・深海魚Deep sea fish しんかいぎょ
海を深さによって垂直方向に区分した場合、表層Epipelagic・中深層Mesopelagic・漸深層Bathypelagic・深海層Abyssopelagic・超深海層Hadopelagicに分ける。
200m以上の深さの海に生息している魚を深海魚といい、1万5800種ほどを確認している。体色は、生息場所と関係が深く、やや深いところに生息する魚類は赤色、褐色、黄色をして、さらに深いところに住むにつれ深紅色、黒色、黒紫色の色をした魚類が多くなる。
一般に、中深層以深(ちゅうしんそういしん)に主たる生息水深を持つ魚類が深海魚として扱われる。中深層(水深200~1,000m)には、光合成を行うには不充分ながらも、わずかに日光が届き主要な温度躍層Thermocline(おんどやくそう:水温が急激に変化する層)のほとんどがこの領域に存在する。漸深層(ぜんしんそう水深1,000~3,000m)は光の届かない暗黒の世界で、水温は2~5℃で安定している一方、生物が利用できる有機物の量は表層の5%にも満たず、深度とともに急速に減少する。
深海層(水深3,000~6,000m)になると水温は1~2℃程度にまで下がり、ほとんど変化しない。魚類の比重は、通常は海水より大きいが、多くの深海魚では骨・筋肉など体内の高密度組織が減少し代わりに低比重の水分と脂肪分を多量に含む。頭部の骨格が退化、鱗・棘条を持たない種類も多い。餌の少ない深海の環境では、エネルギーを効率的に蓄える肝臓は深海魚にとって重要なエネルギー貯蔵器官で、深海魚が水圧で潰れないのは、高い水圧 に適応したタンパク質で細胞を支えていることによる。
そのため浅海(せんかい)に棲む魚に比べ、形、色が特殊であることが多く食用とすることは少ない。水圧等の影響により水から揚げると死んでしまうことが多い。寿命の長い深海魚ではメチル水銀(有機水銀の一種)の濃度が高くなる傾向にあり、過剰摂取により脳に障害を及ぼすことを指摘している。200m~500mにキンメ鯛、目抜け、サメガレイ、アブラガレイ、500m~1000mに、ハダカイワシ、アイザメ、1000m~2000mにチョウチンアンコウがみられる。2000m以下に400種、また7000m級の魚の確認をしている。
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