定期船当番日の朝
雪雲が近づいてきた。
洗濯機をセットして峠道を目指した。
海の向こうは雪雲が掛かり 昨日街まで出掛けたおり突然の雪に驚いた。
雪が降る前に食料の買い出しをするためだったが雪の降るのが早かった。
昼食後出掛けたにも拘わらずピザを食べようと言う夫に釣られて
此れでもかという大きな海鮮ピザを食べて。
お正月が明けたと言うのに籠もりがちな日々 怠け心に渇を入れたくて峠を目指した。
右手から吹く海風を受けながら身を屈める事をせず背筋を伸ばして歩いていた。
繰り返し寄せる波の音 ヨセの葉擦れの音を聞きながら山へと入る。
木々の間から覗く波面は複雑に屈折し太陽が顔を出すと眩しさが増して
ツワブキの花の終わりも既に済み残こされていた綿毛。
風に舞う綿毛がツワブキの命を繋ぐのだろうかと独り言を言いながら
花たちにとっての冬は春への準備の時期なのだと一人納得している。
葉を落とした広葉樹は山の中まで陽を入れて明るい。
影踏みをしながら山道を下った。
遠くに望む山の頂は白く覆われて間もなく里まで下りてくるのだろう。