即興組合、初日あけました。
ご来場いただいた皆さま、ありがとうございました。
今回のシアタースポーツでは、専門の異なる三人のジャッジが各チームの作品を採点し、合計点数を競います。
テクニカル、ストーリー、エンタメのうち、遠藤はストーリージャッジを担当しました。
基本的には前回参加したときの基準で採点しましたが、興行の流れや前後の出来などで都度判断しています。
即興の性質上、ネタバレの心配もないですし、印象に残った作品の感想を書きます。
今回は「遠藤雷太賞(=タイトル賞)」という(自分にとっては)物々しい賞が設けられたこともあり、前回と比べてより説明責任あるだろうということと、単純に面白かったから反芻して楽しもうという魂胆です。
シアタースポーツというくらいですから、試合観戦後のニュース番組を見る感覚でお読みいただければ幸いです。
2チーム全12作品のうち、遠藤の最高得点は4点で2作品ありました。ちなみに満点は5点です。
ひとつは『ディズニーランド』というお題の作品。
スペースジャンプというルールにのっとった作品で、今回は対戦相手も巻き込んで六人で演じます。
始めに一人で状況を作ります。進行係の合図でストップモーションになると、二人目が加わって、一人目のポーズを活かして全く違う状況の話を始めます。
同じ要領で人数が増え、六人全員でシーンを作った後は、今度は一人ずつ減っていき、各人数ごとのシーンの続きを演じたあと、一人に戻って終わります。
ポイントはいかに前後の脈絡のない6種類のシーンが作れるかということと、それぞれのシーンをきちんとたためるかということです。
ついでに全体の隠れテーマが見えてくると面白い。
お題から、1人目のメッツ選手はお題から「一人でディズニーランドにやってきた人」を演じます。ちょっとさびしい。
そして、2人目は肩もみ、3人目、4人目のシーンは子供同士のいさかいが続き、5人目は男女の修羅場。
日常的なシーンが続きましたが、最後6人目の山田選手は各々のポーズをしっかり確認したうえで、「私の右目を奪ったのは誰だ!」というムダにスケールが大きいファンタジー世界を立ち上げます。
風呂敷が無限に広がった瞬間でした。
安打犠打進塁打などでこつこつランナーをためてホームランの流れです。
ただ、ちょっと考えると、直前シーンとのつながり方こそ意外だったものの、根っこではファンタジーと一番最初のディズニーランドが繋がっています。
そう考えると、途中の子供や修羅場のシーンは、一人目の彼の頭の中にある記憶や妄想に思えてきます。
人並みに紆余曲折を経験してきた平凡な男が、入場者数10万人目になったというちょっとした事件に遭遇して、幸せな終わりを迎えます。飛躍と収束がきちんと出来ています。
惜しいのは3名のシーンと4名のシーンが、あまり飛躍していなかったことです。そのあたりが回収できていれば、5点でもよかったと思います。
もうひとつの4点作品は、チーム香水シスターズの体チャレンジ。
お互いが誰かの体に触れている場合のみ、声を出すことが出来るというルールです。
お客様からのお題には三人の関係性「同僚」が出されました。
立ち飲み屋で会社の愚痴を言い合う二人。そこにさっきまで二人が悪口を言っていた上司が乱入してくるという話です。
内容は落語の「~ほめ」っぽい話になりました。
定番といえば定番ですが、日常的な二人飲みシーンから即時にその型を選択し、スムーズに当てはめて起承転結を作ったところが加点ポイントです。
「触る」という制約をうまくストーリーに絡められていなかったので、ちょっと甘いかもしれませんが、十分だと思います。
また、ストーリー的には3点をつけましたが、『古都』も楽しかったです。
語り手一人とそのほかの演者に分かれ、語り手のムチャぶりに演者たちが対応していく形式。
内容は古都で上司を接待する話。
最終盤でのここしかないタイミングでこれしかない順番で演者が登場したところは、スポーツ観戦に似た熱が生まれていたと思います。
ただ、話としては予定調和に収まってしまったことと、起承転結の起承転で終わってしまった点で、高得点をつけにくい内容でした。
語り手はもちろん、演者からも無茶ぶりが飛んでくる緊張感や、ラストシーンの盛り上がり方もよかったので、エンタメとテクニカルの点数が高かったのは納得です。
遠藤雷太賞(=タイトル賞)は「ディズニーランド」と「古都」で迷いました。
タイトルのよさは必ず内容とリンクします。
言葉自体は「古都」のほうが強かったのですが、内容的にそのタイトルである必然性が強かったかどうかという点で「ディズニーランド」に決めました。
当選されたお客様、あらためておめでとうございました。
後付けも多分にありますが、ストーリージャッジからの感想は以上です。
2回目以降、こんなに丁寧に振り返られるかわかりませんが、しっかりジャッジしたいと思います。
シアタースポーツ、土日も続きます。
まだまだ間に合いますので、お時間の空いた方、当日券でふらっと入るにもいい公演だと思います。
興味を持たれた方はお越しいただけたらうれしいです。
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