの話です。ただ、降りるのにかかった時間が4時間(もっと早く気付かないと…)、現在時が17:00。これが下山日だったら、もしかしたら無理矢理下又白谷を下ることを考えたかもしれません。こわい話です。

 登り返すのは明日になるとしても、落石の直撃を受けない場所を探さなければいけません。最悪、踏み替えをした尾根上は横にはなれないとしても、立派な候補のひとつです。何カ所か目星をつけながらさらに下っていくと、切れた尾根の突端にいい場所がありました。2日目の写真にある岩陰です。錆びたハーケンを利用してツエルトで風よけなど作り、寝返りは打てないながらもビバーク体制を整えました。

 前日の熊といい今日の道迷いといい、明日は何が待っているのか不安になりながら、「これも楽しまないと」と声に出して言ってみたりもしながら、眠りにつくことができました。

【3日目】

カモシカのお出迎え。実は動くものを見つけたときにはかなりビックリしました…


4時間半かけて下又白谷源頭のコルに戻ってきました。

最後の登りでは来た道を戻れているのか確信がもてなくなっていました。
見えているコルの先が崖だったらどうしようと、本気で心配になりました。

コルからの下又白谷。左の尾根を見上げると、次の写真。


赤丸印(ケルン)に注目しつつ、さらに左に目をやると次の写真。


左の平らな部分が前穂山頂。矢印の方向に回り込むとケルン(前の写真の赤丸)があります。


ケルンの先の赤丸印がA沢下降点です。次の写真へ。


下降点からは奥又白池がはっきり見えます。


A沢に入っています。このまま左のA沢を進むと滝に行く手を阻まれますので、矢印のように踏み替え、中又白谷に入ります。踏み換え点はここしかないというところにありますので、見落とすことはないでしょう。


さらに進んで、丸が奥又白池。ここまで来るとだいぶ傾斜も緩んできます。


中又白谷全景。隠れている部分の雪渓が1カ所切れていました。
左岸をクライムダウンしましたが、懸垂で降りてもよかったかもしれません。


左の雪渓の切れ端が降りてきた中又白谷。自然と中央の尾根に導かれるでしょう。尾根には踏跡もあります。
4峰正面壁へ行くには、この尾根から右に降りていきます。


3日目にしてようやくたどりついた奥又白池。



【4日目】

 4日目は、気力体力ともにいっぱいいっぱいだったので、中畠新道から下山することにしました。天候と相談しながらにはなりますが、2日目に奥又白池に着いていたらA沢を登り返し、明神岳縦走をしていたかもしれません。
 しかし、中畠新道もかなりの急勾配です。谷川的に言うと、中芝新道と同程度でしょうか。気を引き締めて下りました。

前穂の雄姿を目に焼き付けながら池を後にする。


井上靖の「氷壁」で有名な前穂東壁。


4峰正面壁。


チョックストーンから右上して4峰正面壁に取り付きます。偵察しておきたかった…


中畠新道を下り、一気に涸沢へ通ずるパノラマ新道との分岐点です。


中央の尾根から中畠新道へ。右の沢から涸沢へ。


新村橋まできました。油断すると重荷がこたえます。


河童橋にて今回の山行は”無事”終了。

下又白谷を迷い降りる 2011.07.16

2011年07月20日 10時54分02秒 | 山行記
【2日目】

明神主峰直下のバットレス。4級はないと思われます。


核心といわれる唯一の岩場。落ち着いて登ると、登山靴でも十分です。


単独登攀システムでは、ザイルの流れを気にする必要はありません。好きなところに好きなだけクリップ。
空身でザイルを伸ばしながら登り切ると、下降してビレイを解除し、荷物を背負って登り返します。


左の尾根が明神東稜。


明神主峰に向けて左を巻ながら登っている途中、明神2峰が見えてきました。


西穂-奥穂間の稜線


左から、奥穂-吊尾根-前穂-前穂から明神主峰への縦走路


左下の緑の出っ張りの下が「ラクダのコル」、そして明神主峰。


奥明神沢のコルから。垂直との記録もありますが、問題なくクライムダウン可能です。
この後岩陰で日差しを遮りながら、しばし休憩。重太郎新道には登山者が連なっていました。


A沢下降点を探しながら、空身で前穂まで足を伸ばしました。


A沢下降点と勘違いした「下又白谷源頭」。左の尾根の2本左の沢が「A沢」でした。


下又白谷をずいぶん下ったところ。梓川がだいぶ近く見えます。
下に見える雪渓に乗り移るまでに滝がありました。


同じ地点から上を撮影。左の尾根に乗り移りました。


尾根から再び沢に降り立ったところ。
多分道間違いだろうなと感じていたので、登り返すときのために撮影しておきました。


下りながら見つけた岩陰。これより上にはビバーク適地はありません。
落石の心配が少ないので、ここで一夜を明かすことにしました。


右上に錆びたハーケンが打ってあります。ここでビバークした先人がいたのでしょうか?
少なくとも熊のねぐらではないようです…