2025/2/23
・ビクター・フランケン博士が、自身の生み出した怪物によって大切な人々を次々と失っていく話。
・前説でお客さんを交えてシアターゲームが始まる。
・本作は本編への導入も担っていたけど、作品によっては、客席の空気作りのために取り入れてもよさそう。
・ただ、インプロ以外ではあんまり見たことないから実際にやろうとすると難しいのかな。
・舞台装置としての人体の使い方がおしゃれ。
・実際に物を用意するよりフットワーク軽く色んな場所を表現することができる。深い森の表現も他の方法では難しい再現力とスピード感がある。
・ただ人体の椅子は、拷問感と言うかなんというか、別の意味が生まれてしまってソワソワしてしまう。
・椅子→怪物になるところもズルいと思ってしまう。
・他には透明なボックスとロール状のフィルムを使用。
・実際、よくわからないところもあったけど、ポイントになるシーンで印象的に使われている。
・複数の人体にフィルムを巻き付けることで、うまく醜い怪物を表現していた。肉塊感。
・ウィリアムの死体を見つけるところ。箱を取ると時間が動き出す感じはおもしろい。
・複数の人体でひとつの怪物を表現するのは珍しくないと思うけど、本作の場合は死体の寄せ集め感があって一際フィットしている。
・盲目の老人を相手にしている時は一人で演じて、目の見える人たちの前に出ると複数名集まって怪物感を出す見せ方もうまい。
・孤独な存在には名前は不要という、フランケンの誤解を逆手に取った視点。本作のオリジナルなのかな。
・自ら生み出した怪物が知性を身に着け、人々の脅威になっていく様子は、科学の色んな側面に置き換えられる。今ならAIの高度化。
・実際、科学者たちの積み重ねた研究の成れの果てが醜い怪物だったという見方もできそう。
・かと思ったら、最後のナレーションでフランケン博士の研究の成果が現実とリンクして肯定的に語られる。
・どちらかというと科学の負の側面が語られる話だし、現実は現実でコロナ禍が大変なことになっている時期。どちらにもリンクしてなくて戸惑ってしまった。
◎詳細(観劇三昧HP)
■公演時期 2020/10/18
■キャスト
今野健太
中原くれあ(以上、THEATRE MOMENTS)
青木まさと
大窪晶(演劇集団円)
ちょびつき雨宮
友野翔太
豊田可奈子
三橋俊平
■スタッフ
原作:メアリー・シェリー
脚色・演出:佐川大輔 Creator:All members+札内茜梨
衣装:有島由生(斧頭会)
照明:宇野敦子
音楽:越川徹郎
楽曲提供:井ノ上孝浩
舞台監督:服部寛隆
宣伝美術:印田彩希子
宣伝写真:Basigrapher
音声ガイド:NPO法人シニア演劇ネットワーク
字幕・ウェブサイト翻訳:中井奈々子(英語)・YU DU(中国語)
演出助手&字幕制作:三石美咲
演出助手&小道具制作:鹿又由菜
映像撮影・編集:株式会社キャット
■あらすじ
スイス、ジュネーブの名家に生まれた天才科学者ビクター・フランケンシュタイン。
幸せな幼少期を過ごしていた彼だったが、母の死をきっかけに「生命の真理」を解き明かそうと、大学で研究に没頭していく。墓場の死体を集め、新しい生命を誕生させようと考えたビクターは研究の末、新しい生命の創造に成功する。しかし、孵化し動き出したその生命体はあまりに醜く、彼はその怪物を受け入れることが出来ず、研究室に放置して逃げ出してしまう。数年後、ビクターの前に怪物が現れる。怪物は驚くべきことに言葉をしゃべりだす。ここに至るまでの迫害された境遇を語る怪物は、孤独な自分にお似合いの伴侶を作って欲しいと懇願するのであった。
ビクターは悩みながらも、怪物の要求を受け入れ、伴侶を作り始める。しかし、完成目前に、自らの手でその伴侶を破壊してしまう。それを目撃した怪物は「お前が幸せの絶頂の時に復讐してやる」と、その場を去って行った。
数か月後、ビクターは幼馴染のエリザベスと結婚をすることになるのだが、結婚式の初夜に怪物は現れ、新妻のエリザベスを惨殺し逃亡。ビクターは怪物へ復讐すべく、怪物の後をどこまでも追っていくのであった。